アジア大会優勝の女子ホッケー「さくらジャパン」は東京五輪の表彰台を目指す

女子ホッケー日本代表チーム「さくらジャパン」は、2004年アテネ五輪から4大会連続で五輪出場を果たしてきた。開催国として2020年東京五輪の出場も決定している。前回リオデジャネイロ五輪では、当時7位のイギリスが金メダル、同9位のドイツが銅メダルを獲得している。さくらジャパンの世界ランキングは2019年2月時点で14位と停滞気味だが、地元開催となる東京五輪では、史上初のメダル獲得が目標になるだろう。

オランダ1部リーグで活躍する及川栞(左)が2018年アジア大会での金メダルに貢献。リオ五輪代表落選の悔しさをバネにする
オランダ1部リーグで活躍する及川栞(左)が2018年アジア大会での金メダルに貢献。リオ五輪代表落選の悔しさをバネにするオランダ1部リーグで活躍する及川栞(左)が2018年アジア大会での金メダルに貢献。リオ五輪代表落選の悔しさをバネにする

シュートは時速200km。スリリングな展開が醍醐味

ホッケーのフィールドは、横55メートル、縦91.4メートル。サッカーのフィールドをひと回り小さくしたサイズと言えば、イメージしやすいだろうか。競技フィールド上で、ゴールキーパー(GK)1人を含む、1チーム11人の選手が2チームで対戦する。独特な形をした約90センチメートルのスティックで、大きさが野球の硬球ほどのボールをコントロールし、横3.66メートル、縦2.14メートルのゴールへ、ボールを入れて得点を競う。これがホッケーの基本ルールだ。

競技時間は、各15分間の4クォーター制(合計60分間)。勝敗が決しない場合は、攻撃選手とGKによる8秒間の1対1、シュートアウト戦により勝者を決める。シュート時のボールのスピードは、男子の世界トップレベルになると時速200km以上となる。女子ではそこまでのスピードは出ないものの、ボールの硬さは硬球以上。GKの身に付けるプロテクターから、その威力ははかり知ることができるだろう。

女子ホッケーの世界勢力図・オランダら欧州勢の壁が厚い

国際ホッケー連盟(FIH)が発表するランキングで、各国の強さ知ることができる。2019年2月時点のトップはオランダ。2位イングランド、3位オーストラリアとなっている。アジア最高位は9位のインドで、10位に中国、11位に韓国が続き、日本はアジア4位の14位にランクしている。

ただし、このランキングが必ずしも結果に反映されるとは限らないのが、オリンピックという舞台であり、それがこの競技の魅力に直接つながっている。リオ五輪では、当時世界ランキング7位のイギリスが金メダルを獲得し、1位だったオランダは銀メダルに終わった。また、銅メダルを獲得したのは、当時9位のドイツだった。

リオ五輪における、さくらジャパンの成績は、グループリーグ5位、総合10位だった。2020年東京五輪では、グループリーグを突破して、準々決勝に進出することがチームの目標となっている。

屈指の突破力とキープ力を持つ清水美並。さくらジャパンに欠かせないメンバーだ
屈指の突破力とキープ力を持つ清水美並。さくらジャパンに欠かせないメンバーだ屈指の突破力とキープ力を持つ清水美並。さくらジャパンに欠かせないメンバーだ

オランダで活躍する及川栞、そしてHJLで台頭する若手選手たち

若手とベテランで、バランスよく構成されているのが「さくらジャパン」の特徴だろう。本場オランダで活躍する及川栞を中心に、清水美並、河村元美など、若手も続々と台頭している。本大会に向け、今後の伸びしろが多いに期待できるメンバーなのだ。

及川栞(FB)

及川栞は、岩手県岩手町出身、1989年3月12日生まれ。オランダのオレンジレッドの所属だ。つい先日、30歳のバースデーを迎えたばかり。及川は2007年、地元の不来方高校から奈良県の天理大学に進学。2008年にジュニア日本代表に選出されるなど、学生時代から注目されていた。

大学卒業後はソニーHCへ加入。7年の在籍期間中に、国内のタイトルを総なめにした。2016-17シーズンにオランダ1部のオレンジレッドへ期限付き移籍。2年間プレーした後、2018-19シーズンに完全移籍をはたす。ポジションはFB(DF)。2016年リオ五輪では、惜しくも代表に選ばれなかった。その悔しさを東京五輪でぶつける。

清水美並(FW)

清水美並は、滋賀県米原市出身、1993年7月14日生まれの25歳。ソニーHCブラビアレディースに所属。伊吹スポーツ少年団でホッケーを始め、伊吹山中学校、伊吹高等学校、東海学院大学と滋賀県内の学校に通いながら、ホッケーを続ける。大学卒業後、岐阜に本拠地を置くソニーHCへ加入する。

ソニーHCは2018シーズンに、ホッケー日本リーグ(HJL)4連覇を達成。FWの清水は、同僚で、同じく日本代表のFW永井友理とともにベストイレブンに選出された。また、得点王に輝いており、最も注目されている選手のひとりだ。ボールを自由自在に空中に浮かせ、立体的に敵を抜き去る「3Dドリブル」を得意とする。

さくらジャパンのメンバーとして、2018年イギリスのロンドンで開催されたワールドカップに出場。日本はグループリーグ最下位に終わったが、清水はニュージーランド代表戦でゴールを決めて、チームを勝利に導く活躍を見せた。

河村元美(MF)

河村元美は、大阪府岸和田市出身、1996年3月5日生まれの23歳で、コカ・コーラレッドスパークス所属。中学と高校の6年間、ホッケーの強豪校で知られる羽衣学園で競技に打ち込んだ。高校1年生のときに全国高等学校選抜大会で優勝を経験。翌年は全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で優勝。ユース日本代表にも選出されるなど、輝かしい実績を引っ提げ、ホッケーの名門、山梨学院大学に進学する。

大学でもエースストライカーとして活躍。大学在学中の2016年には、リオデジャネイロ五輪のメンバーに最年少で選出される。2018年の大学卒業後、コカ・コーラレッドスパークスに入団。2018シーズン、チームの成績は4位に終わったが、河村はMFとしてベストイレブンに選ばれる活躍を見せた。

リオ五輪に最年少メンバーとして参加した川村元美は、2018年アジア大会では得点源としても活躍
リオ五輪に最年少メンバーとして参加した川村元美は、2018年アジア大会では得点源としても活躍リオ五輪に最年少メンバーとして参加した川村元美は、2018年アジア大会では得点源としても活躍

東京五輪でのメダル獲得も夢ではない

女子ホッケー日本代表チームのさくらジャパンは、開催国として、東京五輪の出場枠を確保した。残り11の出場枠は、各大陸で開催される大会、およびオリンピック予選で決定する。

「開催国なんだから当然出場できるでしょう」と思われがちだが、前回のリオデジャネイロ五輪はブラジル女子が不出場、2004年のアテネ五輪ではギリシャが男女ともに不出場だったことから、日本代表がオリンピックに見合う実力を備えていることが分かる。

日本代表の世界ランキングは現在14位。アジア勢としては4番目にランクしている。しかし、2018年にインドネシアのジャカルタで開催されたアジア大会の決勝で、インドを破り、優勝を果たした。リオ五輪では当時7位のイギリスが優勝。世界ランキングはあくまでも指標にすぎず、本番でどれだけ力を発揮できるかがメダル獲得の鍵となる。

オランダでプレーする及川栞、台頭する若手の河村元美らが活躍すれば、表彰台も決して夢ではないだろう。

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