【アスリートの原点】カロリナ・プリスコバ:双子の姉と4歳からテニスに没頭。父の逮捕という悲劇をはねのけ、17歳で世界制覇

5歳のころには、ほぼ毎日テニスラケットを握っていた
身長は186センチ。リーチの長さを生かしたプレーを得意とする
身長は186センチ。リーチの長さを生かしたプレーを得意とする身長は186センチ。リーチの長さを生かしたプレーを得意とする

大坂なおみの前に何度か立ちはだかったのがチェコ人のカロリナ・プリスコバだ。2018年の東レ・パンパシフィック・オープンの決勝や2020年のブリスベン国際の準決勝で大坂に土をつけた。2020年1月17日時点の世界ランクで2位。現在のテニス界をリードする長身プレーヤーのルーツに迫る。

2分早く生まれた双子の姉クリスティナ(左)もプロテニスプレーヤー。何度か大会で対戦したこともある
2分早く生まれた双子の姉クリスティナ(左)もプロテニスプレーヤー。何度か大会で対戦したこともある2分早く生まれた双子の姉クリスティナ(左)もプロテニスプレーヤー。何度か大会で対戦したこともある

幼少期の憧れはマラト・サフィンやマルチナ・ヒンギス

1992年3月21日、チェコ南東にあるロウニという街で双子の姉妹が産声を上げた。父のラデクと母のマルティナは、2分早く生まれた姉をクリスティナ、妹をカロリナと名づけた。

2020年1月12日、オーストラリアで行われたブリスベン国際の女子シングルの準決勝で大坂なおみを下したのはカロリナだ。カロリナ・プリスコバは翌日の決勝も制し、同大会で2連覇を果たした。

カロリナと姉のクリスティナがテニスを始めたのは4歳の時。「同じスポーツをやってほしい」と考えた両親がテニスを勧めたのがきっかけだった。家族そろって、ロシア人テニス選手のマラト・サフィンや、スイス人女子テニス選手のマルチナ・ヒンギスのプレーをよく見ていたという。

幼いカロリナは、姉のクリスティナとともにプロになることを夢見て練習に没頭した。5歳のころにはもう、ほぼ毎日テニスラケットを握っていたという。

大きな転機となったのは2010年。全豪オープンのジュニア女子シングルスで優勝を果たした
大きな転機となったのは2010年。全豪オープンのジュニア女子シングルスで優勝を果たした大きな転機となったのは2010年。全豪オープンのジュニア女子シングルスで優勝を果たした

両親も娘たちの本気に応えた。母のマルティナは「私はテニスのためにすべてを捧げました。夫も同じで、2人の娘のためにそれ以上ないほどの最善を尽くしたんです」と振り返っている。ちなみに、双子の姉妹はいくつかのタトゥーを身にまとっているが、タトゥーを入れるのは10歳くらいの時からの夢だったという。

両親の支えもあって、プロテニスプレーヤーをめざすプリスコバ姉妹の存在はロウニ周辺のテニス界でよく知られるようになった。年上の大会で優勝を果たすなど、めきめきと力をつけていった。

グランドスラムの最高成績は2016年の全米オープン準優勝。セリーナ・ウィリアムズを準決勝で下している
グランドスラムの最高成績は2016年の全米オープン準優勝。セリーナ・ウィリアムズを準決勝で下しているグランドスラムの最高成績は2016年の全米オープン準優勝。セリーナ・ウィリアムズを準決勝で下している

2010年、全豪オープンのジュニア部門で優勝

もっとも、順風満帆だったわけではない。

姉妹が13歳の時、一家を悲劇が襲った。父のラデクが税金詐欺で逮捕されてしまったのだ。約2年間の刑務所暮らしを強いられ、精神的にも経済的にも少なくないダメージを受けた。

父が不在の間もテニスに打ち込んだカロリナは、間もなく成功の階段を上り始める。2009年にプロへと転向した。

カロリナ・プリスコバの名前が世界のテニスファンに知れ渡ったのは2010年。全豪オープンのジュニア女子シングルスで優勝を果たした。決勝で下したイギリス人のローラ・ロブソンは2年前、ウィンブルドン選手権のジュニア女子シングルスを大会史上2番目の若さで制していた。前途有望のロブソンを退けたことで、17歳のカロリナは大きなインパクトを残した。

同大会では姉のクリスティナは準決勝まで駒を進めている。ロブソンに惜しくも敗れたものの、4歳の時から一心同体のような絆でテニスに励んできたプリスコバ姉妹の存在は地球規模で認知された。カロリナは以前、2002年の全仏オープンから2003年の全豪オープンまでの決勝を4大会連続で戦ったビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹について語ったことがある。2010年はプリスコバ姉妹にとって、大きな手応えを感じた年だったに違いない。

テニスの道を選んでから25年以上がたつ。2013年2月のマレーシア・オープンで初のツアー制覇を果たして以降、テニス界のトップを走り続けてきた。186センチの長身プレーヤーに欠けているのはグランドスラムのタイトルだ。ウィンブルドン、全豪オープン、全仏オープン、全米オープンの決勝での姉妹対決が最高の舞台と言えるかもしれない。

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