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【アスリートの原点】入江陵介:0歳から水泳を始め、16歳で平成生まれ初の日本代表入りを果たす

母の熱心な食事サポートを受け、体の弱さを克服

文: オリンピックチャンネル編集部 ·

ペットボトルをおでこに乗せたまま背泳ぎする姿は、世界に衝撃を与えた。それは肩周りの柔軟性と優れたバランス感覚のたまものであり、誰にでもまねできるものではない。16歳での代表入りから14年。背泳ぎの第一人者としての歩みを止めない入江陵介は、目前に控えた東京五輪の栄光に向かって突き進む。

16歳で代表入りしてから日の丸を背負い続けて14年。東京五輪での金メダル獲得が期待される

食が細かった小学生時代には貧血で倒れたことも

まるで後ろに目がついているかのように、背泳ぎでもコースを真っすぐに泳ぐ。

ペットボトルをおでこに乗せた状態で泳ぐことも可能なほど無駄のないフォームは「世界一綺麗な泳ぎ」との呼び声も高い。肩周りの柔軟性と優れたバランス感覚のたまものだ。その姿の美しさに端正なルックスも相まって、入江陵介は「バランス王子」という異名を持つ。

1990年1月24日に大阪で生まれた。0歳から水泳を始め、小学2年生から兄が通うスイミングスクールに通い出した。スクールまでは車で30分ほどかかり、父と母が送り迎えに励んだという。中学3年生まで同スクールに通い続けたが、当時は体がそれほど強くなく、食も細かった。小学生時代には「貧血で倒れた」と電話を受け、母親が何度も学校に迎えに行った。

小学3年生からは、夜の練習に加えて朝練も始まり、午前5時過ぎの電車でスクールに行く生活となった。母は、食事の回数を増やしたり、栄養価が高い菓子パンを出したり、チョコレートを絶えずポケットに入れておいたりすることで息子が少しでも多く栄養分を摂取できるよう努めた。入江は近畿大学附属高等学校に進学後も、寮には入らず自宅から通い、母のサポートを受けてたくましさを増していった。

2006年12月にドーハで行われたアジア競技大会では、16歳の若さながら男子200メートル背泳ぎで優勝を果たしてみせた

18歳になった直後に日本記録を更新

中学に入ってから種目を背泳ぎ一本に絞った入江が頭角を現したのは、2006年、高校1年の時だった。

日本選手権の200メートル背泳ぎで1分59秒32という当時の高校新記録をマークし、その夏に行われるパンパシフィック選手権の日本代表に抜擢された。競泳では平成生まれ初の日本代表入りという快挙だった。その後も、国内外の大会に出場してはたびたび高校記録を塗り替え続け、18歳になったばかりの2008年1月27日には、高校生ながら200メートルで1分56秒53というタイムをたたき出し、ついに日本記録を更新した。

2008年の北京五輪で初めてオリンピックの初舞台に立つと、200メートル背泳ぎで5位入賞。翌2009年の第13回世界水泳選手権で出した200メートル背泳ぎの1分52秒51、第85回日本学生選手権水泳競技大会の100メートル背泳ぎで残した52秒24というタイムは、2019年7月27日時点でいまだ日本記録として破られていない。

ロンドン五輪時の写真(左端)。100M背泳ぎの銅メダルと200M背泳ぎの銀メダルに加え、北島康介(左から2人目)らとともに400Mメドレーリレーで銀メダルを獲得した

2012年のロンドン五輪では、100メートル背泳ぎで銅メダル、200メートル背泳ぎと400メートルメドレーリレーで銀メダルを獲得し、3度表彰台に上った。

その後はヘルニアなどの故障にも苦しんだが、16歳で代表入りしてから日の丸を背負い続けて14年。オリンピックで3個、世界選手権で4個のメダルを手にしてきたとおり、背泳ぎの第一人者として走り続け、気づけば競泳日本界でもベテランに域に達した。東京五輪が行われる2020年は30歳。4大会連続のオリンピック出場、そして再び表彰台の上に立つことをめざし、モチベーションを高めている。

入江 陵介:リオ・オリンピック ハイライト

2016年夏 リオ・オリンピック ベストシーン