テコンドー女子:決して韓国の独壇場ではない。各国がしのぎ削る群雄割拠な競技

2000年シドニー五輪で正式種目となったテコンドー。
2000年シドニー五輪で正式種目となったテコンドー。2000年シドニー五輪で正式種目となったテコンドー。

韓国生まれのテコンドー。オリンピックの正式種目になったのは2000年のことで、2020年の東京五輪は20年目という節目の年になる。激しいフルコンタクト競技なので、女子といえども迫力は十分。テレビ観戦もいいが、生で観てこそ魅力が伝わるスポーツだ。

華麗な足技の攻防は「足のボクシング」

テコンドーは古くから朝鮮半島に伝わるテッキョンという武術と、日本の松濤館空手を母体として、1955年に韓国のチェ・ホンヒによって創始された格闘技。東京五輪が開かれる2020年で、ちょうど65年となる。他のスポーツに比べて歴史は浅いが、韓国の国技だ。「足のボクシング」といわれ、愛好家は世界に8000万人とされている。

華麗でダイナミックな蹴り技の応酬が特徴で、前蹴り、横蹴り、回し蹴り、逆回し蹴りなど、蹴り技の種類は多彩。目にもとまらぬ速さで、さまざまな角度から次々と足技が繰り出される。足ばかりが注目されるが、もちろん手による攻撃も認められている。

テコンドーは直接相手の体に攻撃を加えることができる「フルコンタクト」の競技だが、どこでも殴ったり、蹴ったりできるわけではなく、原則としてプロテクターを付けていない部位への攻撃は反則になる。下半身への攻撃も禁止だ。顔面へのパンチも禁止されているため、手による攻撃はボディーのみとなる。

技で1点から4点までのポイント加算。合計点で勝敗を決する

オリンピックのテコンドーは1988年ソウル五輪、1992年バルセロナ五輪にて公開競技として実施され、2000年シドニーオリンピックから正式種目として実施された。

階級は男女4階級ずつ全8階級で争われる。女子は49kg級、57kg級、67kg級、67kg超級に分かれる。2012年ロンドン五輪までは、特定の国(特に韓国)がメダルを独占しないように、1カ国につき男女2階級ずつ、最大4階級までしか出場できなかったが、2016年リオデジャネイロ五輪からはランキングポイントで出場権を獲得した選手については、国の規定人数が制限されないことになった。

オリンピックなどの国際大会では、打撃の強さや技術の有効性を正確に判定するために、電子センサーがついたプロテクター、ヘッドギア、ソックスを使用する。試合は打撃が当たることでポイントを積み重ねられ、どちらが多くポイントを獲得したかで勝敗が決まる。

アクロバティックな足技が繰り出される。
アクロバティックな足技が繰り出される。アクロバティックな足技が繰り出される。

技によってポイントが変わり、最高点の4点は頭部への回転蹴り。飛び回し蹴りや後ろ回し蹴り、180度回転したあとの頭部への攻撃も4点となる。3点は、頭部への回転蹴り以外の蹴り技や胴プロテクターへの回転技。頭上からかかとを叩きつけるかかと落としも3点となる。倒れたあとに審判が10カウントを数え、ファイティングポーズをとれないとKO(ノックアウト)負けになる。相手のセコンドが試合を中止させた場合は、TKO(テクニカルノックアウト)になる。逃げてばかりで消極的な態度で試合をしていると、反則を取られて減点される。

試合時間は、2分×3ラウンド制でインターバルは1分。3ラウンド終了時点で同点の場合は、ゴールデンポイントラウンドに進み、時間内に1点でも先取した選手が勝ちとなる。ポイントが入らない場合は、主審のジャッジで勝敗が決定される。

技の名前や審判の合図には韓国語が用いられる。回し蹴りが「トルリョチャギ」、かかと落としが「ネリョチャギ」、前蹴りが「アプチャギ」、横蹴りが「ヨプッチャギ」、「気をつけ」が「チャルリョ」、「礼」が「キョンネリェ」、「始め」が「シィジャック」。また、「準備」は「チュンビ」、「継続」は「ケイソク」など、漢字由来の言葉は、発音が日本語に似ているものもあって面白い。

岡本依子以来、メダルなしの日本。濱田真由、山田美諭に期待

日本人で活躍した選手といえば岡本依子が有名である。2000年シドニー五輪女子67 kg 級において銅メダルを獲得した。予選1でメリエム・ビダニ(モロッコ)に4-1で勝利。予選2でトルーデ・グンデルセン(ノルウェー)に4-7で敗れて敗者復活戦へと回る。そこでミルジャム・ミューケンズ(オランダ)と対戦し7-5で勝利し、3位決定戦でサラ・スティーブンソン(イギリス)に勝って銅メダルに輝いた。2004年のアテネ五輪は7位、2008年の北京五輪は1回戦敗退。2009年に現役引退し、現在は全日本テコンドー協会の副会長を務めている。

2000年シドニー五輪での岡本依子以来のメダル獲得を目指す日本。
2000年シドニー五輪での岡本依子以来のメダル獲得を目指す日本。2000年シドニー五輪での岡本依子以来のメダル獲得を目指す日本。

現役の注目選手は、国内で圧倒的な実力を誇る濱田真由だろう。57kg級で2012年ロンドン五輪5位入賞、2015年世界選手権では日本人初となる金メダルに輝いた。2016年リオデジャネイロ五輪は残念ながら9位に終わり、東京五輪でのリベンジに燃えている。

オリンピック出場経験はないものの、期待できるのが49kgの山田美諭。2011年第5回全日本選手権46kg級で優勝すると、翌年からは49kg級に転向して2015年まで5連覇を達成している。その間、2013年世界選手権ではベスト8、2014年アジア大会では5位と力を伸ばした。しかし、2016年1月のリオデジャネイロ五輪最終選考会で右ひざの靭帯を損傷し、オリンピック出場の夢を果たすことができなかった。約1年間のブランクを経て、2017年1月の全日本選手権で復活優勝を果たし、翌2018年も連覇。その後、2018年アジア大会に出場し、銅メダルを獲得している。

46kg級の松井優茄も注目だ。2015年、2017年全日本テコンドー選手権で優勝し、2017年の世界選手権大会兼ユニバーシアード競技大会の日本代表選手選考会でも優勝している。

海外の注目選手では、57kg級のジェード・ジョーンズ(イギリス)が筆頭だろう。2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪と2連覇、東京五輪では3連覇の期待がかかっている。また、67kg超級のマリア・エスピノサ(メキシコ)は、2012年ロンドン五輪銅メダル、2016年リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得。2017年世界選手権で銅メダルと健闘しており、2020年東京五輪で、悲願の金メダルを狙う。

今やテコンドーは、さまざまな国で行われるようになり、国際色豊かになっている。やはり、国技でもある韓国が一歩リードしていることは間違いないが、2020年東京五輪では、これまでメダル争いに加われなかった国の選手が、彗星のごとく現れることも十分に考えられる。もちろん日本の女子選手も負けてはいない。20年ぶりのメダル獲得に向けて、大きな期待が寄せられている。

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