バドミントン全日本総合選手権レビュー:桃田賢斗が連覇達成...女子ダブルスは「ナガマツ」ペアが涙の初優勝

桃田は全試合ストレート勝ちの「完全優勝」で東京五輪へ弾み

バドミントンの日本一を決める全日本総合選手権大会が11月26日から12月1日にかけて開催された。男子シングルスは桃田賢斗が世界ランク1位の実力を見せつけて連覇達成。女子ダブルスでは、東京五輪の決勝カードになってもおかしくないハイレベルな戦いが繰り広げられた。

桃田賢斗は全試合ストレート勝ちで優勝。世界ランクは2018年9月から1位をキープしている
桃田賢斗は全試合ストレート勝ちで優勝。世界ランクは2018年9月から1位をキープしている桃田賢斗は全試合ストレート勝ちで優勝。世界ランクは2018年9月から1位をキープしている

桃田賢斗が見せつけた世界ランク1位の貫録

バドミントンの全日本総合選手権大会、男子シングルスで2年連続3度目の優勝を果たした桃田賢斗の戦いぶりには、まさに王者の風格が漂っていた。

初戦から21−14、21−6のストレート勝ちを収めると、波に乗った桃田を止められる者は誰もいなかった。2回戦も21−10、21−14と大差をつけて2セットを連取する。準々決勝は21−13、21−13、準決勝は21−11、21−12と相手を全く寄せ付けない。

決勝は、世界ランク15位の西本拳太が相手だった。同級生で「意地の張り合いになる」というライバルとの対戦は、序盤こそ競り合う展開となったが、次第に桃田が緩急をつけたショットでペースをつかみ、点差を広げていった。桃田は床に滑り込んだプレーで左手の甲から流血するケガを負ったが、試合中には全く気がつかないほど高い集中力を保っていた。終わってみれば決勝も21−14、21−12の圧勝。1回戦から1セットたりとも落とさず、すべてストレート勝ちで頂点に立った。

世界ランクは2018年9月から1位をキープ。今シーズンは国際大会で10勝を挙げるなどさらなる成長曲線を描いているが、今大会に臨むにあたって慢心はなかった。なぜなら、彼自身が国内で開催される大会を楽しみにしていたからだ。

「日本で試合をする機会があまりないので、(観客を)楽しませたい気持ちがすごくあった」

レシーブで抜群の対応を見せて会場をどよめかせるなど、世界1位の実力を惜しみなく発揮し、観客の期待に応えてみせた。国内ではもはや敵なし。東京五輪で金メダルに最も近い男の勢いは止まらない。

女子シングルスを制したのはリオデジャネイロ五輪銅メダリストの奥原希望。全日本総合選手権の優勝は自身3度目
女子シングルスを制したのはリオデジャネイロ五輪銅メダリストの奥原希望。全日本総合選手権の優勝は自身3度目女子シングルスを制したのはリオデジャネイロ五輪銅メダリストの奥原希望。全日本総合選手権の優勝は自身3度目

奥原希望が4年ぶりに女王返り咲き

女子シングルスでは、リオデジャネイロ五輪銅メダリストで世界ランク3位の奥原希望(のぞみ)が、4年ぶりに女王の座に返り咲いた。

決勝の相手は、初優勝を狙う大堀彩だった。第1セットの序盤、奥原は大堀の長身を生かした角度のあるショットに苦しみ、主導権を握られた。一時は1−6と点差をつけられたものの、奥原はネット際へのヘアピンなどで得点を重ね、食らいついていく。終盤まで両者譲らずの攻防が続いたが、最後は積極的な攻撃を見せた奥原が22−20で競り勝ち、第1セットを奪取。第2セットは序盤から11連続得点を奪って流れを引き寄せると、最後まで隙を見せることなく21−4と圧倒し、ストレート勝ちを収めた。

奥原が全日本総合選手権の頂点に立つのはこれで3度目だが、過去2回とは状況が異なる。2018年の同大会決勝で敗れた約3週間後、当時所属していた日本ユニシスを退社し、プロへの転向を発表した。東京五輪で金メダルを取るための覚悟の上での決断だった。だが、今シーズン、海外の大会では決勝で勝ち切れず、脆さを露呈していた。今大会のタイトルは、1年前の決断が間違っていなかったことの証しとなる。

一方、世界ランク4位で、今大会2連覇中だった山口茜(あかね)は、準決勝でまさかの敗退を喫した。世界ランク19位の大堀彩を相手に第1セットを21−11で奪ったものの、第2、第3セットはいずれも18−21のスコアで落とし、逆転負け。山口は8月の世界選手権で1回戦負けして以降、腰痛など故障が続き、十分な練習を積むことができていない。試合感覚も取り戻せておらず、課題が多く残った大会となった。

世界レベルの女子ダブルスを制したのは永原和可那(右)&松本麻佑(左)のナガマツペア。決勝では大会2連覇中の福島由紀&廣田彩花を下した
世界レベルの女子ダブルスを制したのは永原和可那(右)&松本麻佑(左)のナガマツペア。決勝では大会2連覇中の福島由紀&廣田彩花を下した世界レベルの女子ダブルスを制したのは永原和可那(右)&松本麻佑(左)のナガマツペア。決勝では大会2連覇中の福島由紀&廣田彩花を下した

「ナガマツ」ペアが東京五輪の前哨戦を制す

「世界一熾烈な争い」とも言える女子ダブルスは、前評判どおりの熱戦が繰り広げられ、永原和可那&松本麻佑の「ナガマツ」ペアが初優勝を果たした。

2018年、2019年の世界選手権で連覇を達成している2人であっても、頂点までの道のりは険しかった。準決勝で、リオデジャネイロ五輪金メダリストの高橋礼華&松友美佐紀の「タカマツ」ペアと激突。結果は2−0のストレート勝ちだったが、第2セットは22−20と接戦だった。

決勝の相手は、世界ランク2位で大会2連覇中の福島由紀&廣田彩花の「フクヒロ」ペアで、フルセットまでもつれ込む激戦となった。第1セットを10−21で落とすと、後がなくなったことで永原は「開き直った」という。攻める姿勢を取り戻したナガマツペアは第2セットを21−15で奪い返し、最終セットは21−8と大差をつけて奪取。ナガマツペアは初めての全日本タイトル獲得に歓喜の涙を流した。

2枠しかない東京五輪代表は、2020年4月28日に発表される世界ランクによって決定され、今大会の結果はポイントに反映されない。しかし、東京五輪の前哨戦と言えるほどレベルの高い戦いを制したナガマツペアが手にした自信と経験は、間違いなく2020年の夏につながるはずだ。

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