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バドミントン男女混合ダブルス:世界の強豪に挑め!渡辺・東野ペア

渡辺勇大(右)・東野有紗(左)ペア

長い低迷期にあった日本バドミントン界がようやく息を吹き返してきた。これまでオリンピックではメダル争いに加われなかったが、コーチ陣の強化や設備面の拡充など、選手育成面での改革の成果が現れ始めている。男女シングルスやダブルスで、世界との距離を縮めつつある中、少し出遅れ感があった混合ダブルスだったが、日本のペアが世界ランキング3位につけるなど、少しずつ、その差を詰めてきている。ただ、混合ダブルスが2020年東京五輪でメダル争いに絡むには、さらなる飛躍が必要となる。

身体能力差のある男女が一つのチームを組む混合ダブルス。女性がフロントに出て、男性がバックを固めるのが基本スタイルだ。同性のダブルスと異なり、役割分担がポイントになると言われている。また、ラリー中にいったん崩れると、立て直すのが難しいとされ、この役割分担が崩れてミスすると、ポイントにつながりやすいことも特徴のひとつだ。それだけにお互いのフォローと気遣いが求められ、パートナーとの信頼関係や人間関係の構築が不可欠と言われている。

「イケシオ」が活躍で混合ダブルスの知名度がアップ

これまで、日本では混合ダブルスに本格的に打ち込む選手が少なく、過去の成績は決して満足のできるものではない。バドミントン混合ダブルスがオリンピックの競技に加わったのは1996年アトランタ五輪からだ。これまで6大会が行われ、日本代表はまだメダルを獲得できていない。

2008年に、小椋久美子との「オグシオ」コンビで人気の高かった潮田玲子が、混合に転向し、池田信太郎と組んだペアが、2011年のBWFスーパーシリーズファイナルズで3位を取るなど、優勝はないものの、国際大会で好成績を重ねてきた。国内でも、全日本総合選手権で2010年に準優勝、2011年に優勝し、同年のロンドン五輪にも出場した。ちなみにこのペアは同じ高校の先輩と後輩。“イケシオ”ペアという愛称で、人気を集め、混合ダブルスの知名度向上に大きく貢献した。

“イケシオ”ペアという愛称で、人気を集めた潮田玲子(左)と池田信太郎(右)

混合ダブルス専任のペアとコーチで本格的な強化に着手

これまでなかなか満足ができる成績を上げることができなかった混合ダブルス。実は専任のコーチがおらず、ペアも日本代表メンバーから即席で編成して戦うことが多かった。日本ではジュニアの時期にしか大会がなく、男子ダブルス、女子ダブルスの強化が優先されてきた。裏を返せば、「本気」で混合ダブルスという競技に取り組んでいなかったと言えるだろう。

しかし、日本バドミントン協会は2018年1月に、マレーシア代表で男子ダブルスコーチを務めていたジェレミー・ガンを専任コーチとして招聘。さらに混合ダブルス専任の日本代表を選出するなど、東京五輪に向けて本格的な強化をスタートさせた。そして、成果はすぐに現れた。3月に行われた全英オープンで、渡辺勇大・東野有紗のペアが優勝したのだ。歴史があり、世界のトップ選手たちが重きをおく同大会の混合ダブルスで、日本代表ペアが初制覇という快挙を成し遂げた。

国内最強ペアはどこまで世界に通用するのか

2018年12月時点での世界ランキングを見てみると、渡辺勇大・東野有紗ペア3位、権藤公平・栗原文音ペア40位、保木卓朗・米元小春ペア54位、保木卓朗・永原和可那ペア65位、小林優吾・松友美佐紀ペア74位、金子祐樹・松友美佐紀ペア75位、浦井唯行・宮浦玲奈ペア83位、三橋健也・篠谷菜留ペア85位と8組が100位以内に入っている。

