バスケットボール男子日本代表「AKATSUKI FIVE」が、44年ぶりのオリンピック出場をめざす 

「アメリカ一強体制」の構図が長らく続く
バスケットボールでは、平均身長が2メートル前後の選手たちがスピーディーかつダイナミックな試合を繰り広げる
バスケットボールでは、平均身長が2メートル前後の選手たちがスピーディーかつダイナミックな試合を繰り広げるバスケットボールでは、平均身長が2メートル前後の選手たちがスピーディーかつダイナミックな試合を繰り広げる

オリンピックにおけるバスケットボール・シーンは「アメリカ一強体制」の構図が続いている。一方、日本男子は1976年のモントリオール五輪の出場を最後に、オリンピックに出場できていない。しかし、2016年にプロバスケットボール新リーグのBリーグが発足して以降、日本の選手たちは着実に力をつけている。44年ぶりにオリンピックの舞台に立てるのか。期待が高まる。

アクロバティックなプレーが何度も飛び出す

バスケットボールがオリンピックの正式種目となったのは1936年のベルリン五輪。28メートル✕15メートルのコートのなかで、平均身長が2メートル前後の選手によって繰り広げられるスピーディーかつダイナミックなゲームは世界でも人気が高い。全員攻撃、全員守備を特徴とするバスケットボールは試合展開も早く、アクロバティックなプレーがゲーム中に何度も飛び出すなどエンターテインメント性も人気の理由だ。

ゲームは5人対5人で行われ、ドリブルやパスでボールを相手コートへ運び、敵陣地のリングにボールを通すことでポイントを獲得する。1試合は10分を1ピリオドとして、4ピリオドの計40分で行われ、その間により多くの点を決めたチームの勝利となる。

前述したようにバスケットボールの一番の強豪国は、男子プロバスケットボールリーグのNBAを自国(とカナダの一部地域)で展開するアメリカだ。オリンピックでは過去15大会で金メダル、1大会で銅メダルを獲得している。直近の3大会を見れば、いずれも金メダルを獲得。リオデジャネイロ五輪の決勝ではセルビアを96−66で一掃している。絶対王者として君臨しており、「アメリカ一強体制」の構図が出来上がっている。

左からスコッティ・ピッペン、マイケル・ジョーダン、クライド・ドレクスラー。1992年の大会でアメリカは「ドリームチーム」を形成し優勝を果たした
左からスコッティ・ピッペン、マイケル・ジョーダン、クライド・ドレクスラー。1992年の大会でアメリカは「ドリームチーム」を形成し優勝を果たした左からスコッティ・ピッペン、マイケル・ジョーダン、クライド・ドレクスラー。1992年の大会でアメリカは「ドリームチーム」を形成し優勝を果たした

1992年のバルセロナ五輪では「ドリームチーム」が躍動

すでに述べたとおり、アメリカの強さは、NBA開催国として多くのスタープレーヤーを擁している点にある。バスケットボール発祥の地であり競技人口が多いため、優秀な選手が輩出しやすいという環境も影響しているだろう。

アメリカが圧巻の強さを見せつけたのが、1992年のバルセロナ五輪だ。

1988年のソウル五輪までは、オリンピックへのプロ選手の出場を禁止するアマチュア規定によって、NBAプレーヤーの出場が認められていなかった。だが、翌大会の1992年のバルセロナ五輪を機にアマチュア規定が廃止されたことにより、NBAで活躍するトッププレーヤーがオリンピックに出場できるようになった。マイケル・ジョーダンとスコッティ・ピッペン、パトリック・ユーイングとマジック・ジョンソン、チャールズ・バークレーとクライド・ドレクスラー……まさにオリンピックのバスケットボール史上最高のオールスターといっても過言ではない「ドリームチーム」が結成された。当然、同大会では金メダルを手にしている。

バスケ王国のアメリカは、もちろん東京五輪でも金メダルを狙っている。2018年4月に発表された東京五輪の代表候補にはそうそうたる選手が名を連ねた。

NBAでシーズンMVPに4度輝き、オールスターにも14度出場している「キング」ことレブロン・ジェームズを筆頭に、NBAのプレースタイルを変えたと言われる3ポイントシューター、ステフィン・カリー、現役プレーヤーのなかでも屈指のスコアラーであるジェームズ・ハーデンといった花形選手たちが候補に挙がっている。特にジェームズは2004年のアテネ五輪から3大会連続でオリンピックに出場しており、その経験値にも期待を寄せられている。

アメリカは東京五輪の代表候補にレブロン・ジェームズ(左)とステファン・カリーなど名手を選出。本気で金メダルを狙う
アメリカは東京五輪の代表候補にレブロン・ジェームズ(左)とステファン・カリーなど名手を選出。本気で金メダルを狙うアメリカは東京五輪の代表候補にレブロン・ジェームズ(左)とステファン・カリーなど名手を選出。本気で金メダルを狙う

