【アスリートの原点】萩野公介:日本競泳界待望のマルチスイマーは、少年時代からライバル瀬戸大也と切磋琢磨

小学1年生から2年生の間に4泳法の基礎を固めた

「怪童」「天才スイマー」といった言葉で才能を評価され続けてきた萩野公介(はぎの・こうすけ)は、17歳で出場したロンドン五輪で銅メダルを獲得。56年ぶりの高校生メダリストとなった。競泳界の世界的な流れである“マルチスイマー”として活躍する要因には、幼少期からの鍛錬と、ライバル瀬戸大也の存在がある。

2019年3月、「モチベーションを保つことがきつくなっていきました」として休養期間に入ったが、2カ月後に復帰。東京五輪での活躍をめざす
2019年3月、「モチベーションを保つことがきつくなっていきました」として休養期間に入ったが、2カ月後に復帰。東京五輪での活躍をめざす2019年3月、「モチベーションを保つことがきつくなっていきました」として休養期間に入ったが、2カ月後に復帰。東京五輪での活躍をめざす

小学2年生でジュニアオリンピックを制覇

萩野公介(はぎの・こうすけ)がその名を世界に知らしめたのは、2012年のロンドン五輪だ。17歳で臨んだオリンピック初舞台の男子400メートル個人メドレーで、日本新記録を大幅に更新して3位に食い込み、銅メダルに輝いた。高校生のメダル獲得は、1956年のメルボルン五輪以来、56年ぶりの快挙だった。

オリンピックの男子個人メドレー種目で日本人がメダリストとなったのは彼が初めて。萩野の飛躍は、日本競泳界にとって待望の「マルチスイマー」の台頭だった。

1994年8月15日に栃木県小山市で生まれた萩野は、生後6カ月で水泳を始め、幼稚園に入ったころにその才能を見いだされ、「選手育成コース」へと進んだ。そして、「マルチスイマー」の道を進む転機となったのは、父親の仕事の関係で小学1年の夏から小学2年の終わりまでを愛知県名古屋市で過ごしたことだった。名古屋で入校しようとしたスイミングスクールは、自由型、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの4泳法が必須条件。それまでバタフライの経験がなかった萩野は猛特訓を重ねた。

無事に名古屋のスイミングスクールに入校した萩野は、小学2年生でジュニアオリンピック優勝を果たし、「怪物」の片りんを見せる。地元の小山市に戻った後も、得意な背泳ぎを伸ばしながら4つの種目をバランスよく練習し、自身が憧れの選手に掲げている世界的レジェンド、マイケル・フェルプスのように、複数種目において世界の舞台で勝負することが現実的な目標となった。

そして東洋大学に進学後の2013年4月、日本選手権水泳競技大会で大会史上初となる5冠を達成。「和製フェルプス」と呼ばれ、日本競泳界のエースとして期待を集める存在となった。

2012年4月、日本選手権水泳競技大会の400M個人メドレーで当時の日本新記録をマークして優勝(中央)。銅メダルを獲得したのは小さなころからのライバル瀬戸大也(右端)だった
2012年4月、日本選手権水泳競技大会の400M個人メドレーで当時の日本新記録をマークして優勝(中央)。銅メダルを獲得したのは小さなころからのライバル瀬戸大也(右端)だった2012年4月、日本選手権水泳競技大会の400M個人メドレーで当時の日本新記録をマークして優勝(中央)。銅メダルを獲得したのは小さなころからのライバル瀬戸大也(右端)だった

切磋琢磨しあう瀬戸大也との好関係

2016年に行われたリオデジャネイロ五輪の男子400メートル個人メドレーでは、悲願の金メダルを獲得した。

この時、3位で一緒に表彰台に上ったのが、同い年のライバル瀬戸大也だ。2人が初めて同じレースに臨んだのは、小学3年の夏の大会だった。当時は「怪童」と呼ばれていた萩野が大きくリードしている状態だったが、中学2年時に400メートル個人メドレーで初めて瀬戸に敗戦。お互いを良きライバルとして認め、一緒に世界の舞台で表彰台に立つことを誓い合った。リオデジャネイロ五輪で2人の夢をかなえた後、萩野は「大也がいなかったら僕はここにいない」と瀬戸の存在の大きさを語った。

高校生で出場したロンドン五輪では、400M個人メートルで銅メダル。4分08秒94という日本新記録をたたき出した
高校生で出場したロンドン五輪では、400M個人メートルで銅メダル。4分08秒94という日本新記録をたたき出した高校生で出場したロンドン五輪では、400M個人メートルで銅メダル。4分08秒94という日本新記録をたたき出した

計3つのメダルを獲得したリオデジャネイロ五輪の後、萩野はスランプに陥り、2019年3月から無期限の休養期間を設けた。第一線で走り続けてきた萩野にとっては、今一度、心身を整えるために必要な時間だったのだろう。オリンピックへの意欲を再認識し、5月に練習を再開。「複数種目の金メダル」という目標を力強く宣言し、2020年の東京五輪に向かって突き進んでいる。

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