日本ランキングのベストテンは渡辺勇大・東野有紗ペア1位、山下恭平・東野有紗ペア2位、保木卓朗・永原和可那ペア2位、金子祐樹・栗原文音ペア3位、権藤公平・栗原文音ペア3位、小林優吾・志田千陽ペア4位、金子祐樹・中西貴映ペア5位、浦井唯行・宮浦玲奈ペア6位、西川裕次郎・宮浦玲奈ペア7位、三橋健也・篠谷菜留ペア7位、西川裕次郎・尾﨑沙織ペア8位、岡村洋輝・篠谷菜留ペア9位、浦井唯行・横山めぐみペア9位、井上拓斗・篠谷菜留9位、高階知也・江藤理恵9位、中村圭輔・永原和可那ペア10位、岡村洋輝 ・中西貴映ペア10位、山田和司・志田千陽ペア10位、仁平澄也・上杉夏美ペア10位となっている。

日本バドミントン協会が2019年12月11日に発表した2019年日本代表選手をみると、混合ダブルスで内定していた、浦井唯行・宮浦玲奈ペア、権藤公平・栗原文音ペア、緑川大輝・齋藤夏ペア、山下恭平・篠谷菜留ペア、渡辺勇大・東野有紗ペアの5組の選手たちはすべて選ばれた。

注目すべきは、世界ランキング3位で日本人ペア最高位、日本ランキングもトップの渡辺勇大・東野有紗ペアだろう。世界ランキングで同ペアに続くのは、権藤公平・栗原文音ペアの40位と、かなり差が開いている。そうした状況を考えると、順当にいけば、渡辺勇大・東野有紗ペアが2020年東京五輪の代表に選ばれるだろう。2018年の全英オープンを日本人ペアとして初制覇の快挙を遂げ、国内頂上決戦の全日本総合選手権でも、保木・永原ペアを下して大会2連覇を達成している。

渡辺勇大(右)・東野有紗(左)ペア

両選手は、中高一貫のバドミントン強豪校として知られる福島県の富岡第一中学校の先輩後輩という関係だ。中学時代、海外遠征先でペアを結成し、3位に入ったことがきっかけで、高校進学後もペアを組み、2014年の世界ジュニア選手権でベスト4に入った。高校卒業後、二人は同じ日本ユニシスに所属しており、現在もペアを組んでいる。混合ダブルスで、これほど長期間ペアを組み続けているケースはないそうで、お互いのことをよく知る存在であり、重要だとされる役割分担も、体に染み込んでいることだろう。2020年東京五輪で二人は歴史に名を刻めるのか、バドミントンファンからの期待は高まる。

また、渡辺選手は遠藤大由選手と男子ダブルスでもペアを組んでいる。2018年12月時点の世界ランキングは8位。男子ダブルス、混合ダブルスと2種目で東京五輪に出場する可能性もあるので、今後がとても楽しみだ。

6カ国のメダル争奪戦に風穴を開けろ

混合ダブルスが導入された1996年アトランタ五輪から2016年リオデジャネイロ五輪まで、中国・韓国・インドネシア・マレーシアのアジア勢4カ国に加え、イギリス・デンマークでメダル争いは独占されてきた。特に中国の実力は突出しており、世界ランキングの1位、2位を占めている。ここに、渡辺・東野ペアがどれだけ食い込めるかが鍵であり、大きな見どころだろう。

2018年中国・南京で開催された世界選手権に出場した渡辺・東野ペアは、3回戦で世界ランキング2位(2018年12月時点)の中国代表ペアに2−1で敗退した。ただ、序盤から前衛で東野選手が積極的にシャトルに触り、相手にペースを作らせず、1ゲームを制しており、決してワンサイドゲームで負けたわけではなかった。また、ノーシードから出場した2018年全英オープンでは、中国代表ペアを下して、歴史的な初制覇を達成した。地元開催となる2020年東京五輪では、6カ国の独占状態に、ぜひ風穴を開けてもらいたい。