オリンピックの終宴は次なる祭典の序章。閉会式の熱気が4年後につながる

1996年には布袋寅泰がギタリストとして参加
ロンドン五輪の閉会式は「英国音楽の調和」がテーマ。リアム・ギャラガー(左)など豪華ミュージシャンが登場した
ロンドン五輪の閉会式は「英国音楽の調和」がテーマ。リアム・ギャラガー(左)など豪華ミュージシャンが登場したロンドン五輪の閉会式は「英国音楽の調和」がテーマ。リアム・ギャラガー(左)など豪華ミュージシャンが登場した

選手がそれぞれに入場するスタイルは1964年東京五輪から定着。最近の閉会式ではその国を代表する演出家がさまざまな趣向を凝らし、豪華ゲストも出演して大会を華やかに彩る。狂言師の野村萬斎が総合統括する2020年東京五輪では、どのような閉会式が行われるのだろうか。

閉会式は競技を終えた選手たちが一堂に会し、後夜祭のような雰囲気を醸し出す
閉会式は競技を終えた選手たちが一堂に会し、後夜祭のような雰囲気を醸し出す閉会式は競技を終えた選手たちが一堂に会し、後夜祭のような雰囲気を醸し出す

お祭りムードで行われる閉会式

選手団の入場行進や聖火の点灯が行われる開会式はこれから始まるオリンピックへの期待感を高める場だ。一方、閉会式は競技を終えた選手たちが一堂に会し、さながら後夜祭のような雰囲気を楽しみつつ、大会中に生まれたハイライトシーンの余韻に浸ることができる。

閉会式では主に、オリンピック発祥の地であるギリシャの国旗掲揚とギリシャ国歌吹奏、オリンピック賛歌が奉唱されるなかでのオリンピック旗の降納、五輪旗引き継ぎ式、次期開催都市がある国の国旗掲揚と国家吹奏、国際オリンピック委員会(以下IOC)会長のあいさつ、そして聖火の消灯が行われる。近年のオリンピックでは閉会式当日に男子マラソンが実施されることが多いため、その表彰式も閉会式に組み込まれる。大観衆、そして他競技の選手たちが見守るなかでの表彰式は、男子マラソンのメダリストに与えられた「特権」と言えるだろう。

上記のセレモニー以外に、映像や音響、演劇や歌、ダンス、そしてさまざまな特殊効果を駆使した演出が行われ、式に花を添える。次期開催都市を紹介する場面もあり、こちらも見どころ満載だ。オリンピックの競技はアスリートたちが技量を競い合うものだが、閉会式は文化や芸術にかかわっている方々も参加し、それぞれの技を披露する場でもある。

大観衆と他競技の選手たちが見守るなかでの表彰式は、男子マラソンのメダリストに与えられた「特権」だ
大観衆と他競技の選手たちが見守るなかでの表彰式は、男子マラソンのメダリストに与えられた「特権」だ大観衆と他競技の選手たちが見守るなかでの表彰式は、男子マラソンのメダリストに与えられた「特権」だ

「安部マリオ」登場の演出は高評価

2016年のリオデジャネイロ五輪の閉会式は、大会のメーン会場となったマラカナン・スタジアムで3時間近くにわたって行われた。雨が降りしきるなかでの開催だったが機材トラブルやパフォーマンスへの影響などはなく、運営には支障をきたさなかった。

フィールド中央を取り囲むように選手たちの観覧席が設けられた。中心部分がスクリーンとなってさまざまな映像が映し出され、ブラジルの陽気な音楽に乗せてさまざまなパフォーマンスが行われた。

オリンピック旗の降納と引き継ぎ式には、小池百合子東京都知事が参加。リオデジャネイロのエドゥアルド・パエス市長からIOCのトーマス・バッハ会長へと手渡されたのは、降納されたものとは別の、少し小さいサイズのオリンピック旗。その後、音楽プロデューサーの三宅純がアレンジした「君が代」に続いて、東京を紹介する8分間のプレゼンテーションが行われた。映像には現在の東京の姿や北島康介、高橋尚子、村田諒太といった歴代の金メダリスト、『キャプテン翼』『ドラえもん』『パックマン』『スーパーマリオブラザーズ』といった人気アニメやゲームのキャラクターが登場。日の丸をモチーフにした赤い球をマリオが抱えて土管に入ると、ピッチの中央に出現した土管からマリオに扮した安倍晋三首相が登場するというサプライズ演出で喝采を浴びた。

閉会式は地元歌手の歌とともに降り始めた人工雨で聖火が消え、聖火台の後方で動き続けていたオブジェの動きが止まる。花火が打ち上がって閉幕かと思われたが、そこからサンバ隊が登場すると、季節外れの「リオのカーニバル」が始まって、余韻は長く続いたのだった。

リオ五輪の閉会式では「トーキョーショー」を実施。日本らしさを伝え、2020年東京五輪への期待感を高めた
リオ五輪の閉会式では「トーキョーショー」を実施。日本らしさを伝え、2020年東京五輪への期待感を高めたリオ五輪の閉会式では「トーキョーショー」を実施。日本らしさを伝え、2020年東京五輪への期待感を高めた

東京五輪は野村萬斎らの演出に注目

1964年東京五輪の閉会式は、一つのトレンドをつくり出した。当初は選手たちが整然と行進する予定だったが、競技を終えてリラックスしていたこともあり、国や競技を超えてばらばらに、列などは崩し、自由に入場してきたのである。肩を組み、記念撮影をし、時には走り回ったり踊ったりしながら笑顔を見せる選手たち。まさに「戦い終わればノーサイド」状態だ。1956年メルボルン五輪でも同様の形での入場が行われているが、「平和の祭典」をイメージさせるこの入場が定着したのは東京五輪以降で、最近では自分のスマートフォンで撮影をしながら入場する選手の姿が目につく。

2020年東京五輪では、開閉式の総合統括を狂言師の野村萬斎が、責任者を映画監督の山崎貴が務める。アーティストの椎名林檎や振り付け師のMIKIKOなども演出企画に参加する。コンセプトには「平和」や「共生」の他に「復興」や「未来」といったキーワードも含まれており、日本らしさを備えつつ近未来を見据えた内容にもなりそうだ。

2024年の五輪はパリでの開催となるため、オリンピック旗の引き継ぎ式には東京都知事とパリ市長が参加する。現在は小池都知事、アンヌ・イダルゴ市長といずれも女性だが、両者ともに五輪閉会式の前に任期が満了を迎えるため、この大役を誰が務めることになるのかにも注目が集まる。

自由な入場スタイルが定着したのは1964年の東京五輪以降。最近は自分のスマートフォンで撮影をする選手の姿も
自由な入場スタイルが定着したのは1964年の東京五輪以降。最近は自分のスマートフォンで撮影をする選手の姿も自由な入場スタイルが定着したのは1964年の東京五輪以降。最近は自分のスマートフォンで撮影をする選手の姿も

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