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フィギュアスケート全日本選手権プレビュー:羽生結弦は4年ぶりの奪還なるか? 女子は紀平梨花が初優勝を狙う

羽生結弦が欠場した直近3大会では、宇野昌磨が3連覇

文: オリンピックチャンネル編集部 ·

全日本フィギュアスケート選手権大会が、12月19日から22日にかけて行われる。世界選手権および四大陸選手権への最終選考も兼ねる今大会。男子シングルは4大会ぶりに出場する羽生結弦が王座奪還なるか。女子シングルは初優勝を狙う紀平梨花に注目が集まる。

オリンピック2連覇中の羽生結弦だが、全日本選手権は4年ぶりの出場。過去3大会は病気や故障で欠場している

世界選手権への出場権をかけて激突

全日本フィギュアスケート選手権大会は、毎年12月に開催される日本一決定戦だ。男女シングルスの出場選手は、前年の同大会で好成績を残した選手、各地区予選を通過して「東・西日本選手権大会」で上位に入賞した選手、国際大会とのスケジュールが考慮されて予選免除となった選手、全日本ジュニア推薦選手で、男女各30名ずつとなっている。

同大会の最も重要な開催意義は、世界選手権、世界ジュニア選手権、四大陸選手権への最終選考を兼ねていることだ。男女各3名ずつの出場枠がある世界選手権には、全日本選手権での優勝者と、同大会での上位者の中から今シーズンの他大会での成績が考慮されて選考された選手が出場する。

特にグランプリファイナル2019に出場した選手は有利となっており、男子シングルでは羽生結弦、女子シングルでは紀平梨花が該当している。また、ISUワールドスタンディング(世界ランキング)を見てみると、12月10日に発表された順位では、男子は羽生、宇野昌磨、田中刑事、女子は紀平、宮原知子、坂本花織が上位に名を連ねている。

一方、世界選手権(3月16日から22日開催)の約1カ月前に行われる四大陸選手権(2月4日から9日開催)は、ヨーロッパを除いた国と地域=アフリカ、アジア、アメリカ、オセアニアの大陸の選手たちが競い合う。こちらも日本代表の出場枠は男女各3名で、全日本選手権10以内の選手の中から他大会での成績を含め、総合的に判断され代表選手が決まる。

女子では紀平梨花が優勝候補の筆頭。12月のグランプリファイナルでは4位に終わり、今大会に寄せる思いは強い

羽生は5本もの4回転ジャンプを飛んだばかり

オリンピック2連覇中で、言わずと知れた日本の男子エース羽生にとって、全日本選手権は近年、少し縁のない大会と言っていいかもしれない。2012−13シーズンから2015−16シーズンは4連覇を達成しているが、2016−17シーズンはインフルエンザにかかり欠場。2017−18シーズンは11月のNHK杯公式練習中に負った負傷が癒えず、開幕3日前に欠場を決断した。昨シーズンは、11月のグランプリシリーズ・ロシア杯の公式練習で転倒して右足首を負傷し、グランプリファイナルとともに全日本選手権も欠場している。

今シーズンは4年ぶりに日本王者の座を奪還すべく臨む立場だが、彼の実力が国内でずば抜けた存在であることは間違いない。日本人で唯一出場した12月上旬のグランプリファイナルでは、フリーの演技で現行ルールにおいて初めて4種類5本もの4回転ジャンプを飛んだ。しかし、それでも結果はネイサン・チェン(アメリカ)に43.87点の大差をつけられて2位に終わった。リベンジを狙う世界選手権では前人未到の4回転半ジャンプに挑戦することを目標としており、全日本選手権は公式戦だが調整の場として格好の舞台となる。

羽生が欠場した直近3大会では、宇野が3連覇を果たしている。今シーズン、グランプリファイナルへの出場を逃している宇野も、今大会にかける思いを強く抱いていることだろう。

女子では、紀平が初のタイトルを狙う。昨シーズンの同大会では、坂本、宮原とともに壮絶な接戦を繰り広げた。グランプリファイナル女王として挑んだ紀平は、ショートプラグラムでミスが響き、5位と出遅れた。しかし、フリーでは大技トリプルアクセルを2度着氷して1位となり、合計得点で2位まで上昇。2大会連続の表彰台入りを果たした。今年12月のグランプリファイナルでは、ロシア勢の牙城を崩せず4位と苦杯をなめているだけに、今大会ではジャンプの構成や精度の面で進化の兆しを示したいところだ。

羽生と同じ仙台市出身の佐藤駿(左)と、オリンピアンの父を持つ鍵山優真(右)。10代の若手の躍動にも注目が集まる

男子シングルの新星、15歳の佐藤駿に注目

今大会はジュニア選手にも出場枠が設けられているが、なかでも注目はシニアの大会に初参戦する15歳の佐藤駿だ。佐藤は12月上旬に行われたジュニアグランプリファイナルにおいて、ジュニア世界歴代最高得点となる255.11点を叩き出して頂点に立った。

羽生と同じ宮城県仙台市出身の佐藤は、食事の間や移動中の車内などでは、ひたすら羽生の動画を見てイメージをつくっているほど、同郷の先輩の影響を強く受けて成長を遂げてきた。初めて羽生と同じ舞台で戦うことになる今大会で、どれほどの力を発揮できるだろうか。

また、オリンピック出場歴を持つ鍵山正和の息子で、今年の全日本ジュニア選手権では佐藤に大差をつけて優勝している鍵山優真も、シニアの大会でどれだけ爪痕を残せるか、期待が高まる。