アーティスティックスイミング(シンクロ)の起源と歴史|競技名が変更された理由は?

現在は女子の種目という印象の強いアーティスティックスイミング(AS)だが、その起源であるウオーターバレエは、男性による見せ物(ショー)だった。男性のウオーターバレエが女子によるシンクロナイズドスイミング、そしてアーティスティックスイミングへと名称を変えた経緯や、オリンピックにおける強豪国について解説する。

オリンピック4連覇中のロシア
オリンピック4連覇中のロシアオリンピック4連覇中のロシア

■アーティスティックスイミングは何から起こった?いつから競技化?

アーティスティックスイミングの起源は19世紀後半、イギリスで行われた観賞用の「ウオーターバレエ」、いわゆる水中バレエだとされている。19世紀の英国ではパブリックスクールを中心にスポーツの近代化が行われており、初の競泳大会も19世紀半ばに開催されたという記録が残されている。現在のオリンピックにおいて、アーティスティックスイミングは女子種目のみ採用されているが、当時の水中バレエは、男性によって行われていた。実際、1891年にベルリン(ドイツ)、1892年のロンドン(英国)で実施されたコンテストは、男性のみの参加だった。しかし、その後は女性に向いた種目と考えられるようになる。

1920年代にはドイツやカナダで女子の競技大会が行われ、1934年のシカゴ万国博覧会(アメリカ合衆国)では、「モダン・マーメイド」と呼ばれた60名のスイマーにより、パフォーマンスが行われたと記録されている。この時「シンクロナイズドスイミング」という呼び名も生まれた。

■競技名が変更された理由

シンクロナイズドスイミングがオリンピックに初めて採用されたのは、1984年のロサンゼルス五輪から。しかし競技が発展していく上で、「シンクロナイズド(同期した)」という言葉がふさわしくなくなり、国際水泳連盟(FINA)は2018年4月1日より、呼称を「アーティスティック(芸術的)スイミング」に変更した。

オリンピックにおけるASは、大会ごとに採用種目も変化している。ロサンゼルス五輪では、ソロ(1人)とデュエット(2人)の2種目が採用。しかし1996年のアトランタ五輪になると、チーム(8人)のみの採用となった。2000年のシドニー五輪ではデュエットが再採用され、Tokyo 2020(東京五輪)でも、チームとデュエットの2種目が行われる。

参考:Artistic Swimming Origins(FINA公式サイト)

参考:アーティスティックスイミング(TOKYO 2020)

■強豪国とその背景は?

同種目が初めて採用されたロサンゼルス五輪では、2種目(ソロ・デュエット)とも金メダルが米国、銀メダルがカナダ、銅メダルが日本であった。続くソウル五輪では、2種目とも金・カナダ、銀・米国、銅・日本、バルセロナ五輪では、2種目とも再び金・米国、銀・カナダ、銅・日本。チームのみとなったアトランタ五輪も、金・米国、銀・カナダ、銅・日本だった。

しかしシドニー五輪以降は2種目(チーム・デュエット)とも、ロシアが連覇を継続。さらにスペイン、中国が台頭。ロンドン五輪では、この3カ国が2種目のメダルを独占する。こうした背景には、長身で手足の長い選手をそろえられる、演技構成の変化に対応したことが挙げられる。日本もリオデジャネイロ五輪では、2種目で中国に次ぐ銅メダルを獲得。東京五輪では、初の金メダル獲得が期待される。

■どんなリーグや大会がある?

ASにおける主要な大会は、4年に一度のオリンピック、2年の一度のFINA(国際水泳連盟)世界選手権(世界水泳)、そして1年に7~10回開催されるFINAワールドシリーズとなる。国内でも日本選手権などが行われ、2020年もソロ・デュエット・チームの3種目が開催される予定だった。また日本ASチャレンジカップは、男子も正式種目に採用される、唯一の国内大会となる。ただし、2020年大会はコロナ禍の影響ですでに中止が決定した。

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