注目記事 | ハンドボール

ハンドボール女子:44年ぶり五輪出場「おりひめジャパン」は2020年の東京で躍進できるか

おりひめジャパンは東京五輪で44年ぶりにオリンピック出場を果たすことになる。

国際ハンドボール連盟は2018年4月、2020年東京五輪の予選方式について発表した。ハンドボール女子日本代表は、開催国枠で、1976年モントリオール五輪以来44年ぶりとなる出場が決まった。現在、世界ランキング13位の “おりひめジャパン”は、2018年12月9日、熊本県で行われていた、第17回女子ハンドボールアジア選手権で、強豪国の韓国と決勝で対戦し、25-30で敗れて準優勝となった。2004年の広島大会以来、14年ぶり3回目の優勝を目指したが、結果は残念ながら完敗だった。この悔しさを2020年東京五輪で生かすために、“おりひめジャパン”はどうするべきなのだろうか。

発祥は紀元前600年の古代ローマ

ハンドボールは、1チーム7人(6名のコートプレイヤーと1名のゴールキーパー)の2チームがボールを手で相手のゴールに投げ入れて得点を競い合うスポーツだ。女子日本代表の“おりひめジャパン”という名前は、ハンドボールをプレーする人数の7人と、7月7日の七夕をかけていることに由来する。

ハンドボールの歴史は大変に古く、発祥は紀元前600年の古代ローマという説があるぐらいだ。現代のハンドボールの起源は、19世紀〜20世紀のヨーロッパで、そこから世界に広がった。19世紀の終わりにデンマークのホルガー・ニールセンが7人制を考案、20世紀初めにドイツのコンラッド・コッホが11人制を考案した。女子では1962年の世界選手権から7人制で統一されている。

東京五輪は12チームで争われる。開催国枠で日本が出場し、それ以外は、2019年世界選手権優勝国の1チーム、4大陸予選大会優勝国の4チーム、世界最終予選の3グループから上位2チームの計12チームが選ばれることになっている。

爽快でダイナミックなスポーツ

ハンドボールはサッカーとバスケットボールをミックスしたような競技と言われることがある。「走る・跳ぶ・投げる・ぶつかる」というダイナミックな動きに、「華麗なパス回し」という爽快さが加わる。ゴールから6メートルのゾーンは、キーパー以外は入ることができないため、ジャンプして空中から放つシュートは、球速のある選手だと、時速100kmを超えるという。

ゴール前でのダイナミックなシュートや華麗なパス回しからの速攻以外にも、体の正面からの接触プレーは反則にならないため、オフェンスとディフェンスが激しくぶつかりあったり、瞬きできないぐらいに試合展開が速かったりする点も、ハンドボールの魅力と言えるだろう。

コートの大きさは長さ40m、幅20m。ゴール前方6mは、ゴールキーパー以外に入ってプレーすることはできないエリアとなっている。もし、キーパー以外のディフェンス側が入った場合は、オフェンス側のペナルティースローとなる。女子で使用されるボールは外周54cm〜56cm、重さ325g〜375gと決まっている。試合は前後半各30分で、間に休憩15分を挟む。試合時間内で決着がつかない場合は、前後半各5分ずつの延長戦が行われる。なお、選手交代は審判に申告せずに、何度でも可能だ。

ボールはパスとドリブルでつないでいく。ボールの保有時間は3秒まで、ボールを持ってのステップは3歩までと決められている。空中でボールをつかんだ場合、両足で着地した場合は、着地後に踏み出した足を一歩と数える。ボールが足に触れてしまったり、ドリブルしたボールを一度持ち、再度ドリブルしたりすると反則になる。警告を2回受けた場合、重大な反則を行った場合、スポーツマンシップに反する行動とみなされた場合、選手は2分間の退場処分となる。


リオ五輪ではロシアが金メダルを獲得した。

歴史と伝統を持つヨーロッパ勢の強さ

ヨーロッパには欧州ハンドボール連盟(EHF)が存在し、毎年9月から5月にかけてヨーロッパ各国のクラブチームが競い合う大陸選手権が開催される。サッカーのUEFAチャンピオンズリーグではないが、そこで加盟国全体の技術レベルやチームの強さが底上げされるという。過去の五輪成績を振り返ると、ヨーロッパ勢がやはり強い。まず、金メダルの獲得国だが、1976年モントリオール五輪、1980年モスクワ五輪は旧ソビエト連邦。1996年から2004年まで、3連続でデンマーク、2008年、2012年はノルウェー、2016年のリオデジャネイロ五輪はロシアとなっている。

