【アスリートの原点】鈴木愛:宮里藍に憧れてゴルフを始めた「第2のアイちゃん」は母の運転で全国を駆けめぐる

愛娘を支えるため、家族全員で徳島から鳥取へ引っ越し
宮里藍(左)が憧れ。2019年には「宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」で初優勝を果たした
宮里藍(左)が憧れ。2019年には「宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」で初優勝を果たした宮里藍(左)が憧れ。2019年には「宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」で初優勝を果たした

東京五輪のゴルフ女子日本代表は、直前の世界ランキングをもとにした五輪ランキングによって決まる。2019年、2年ぶり2度目の賞金女王に輝いた鈴木愛は、同じ「アイちゃん」である元プロ宮里藍に憧れを抱く。彼女が奮闘する裏には、家族の献身的なサポートがある。

当時ゴルフ部がなかった鳥取県の倉吉北高等学校に進学し、卒業後の2013年にはプロテストに一発合格した
当時ゴルフ部がなかった鳥取県の倉吉北高等学校に進学し、卒業後の2013年にはプロテストに一発合格した当時ゴルフ部がなかった鳥取県の倉吉北高等学校に進学し、卒業後の2013年にはプロテストに一発合格した

「愛ちゃん」が「藍ちゃん」の記録を更新

ゴルフ界の「第2のアイちゃん」が東京五輪出場をめざして奮闘している。鈴木愛は2019年、2年ぶり2度目の賞金女王に輝き、畑岡奈紗や渋野日向子らとともに代表争いの火花を散らしている。

1994年5月9日に生まれた鈴木がゴルフと出合ったのは2004年、11歳の時だった。「サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」を制した「アイちゃん」こと宮里藍の姿をテレビで見て、くぎづけになった。そのころ、鈴木はバレーボールに打ち込んでいたが、妹の花奈さんとともにクラブを握るようになった。ただ、この時は遊び感覚でプロゴルファーになるつもりはなかったという。

それでも2009年、中学生での四国女子アマチュアゴルフ選手権競技での優勝を契機にプロを意識するようになった。

2013年にプロテストに合格すると、翌年のメジャー大会、日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯でツアー初優勝。20歳128日での優勝は、宮里が2006年に出した21歳83日という大会最年少優勝記録を更新するものだった。

そして2019年には、宮里の名を冠した「宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」で初優勝。花道で憧れの宮里から祝福と賛辞の言葉を受け、「本当にうれしい」と感慨に浸った。

2016年5月には中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンを制覇。同年度の賞金ランキングでは5位に食い込み、翌2017年度には賞金女王に輝いた
2016年5月には中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンを制覇。同年度の賞金ランキングでは5位に食い込み、翌2017年度には賞金女王に輝いた2016年5月には中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンを制覇。同年度の賞金ランキングでは5位に食い込み、翌2017年度には賞金女王に輝いた

家族全員で引っ越し献身的にサポート

当初、プロをめざしていなかった鈴木が飛躍を遂げた背景には、家族の献身的な支えがある。

徳島県三好郡で生まれた鈴木は中学卒業時、徳島県内のゴルフ強豪校から誘いを受けていたものの、「団体行動は得意じゃない」と断りを入れ、当時ゴルフ部がなかった鳥取県の倉吉北高等学校に進学した。ここで鈴木は男子部員と、たった2人のゴルフ部1期生として腕を磨いた。

入学直後は親元を離れて寮生活を送っていたが、半年後、徳島県に残った一家は鈴木が「よりゴルフに集中できるように」と鳥取県への引っ越しを決意する。自営業の父、健司さんは3代続いた製材業ののれんを下ろし、鈴木の姉と妹、弟を含めた家族全員での暮らしが再び始まった。食事や家事、そして精神面で家族のサポートを受け、真っすぐにゴルフに打ち込んだ鈴木は、めきめきと力をつけていった。

2013年に鈴木がプロテストに一発合格し、ツアーを転戦するようになってからは、輸送費節約の目的もあって母の美江さんが中古で購入した車のハンドルを握り、2人で日本全国を駆けめぐった。2014年、初出場のメジャー大会で初優勝を飾った時も、ギャラリーロープの外から鈴木を見守りながら大粒の涙をこぼす母の姿があった。

鈴木の夢は家族の夢。深い絆と愛で目標達成へ邁進していく。

選手プロフィール

  • 鈴木 愛(すずき・あい)
  • ゴルフ選手
  • 生年月日:1994年5月9日
  • 出身地:徳島県三好郡
  • 血液型:B型
  • 身長/体重:155センチ/58キロ
  • 出身校:三加茂中(徳島)→倉吉北高(鳥取)
  • 所属:セールスフォース
  • オリンピックの経験:なし

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