日本代表のキーマンは本場で成長する渡邊雄太と八村塁

バスケットボールの男子日本代表は「AKATSUKI FIVE(アカツキファイブ)」の愛称で親しまれている。チームカラーの黒と赤を「日出ずる国」の「暁(あかつき)の空の色」になぞらえて命名されたもので、「新時代への夜明けを迎えよう」という願いが込められている。

過去のオリンピックを見てみると1936年のベルリン五輪での9位が最高順位。1976年のモントリオール五輪以降、オリンピックの舞台に立てない停滞期が長らく続いている。2020年の東京五輪への参加が決まれば、実に44年ぶりのオリンピックの舞台となる。

だが、東京五輪では他の競技とは違い、開催国枠での出場が保証されていない。開催国枠での出場権を得るためには、国際バスケットボール連盟(以下FIBA)に対して、日本が世界で戦える実力を示すことが必要となる。もし自力で出場権を手にする場合は、2019年の8月から9月に中国で開催されるFIBAワールドカップ(以下W杯)において、アジア勢で最上位の成績を収めることが必須となる見込みだ。そもそも、W杯に出場するためにはアジア2次予選を突破する必要があり、オリンピック出場までの道のりは決して平坦なものではない。

2019年2月時点のFIBAワールドランキングにおいて、日本は47位、アジアのなかでは7位と、世界と比較するとまだ決して高いレベルとは言えない。実際、アジア1次予選で4連敗を喫している、

しかし、その後6連勝と快進撃を見せ、3位に浮上した。

注目選手の一人が渡邊雄太だ。田臥勇太に続く日本人2人目のNBAプレーヤーで、オールラウンドプレーヤーとして攻守に優れ、早くから注目を集めてきた。現在は本場アメリカを舞台に活躍しており、海外選手との戦いのなかで培った経験をチームにフィードバックできれば、日本代表はさらなる飛躍を遂げるはずだ。渡邊同様、バスケ大国でプレーする八村塁(はちむら・るい)も注目株の一人と言える。アメリカの名門ゴンザガ大学でプレーしており、NBA入りが有力視されている。渡邊も八村も2メートルを超える長身が武器で、得点力も高い。彼らの活躍があったからこそ、アジア1次予選ではオーストラリア戦、カザフスタン戦、イラン戦を制することができた。

八村塁(左)と渡邊雄太。アメリカでプレーする2人がW杯と東京五輪出場のカギを握る
八村塁(左)と渡邊雄太。アメリカでプレーする2人がW杯と東京五輪出場のカギを握る八村塁(左)と渡邊雄太。アメリカでプレーする2人がW杯と東京五輪出場のカギを握る

東京五輪では3x3バスケットボールも採用

2020年の東京五輪ではバスケットボールに加え、新たに3×3(スリーバイスリー)が新種目として採用された。競技名のとおり3人対3人で行われるバスケであり、通常の5人対5人より、さらにスピーディーさを増したゲーム展開が魅力となっている。

3×3はフリースタイルバスケとも呼ばれ、スケートボードやBMXなどのようなエクストリームスポーツ同様、主にストリートで親しまれてきたスポーツだ。通常のバスケットボールコートの約半分、縦11メートル×横15メートルで行われる。ゲームは10分一本勝負。全世界での競技人口は40万人を超え、世界大会には180以上の国と地域が参加するほどの人気を誇る。

FIBAワールドランキングの上位にはセルビアやラトビア、スロベニアといった東欧、中欧の国が締めている。意外にも本場アメリカは2019年2月時点で7位に甘んじる。日本は23位。FIBA3x3W杯2018には鈴木慶太、小松昌弘、原修太、落合知也の4人が日本代表として臨んだが、1勝3敗で予選リーグ敗退を喫している。ただし、この種目のランキングは入れ替わりが激しく上位も安定していない。日本勢が東京五輪で上位進出を果たす可能性はゼロではない。

Bリーグ発足により、日本国内でも大きな盛り上がりを見せるバスケットボール。「AKATSUKI FIVE」の44年ぶりのオリンピック出場に加え、3×3勢の躍進が競技人気の向上と競技力の熟成を促すのは言うまでもない。来たる東京五輪は、日本バスケットボール界のさらなる転換期となり得る。

東京五輪では3×3バスケットボールも行われる。10分一本勝負のスリリングな展開に注目だ
東京五輪では3×3バスケットボールも行われる。10分一本勝負のスリリングな展開に注目だ東京五輪では3×3バスケットボールも行われる。10分一本勝負のスリリングな展開に注目だ
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