続いて、銀メダルと銅メダルは、その大半をヨーロッパ勢が獲得しているものの、アジアで群を抜いて強い韓国のことを忘れてはいけない。韓国はソウル五輪とバルセロナ五輪で2大会連続の金メダルに輝いているほか、ロサンゼルス五輪、アトランタ五輪、アテネ五輪で銀メダル、北京五輪で銅メダルを獲得している。金メダルの獲得数は世界4位、メダル獲得数だけだと世界ナンバーワンだ。

日本は1976年モントリオール五輪で初出場を果たした。結果は5位だったが、蔵田照美が得点王を獲得している。以降、リオデジャネイロ五輪まで出場できなかった。つまり、開催国枠ながら、2020年東京五輪は44年ぶりの出場ということになる、ただ、海外強豪国の選手たちの高さやパワー、当たりの強さに、日本代表の選手たちが対抗できるようになるためには、選手個人のフィジカルや技術を高める厳しいトレーニングが必要になりそうだ。

東京五輪では開催国の意地をみせたい。

“おりひめジャパン”の注目選手

そこで日本代表の注目選手を紹介しよう。まず池原綾香選手だ。池原は1990年9月24日生まれ、沖縄県浦添市出身で、日本体育大学時代にジュニア世界選手権の日本代表に選出されている。日本リーグの三重バイオレットアイリスを経て、2017-2018年シーズンからデンマーク1部リーグのニューコビン・ファルスター所属している。日本人として男女を通じて初めて欧州ハンドボール連盟(EHF)の女子チャンピオンズリーグに出場した。157cmと小柄ながら、デンマークリーグのポジション別の優秀選手にも選ばれている。海外リーグで活躍する池原のプレーが、代表チームの中で、どのように生かされていくのかは、見どころのひとつだろう。

そして、キャプテンの原希美選手を忘れてはならない。1991年3月9日生まれ、宮崎県延岡市出身で、現在は三重バイオレットアイリスに所属している。2018年のアジア選手権で中国との激闘を制した準決勝において、ベストプレーヤーに選出された。スピーディーな試合展開が特徴のハンドボールでは、相手の攻撃を粘り強くディフェンスしながら、自分たちの攻撃リズムを作り出せるかどうかが、試合の勝敗を左右する。原は個人的な技術も優れているが、チームのキャプテンとして、“おりひめジャパン”をまとめていく役割にも期待したい。

最後に角南唯。1991年6月7日生まれ、岡山県倉敷市出身。大阪の四天王寺高校時代にインターハイでの優勝経験を持つ。進学した大阪体育大学で2度のインカレ優勝を達成し、2014年北國銀行ハニービーに所属し、チームの日本リーグ4連覇に貢献した。2018年5月に池原と同じデンマーク1 部リーグのニューコビン・ファルスターへの移籍を発表。2018年12月のアジア選手権でも主力として活躍するなど、現在の“おりひめジャパン”に欠かせない戦力となっている。

アジアの強豪、韓国の壁を超えろ

オリンピックで日本がメダルを取るためには、まず、アジア最強の韓国の壁を越えなければならない。2018年12月のアジア選手権。決勝は3大会連続で韓国という顔合わせとなり、「打倒韓国」で臨んだ試合だった。国内開催という地の利を生かし、日本代表は序盤からゲームをコントロールして、1点リードで試合を折り返す展開となった。しかし、後半に入ると、ディフェンスシステムを変更してきた韓国の圧力の前に、徐々に攻撃のリズムを失い、逆転を許した後は、じりじりと点差を広げられて、結局、25-30で完敗した。韓国の高さ、スピード、そして気迫の前に、日本代表は敗れてしまったのだ。決勝戦の「ベストプレイヤーオブザマッチ」に選ばれたのは、韓国の柳殷僖(リュウ・ウニ)選手。180cmという高身長を生かし、11得点を挙げた。

2019年11月30日から12月15日まで、熊本県で世界女子ハンドボール選手権が開催される。世界24カ国から参加するチームが激闘を繰り広げるこの大会は、その半年後に控える2020年東京五輪で、 “おりひめジャパン”がどの程度通用するかを占う上で、とても大切な大会になるだろう。世界選手権にはライバルとなる韓国、中国も出場する。しかも、その背後には、さらに高いヨーロッパの壁が控えている。果たして“おりひめジャパン”は、韓国の壁を超え、世界の壁を崩すことができるのか。世界選手権という試金石で、その真価が問われることになるだろう。