セーリング:世界選手権、アジア大会二冠の吉田愛・吉岡美帆ペアが最注目

日本は2004年アテネ五輪以来のメダル獲得を目指す。
日本は2004年アテネ五輪以来のメダル獲得を目指す。日本は2004年アテネ五輪以来のメダル獲得を目指す。

1900年パリ五輪から採用されるほど歴史が古く、1996年アトランタ五輪までは「ヨット」と呼ばれ、2000年シドニー五輪から「セーリング」と名称変更となった本競技。2020年東京五輪は、神奈川県藤沢市の江の島ヨットハーバーを拠点に相模湾で競技が行われる。最近、国際大会で好成績を残す日本人選手が増えており、メダルが期待できる種目として注目を集めている。そこで、注目すべき選手たちをピックアップしてみよう。

吉田は4度目、吉岡は2度目のオリンピックでメダル獲得を

国土を海で囲まれていながら、まだまだ日本ではなじみが薄いセーリング。一般的には、どのような選手がいるのかも、あまり知られていないだろう。ただ、世界的なプレーヤーがいないというわけではなく、海外の舞台で活躍している日本人選手も少なくない。

そうした選手の中で、最初に挙げるべきなのが、470級の吉田愛・吉岡美帆ペアだろう。2018年8月にデンマークで行われたセーリング世界選手権で、初めて日本に金メダルをもたらしたという歴史的快挙を成し遂げた。続いてジャカルタで開催されたアジア大会でも金メダルを獲得。帰国直後、2018年9月のセーリングワールドカップシリーズ江の島大会で銀メダル、翌週の江の島オリンピックウィークでも優勝を果たすなど、素晴らしい成績を残した。東京五輪の代表選考レースが本格化する2019年を見据え、2018年は充実した年となった。東京五輪での活躍が期待されているペアだ。

吉田は1980年11月5日生まれ。東京都出身。小学1年生のときからヨットを始め、小学2年生から大会に出場している。大学に入ってから2人乗りの470級に転向。2006年の世界選手権で準優勝、北京五輪前の世界ランキングは1位だった。しかし、オリンピックでは成績が残せず、北京五輪14位、ロンドン五輪14位と不振が続き、2013年からペアを組んだ吉岡と出場したリオデジャネイロ五輪は、メダルまであと一歩の5位だった。

一方の吉岡は1990年8月27日生まれ。広島県出身。177cmの長身で、中学校まではバレーボールをしていた。高校に入学し、新しい挑戦をしたいという思いから、たまたまあったヨット部へ入部した。470級に乗り始めたのは大学生になってから。卒業したら競技活動を終えるつもりだったが、最後のインカレで結果が出ず、悔しい思いでいたときに吉田と出会い、2013年にペアを結成してオリンピックを目指すことに。リオデジャネイロ五輪では、メダルまであと一歩の5位入賞を果たした。

吉田・吉岡ペアは2度目の五輪で初のメダルを狙う。
吉田・吉岡ペアは2度目の五輪で初のメダルを狙う。吉田・吉岡ペアは2度目の五輪で初のメダルを狙う。

二人の年齢差は10歳。日本を代表する選手だった吉田は、吉岡と初めて会ったときの印象を「背が高くて、ヨットが好きなんだな」と語っている。その後、連絡を取り合うようになり、吉岡が吉田の家に泊まるなど親交を深めていき、最終的には吉田が吉岡のオリンピックへの熱い気持ちに打たれてペアを結成した。吉田は座って帆を操るスキッパー、吉岡は体全体を使って船のバランスを取るクルーというポジションをこなす。クルーは高身長が有利とされており、吉岡の背の高さが大きな武器となっている。

前回のリオデジャネイロ五輪で吉田・吉岡ペアは、転覆など、いつもしないようなミスをしてしまった中での5位だった。2020年に40歳を迎える吉田は、東京五輪を選手としての集大成と捉え、吉岡は4年前のリベンジを果たすためにしっかりと準備したいと語っている。

ライバルがしのぎを削る日本男子470級

男子の注目選手として、470級の磯崎哲也・高柳彬ペアを挙げよう。ふたりは2018年8月の世界選手権で、スタートから攻めの姿勢を崩さず、銀メダルに輝いた。勢いそのままに臨んだアジア大会では、見事に金メダルを獲得し、アジアの頂点に立った。

磯崎は1992年4月4日生まれ。埼玉県出身。2020年には28歳になり、プレーヤーとして脂が乗り切る時期を迎える。高柳は1996年8月21日生まれ。石川県出身。磯崎よりも4歳下で、188cmの高身長はクルーとして魅力的である。

2018年9月に開催されたセーリングワールドカップシリーズ江の島大会では7位、江の島オリンピックウィークは6位とメダルを逃し、「アジア大会以降、燃え尽きそうになっている」と磯崎は語ったが、海外勢との接戦でも、しっかりと成績を残していることから、日本男子470級ではオリンピック最有力候補であることは間違いない。

日本勢で唯一メダルを獲得したのが、アテネ五輪男子470級で銅メダルに輝いた関一人(左)・轟賢二郎(右)ペア。
日本勢で唯一メダルを獲得したのが、アテネ五輪男子470級で銅メダルに輝いた関一人(左)・轟賢二郎(右)ペア。日本勢で唯一メダルを獲得したのが、アテネ五輪男子470級で銅メダルに輝いた関一人(左)・轟賢二郎(右)ペア。

この磯崎・高柳ペアのライバルともいえるのが、岡田奎樹・外薗潤平ペアだ。世界選手権では6位だったものの、セーリングワールドカップシリーズ江の島大会で優勝。この大会が2020年東京五輪のテスト大会を兼ねたものであったことや、ワールドカップにおける日本男子の初優勝であったことから、本番での期待が一気に膨らむこととなった。続く江の島オリンピックウィークでも勝利を収めており、ペアを組んで1年ながら、国内大会では敵なしという実力をいかんなく発揮した。

岡田は1995年12月2日生まれ。福岡県出身。5歳からセーリング競技を始めて、国体、インターハイでの優勝経験を持つ。早稲田大学ヨット部で活躍した後、トヨタ自動車東日本に所属。日本セーリング界をリードする若手の一番手と目されている。ポジションはスキッパー。一方の外薗(JR九州)は1991年3月20日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島商業時代にセーリングを始めたそうだ。2020年東京五輪のとき、岡田は24歳、外薗は29歳となっている。

湘南を舞台に繰り広げられるセーリング競技。日本代表選手の強化は着実に進められており、男子490er級では古谷信玄・八山慎司ペアが2018年アジア大会で優勝したほか、同大会の女子レーザーラジアル級で土居愛実も優勝するなど、日本のレベルは上がっている。セーリングは、2020年東京五輪でのメダル獲得の可能性が高い、楽しみな競技のひとつと言えそうだ。

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