スケートボード:堀米雄斗は東京五輪に「スケートボード世界王者」として参戦する可能性も

アメリカを拠点に高みをめざす二十歳の天才
さらなる成長をめざし、2016年にはスケートボードの本場とも言えるカリフォルニアに拠点を移した
さらなる成長をめざし、2016年にはスケートボードの本場とも言えるカリフォルニアに拠点を移したさらなる成長をめざし、2016年にはスケートボードの本場とも言えるカリフォルニアに拠点を移した

堀米雄斗(ほりごめ・ゆうと)は、世界最高峰のコンペティションであるストリートリーグスケートボーディングにおいて、アジア人初となる大会制覇を成し遂げた若き天才スケートボーダーだ。二十歳にしてワールドクラスの実力を身につけた彼は、当然ながら2020年東京五輪でも金メダルの最有力候補に挙げられている。

世界最高峰の大会を転戦する時代の寵児

現在、日本のスケートボードシーンでは、10代から20代前半の有望選手が続々と現れ、群雄割拠の様相を呈しつつある。彼らは世界の舞台で活躍することをめざし、日本国内の大会でしのぎを削っている。

しかし、2019年1月7日に二十歳になったばかりの堀米雄斗(ほりごめ・ゆうと)は、すでに別次元の戦いに身を投じている。彼が今、戦っている相手は「世界」だ。本人は「まだまだ(世界トップクラスのスケートボーダーを)追いかける立場」と謙遜するが、実は「追われる存在」にもなっており、2020年東京五輪では金メダル獲得の有力候補に挙げられている。

堀米は現在、世界最高峰のプロリーグであるストリートリーグスケートボーディング(以下SLS)を転戦している。この大会に出場できるのは、リーグに登録された30名程度のプロスケートボーダーのみ。堀米自身をはじめ、世界中のスケートボーダーが憧れる大会であり、過去4度の年間王者経験を持つナイジャ・ヒューストン(アメリカ)やオーストラリア出身のシェーン・オニールなど、トップレベルのスケーターは数億円から数十億円の年収を得ていると言われている。

2017年5月、バルセロナで行われたSLSのプロオープン大会に、堀米はそれまでの実績が評価され、招待選手として出場した。日本人スケートボーダーにとっては出場するだけでも快挙であり、堀米自身も「憧れのスケーターたちとコンテストに出られてすごくうれしかった!」と興奮を隠せない様子だった。そして彼はこの大会で並みいるトップスケートボーダーたちと互角に渡り合い、ヒューストン、オニールに次いで3位に入賞するという大快挙を成し遂げた。

堀米と同じくSLSで活躍するナイジャ・ヒューストンは東京五輪の金メダル候補の一人だ
堀米と同じくSLSで活躍するナイジャ・ヒューストンは東京五輪の金メダル候補の一人だ堀米と同じくSLSで活躍するナイジャ・ヒューストンは東京五輪の金メダル候補の一人だ

2018年にはSLSで3連覇の快挙を果たす

これでSLS認定プロとなった堀米は、続くパリ大会でも3位に入賞し、瞬く間にトップスケートボーダーの仲間入りを果たした。そして2018年、彼はさらなる快挙を成し遂げ、世界中に衝撃を与える。3月のタンパプロという大会こそ10位に終わったが、5月のSLSロンドン大会では「ナインクラブ」と呼ばれる9点台のスケートを連発し、日本人としてはもちろん、アジア人としても史上初めてとなる大会制覇を成し遂げた。

2018年、堀米の快進撃はこれだけにとどまらず、7月のロサンゼルス大会、12月のハンティントンビーチ大会でも優勝し、3連覇を達成。2019年1月にリオデジャネイロで行われた世界選手権(スーパークラウン)のファイナル進出の権利も手にした。

世界選手権ファイナルでは残念ながら本来の実力を出し切れず、8位に終わったが、新たなモチベーションにつながると考えれば、この結果もポジティブにとらえることができるだろう。

2018年7月には、アメリカのカリフォルニアで行われたデュー・ツアーという大会でも優勝を果たした
2018年7月には、アメリカのカリフォルニアで行われたデュー・ツアーという大会でも優勝を果たした2018年7月には、アメリカのカリフォルニアで行われたデュー・ツアーという大会でも優勝を果たした

優雅なスケーティングでファンを魅了

世界最高クラスのスケートボーダーへと成長を遂げた堀米が競技を始めたのは、彼が6歳の時だった。同じくスケートボーダーだった父親の影響で、最初はバーチカルと呼ばれるハーフパイプを滑走する競技で技を磨いていった。

国内大会で優秀な成績を残し、10歳の時にはスポンサーがつき、その後、現在の種目であるストリートへと移行。2014年にはAJSA(日本スケートボード協会)年間総合王者になるなど、日本国内で圧倒的な強さを見せつけていった。

2016年にはスケートボードの本場とも言えるカリフォルニアに拠点を移し、有名デッキカンパニーである「BLIND SKATEBOARDS」のオフィシャルチームに加入。現地のプロスケートボーダーと共同生活を送りながら、スキルを磨く日々を送っている。コーチをつけないことが一般的なスケートボード界は、環境がモノを言う世界でもある。スケートボードが文化として確立されており、街のいたるところにスケートボードパークがあって自由に練習ができ、ハイレベルな仲間と切磋琢磨し合える環境で、堀米は飛躍的に実力を伸ばしてきた。

堀米はオリジナリティーあふれる難しいトリックを難なく決めてみせる。海外の選手の場合、身体能力の高さや全身のバネ、ボードを蹴る足首の強さを生かし、スピードやパワーを感じられるスケーティングをする選手が多い。一方、優れたボディバランスの持ち主である堀米のスケーティングは軽やかで空中姿勢がよく、優雅な印象を受ける。新技の開発にも余念がなく、大舞台で難しいトリックにチャレンジし、難なく成功させる度胸と勝負強さも持ち味だ。ハンドレール(手すり)を使ったトリックを得意としており、「ノーリー フロントサイド270リップスライド」という、体を270度旋回させながらハンドレールに飛び乗り、着地するトリックが十八番だ。

SLSで3連覇を飾ったことによって、堀米は世界トップクラスのスケートボーダーの仲間入りを果たした。2019年のSLSでは、当然ながら年間王者をめざして戦うことになる。東京五輪についても「すごく大きなイベントなので出てみたい。金メダルも狙えると思う」と意欲を見せる。もしかしたら、2020年の東京五輪には「スケートボード世界王者」として参戦することになるかもしれない。

ハンドレール(手すり)を使ったトリックが得意。「ノーリー フロントサイド270リップスライド」という妙技を見せる
ハンドレール(手すり)を使ったトリックが得意。「ノーリー フロントサイド270リップスライド」という妙技を見せるハンドレール(手すり)を使ったトリックが得意。「ノーリー フロントサイド270リップスライド」という妙技を見せる

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