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【プレイバック】サッカー・アテネ五輪:「谷間の世代」の日本は経験不足からグループリーグ最下位に...アルゼンチンが異次元の強さで優勝

パラグアイとの初戦、序盤のミスからの失点でリズムを崩す

サッカー男子日本代表は2004年アテネ五輪で3大会連続のオリンピック出場を果たした。メダル獲得をめざしたが、初戦、2戦目ともに開始早々に失点するなど経験不足を露呈し、早期敗退を喫した。日本に勝利したパラグアイとイタリアはそれぞれ銀メダルと銅メダルを獲得。アルゼンチンが異次元の強さで金メダルを獲得している。

当時オランダのフェイエノールトでプレーしていた小野伸二(右)をオーバーエイジ枠で招集。抜群のチャンスメーク力に期待が集まった

エース候補が大会直前に無念の離脱

1996年アトランタ五輪では、ブラジルから大金星を挙げる「マイアミの奇跡」を成し遂げた。2000年シドニー五輪は中田英寿や宮本恒靖、柳沢敦らに加え、高原直泰、稲本潤一、中田浩二、本山雅志ら「黄金世代」を擁するメンバーでメダル獲得をめざしたが、準々決勝でPK戦の末にアメリカに敗れ、悲願達成には至らなかった。

迎えた2004年アテネ大会では3大会連続のオリンピック出場を果たし、山本昌邦監督は「最強メンバー」と語る18人を選出した。最終ラインには田中マルクス闘莉王、中盤に松井大輔や阿部勇樹、今野泰幸や駒野友一、前線には大久保嘉人と、のちにA代表で活躍し、ワールドカップ(以下W杯)にも出場するメンバーが名を連ねた。3名まで招集できるオーバーエイジ枠には、2002年日韓W杯を経験したGKの曽ケ端準とMFの小野伸二を入れた。

本来なら高原もオーバーエイジ枠でエースストライカーとして招集される予定だったが、メンバー発表直前に肺動脈血栓塞栓症、いわゆるエコノミークラス症候群を再発させてしまい、外さざるを得なかった。また、小野を入れたことにより、アジア最終予選でキャプテンを務めた鈴木啓太も落選となった。

基本フォーメーションは3−5−2。GKは曽ケ端、最終ラインは右から那須大亮、闘莉王、茂庭照幸。阿部と今野がボランチを組み、ウイングバックは右が徳永悠平、左が森﨑浩司。トップ下に小野が入り、2トップが大久保と高松大樹という布陣が基本だった。

大久保嘉人(手前)はパラグアイ戦とガーナ戦で得点。アテネ五輪での経験を2010年と2014年のワールドカップで生かしている

パラグアイに4失点、イタリアに3失点を喫す

日本はグループBに組み込まれ、パラグアイ、イタリア、ガーナと同居した。アテネ世代は他の年代と比べると国際経験が乏しく「谷間の世代」という呼ばれ方もされていた。そして本大会ではその経験不足が如実に現れてしまった。

初戦のパラグアイ戦では、開始早々の5分に那須がクロスボールの処理を誤って先制点を許してしまう。その後は点の奪い合いとなり小野が2得点を挙げる働きを見せたものの、常に後手を踏む展開で追いつくことができず、3−4で競り負けた。

早くも後がなくなった日本は、続くイタリア戦でそれまでほぼ採用したことのなかった4バックで挑む。しかし、開始3分にダニエレ・デ・ロッシ、8分にアルベルト・ジラルディーノにゴールを奪われてしまう。慌てて3バックに戻したものの、結局この試合でも主導権は握れず、ジラルディーノに追加点を奪われて2−3で敗戦。早々にグループリーグ敗退が決定した。

最後のガーナ戦は大久保のゴールで1−0と勝利し、なんとか勝ち点を手にして終えることができた。グループリーグ最下位に終わったものの、日本はこの大会、3試合で6得点と多くのゴールを決めている。1996年アトランタ五輪と2000年シドニー五輪では、いずれもグループリーグ3試合で4得点だったことを考えると、得点力に関しては申し分のない数字を残したと言っていい。一方で7失点を喫しており、自分たちのミスが失点につながったこと、付け焼刃の戦術を採用して混乱したことなど、準備不足と経験不足が指摘されても仕方のない結果と内容だった。

大会当時、日本の選手は多くがJクラブ所属だったが、阿部や松井、大久保らはほどなくヨーロッパに渡り、この大会で対峙した選手たちともしのぎを削り合うこととなる。

背番号10をつけた松井大輔(右)はアテネ五輪後に海を渡った。ル・マン、サンティティエンヌ、グルーノーブルなど、フランスのクラブで長く活躍している

異次元のアルゼンチンが無失点優勝を達成

グループリーグで日本を下したパラグアイは1位、イタリアは2位で決勝トーナメントに進み、その後も快進撃を見せた。準々決勝でマリを1−0で退けたイタリアは準決勝でアルゼンチンに0−3で敗れ去ったものの、3位決定戦ではイラクに1−0で勝利し、銅メダルを獲得した。日本戦で2ゴールを記録したジラルディーノは通算4ゴールを挙げ、得点ランキング3位タイの好成績を残している。

パラグアイは準々決勝で韓国に3−2、準決勝でイラクに3−1と勝利し決勝に進出。この時点で、夏季オリンピックにおける全競技を通じての同国初のメダル獲得を確定させた。決勝ではアルゼンチンとの南米対決に0−1で敗れ、銀メダルに終わったものの、国民に大きな喜びをもたらしている。パラグアイは守備的なスタイルを伝統としているが、この大会ではホセ・カルドソが5ゴールで得点ランク2位、フレディ・バレイロが4ゴールで3位タイと、攻撃力も持ち味の一つだった。

そして、日本に土をつけたイタリアやパラグアイをも圧倒する実力を見せつけて金メダルを獲得したのがアルゼンチンだった。マルセロ・ビエルサ監督のもと、ロベルト・アジャラやファブリシオ・コロッチーニ、ハビエル・マスチェラーノやルイス・ゴンサレス、カルロス・テベスやアンドレス・ダレッサンドロらA代表の主力クラスが名を連ねた。直前に行われたコパ・アメリカ2004で準優勝したのとほぼ同じメンバーで大会に挑み、6試合を戦って17得点無失点という強烈な数字を残した。10番を託されたテベスは8ゴールで得点王に輝いている。

アルゼンチン代表はガブリエル・エインセ(後列左から2人目)をはじめ、A代表クラスの選手を擁し、無失点優勝を果たしている