【プレイバック】サッカー・ロンドン五輪:44年ぶりのメダルまであと一歩に迫りながら、アジアのライバル韓国に屈す

カウンターサッカーを徹底し、優勝候補スペインを撃破

2012年のロンドン五輪では、アジア勢の躍進が世界を驚かせた。44年ぶりの表彰台まであと一歩に迫った日本と、オリンピックサッカー初のメダルを手にした韓国だ。日本はアグレッシブな攻撃陣を擁してカウンターサッカーを展開し、準々決勝までは無失点と堅守も光る戦いぶりを見せた。

ロンドン五輪のメンバーはその後A代表でも主力に。吉田麻也、清武弘嗣、酒井宏樹、酒井高徳、山口蛍、宇佐美貴史、齋藤学らがワールドカップの舞台を経験している
ロンドン五輪のメンバーはその後A代表でも主力に。吉田麻也、清武弘嗣、酒井宏樹、酒井高徳、山口蛍、宇佐美貴史、齋藤学らがワールドカップの舞台を経験しているロンドン五輪のメンバーはその後A代表でも主力に。吉田麻也、清武弘嗣、酒井宏樹、酒井高徳、山口蛍、宇佐美貴史、齋藤学らがワールドカップの舞台を経験している

準々決勝まで無失点と堅守を披露

オリンピックにおけるサッカー男子日本代表の歴代最高成績は、1964年メキシコ五輪の銅メダルだ。その偉業に次ぐ結果を収めたのが、2012年のロンドン五輪だった。44年ぶりのメダルにはあとわずかで手が届かなかったものの、日本の快進撃は国内のサッカーファンのみならず、世界のサッカー関係者を驚かすのに十分なものだった。

グループリーグ第1戦で優勝候補の本命と目されていたスペインを、大津祐樹が挙げた得点を守りきって1−0で撃破すると、第2戦のモロッコ戦も1−0のスコアで接戦を制した。第3戦はホンジュラスと0−0で引き分け、無失点のまま2勝1分の負けなしという手堅さでグループDを首位通過した。

決勝トーナメントに入ると、エジプトとの準々決勝で攻撃陣が爆発。永井謙佑、吉田麻也、さらに大津の得点で3−0の快勝を収め、ベスト8進出を果たす。史上初の決勝進出をかけた準決勝では、メキシコと激突した。日本は立ち上がり12分に大津のミドルシュートで幸先よく先制したものの、31分に今大会初の失点を喫してしまう。すると、その後は守備が崩れ、結局1−3で完敗。3位決定戦に回ることとなった。

メダルを争う相手はアジアのライバル韓国だった。メキシコ戦の敗戦から中2日。メンタル面への影響に加え、約2週間で6試合目という過密日程の影響も大きかった。オリンピック初の表彰台入りをめざす韓国の勢いにのまれる格好となってしまった日本は、38分に先制を許す。反撃を試みるも、57分にも追加点を喫し、0−2で元Jリーガーの洪明甫(ホン・ミョンボ)監督が率いる韓国に屈して、悔し涙をこぼす結果に終わった。

当時オランダでプレーしていた大津祐樹(左端)は強烈なインパクトを残した。チームトップとなる3得点を挙げている
当時オランダでプレーしていた大津祐樹(左端)は強烈なインパクトを残した。チームトップとなる3得点を挙げている当時オランダでプレーしていた大津祐樹(左端)は強烈なインパクトを残した。チームトップとなる3得点を挙げている

カウンターサッカーを支えたアタッカー陣

関塚隆監督が率いたロンドン五輪日本代表には、6人の海外組がいた。吉田麻也(VVVフェンロ/オランダ)、酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)、酒井高徳(シュツットガルト/ドイツ)、清武弘嗣(ニュルンベルク/ドイツ)、宇佐美貴史(ホッフェンハイム/ドイツ)、大津祐樹(ボルシアMG/ドイツ)だ。オーバーエイジ枠は吉田と徳永悠平(FC東京)の2名で、チーム最年少は当時19歳の杉本健勇(東京ヴェルディ)だった。

関塚ジャパンは、前線からのハイプレッシャーを武器とし、カウンターサッカーを極めた。特にグループリーグ第1戦のスペイン戦では、技術やポゼッション力で上回る相手に対して、激しいプレッシングからボールを奪い、カウンターに持ち込む形が奏功した。関塚監督は、攻守に連動した躍動感のあるサッカーを「日本らしさ」と表現し、オリンピックという大きな国際大会で日本が強豪国相手にカウンターサッカーを用いることが有効であることを示してみせた。

カウンターサッカーを支えていたのは、大津、永井、清武、東慶悟といったアグレッシブさが持ち味の攻撃陣だ。彼らのスピードと90分間ハードワークを続ける献身性があってこそ、成り立っていた戦術だった。なかでも永井は今大会での活躍により注目度を上げ、2013年1月にベルギーのスタンダール・リエージュへの移籍を果たしている。また、守備ではオーバーエイジ枠の吉田が豊富な経験を生かし、リーダーシップを発揮。準決勝の前まで無失点を貫いた堅守を支えていた。

前線からのハイプレッシャーを武器とする関塚ジャパンにあって、トップ下の東慶悟(右)は献身的なディフェンスでもチームを支えた
前線からのハイプレッシャーを武器とする関塚ジャパンにあって、トップ下の東慶悟(右)は献身的なディフェンスでもチームを支えた前線からのハイプレッシャーを武器とする関塚ジャパンにあって、トップ下の東慶悟(右)は献身的なディフェンスでもチームを支えた

タフさ際立ったメキシコが自国初の金メダル

日本、韓国とアジア勢を準決勝で敗退に追いやり、金メダルへの挑戦権を手にしたのは、メキシコとブラジルの2チームだ。決勝戦では、開始30秒ほどでメキシコが先制し、70分すぎにも追加点をマークする。終了間際にブラジルが1点を返したものの、このままタイムアップを迎え、メキシコが初のオリンピック金メダルを獲得した。

今大会におけるメキシコは、唯一の海外組であったジョバニ・ドス・サントス(当時トッテナム/イングランド)を中心とした圧倒的な攻撃力が目を引いたが、それ以上に守備面でのタフさが際立ったチームであった。日本もブラジルも、ブロックを敷いて連動して守り、球際に厳しいメキシコの守備に手を焼いた。また、日本戦とブラジル戦で得点を挙げたオリベ・ペラルタのように、高い決定力を備えたストライカーを擁したことも、堅守をベースとしながら勝利を重ねることができた要因の一つだ。

銀メダルに終わったブラジルは、ネイマール、オスカル、アレシャンドレ・パト、ガンソといった世代屈指のタレントをそろえるだけでなく、オーバーエイジ枠でチアゴ・シウバ、マルセロといった強力な守備陣を整え、金メダルへの本気度を示していた。それでも悲願には一歩届かなかったが、ここは過密日程による厳しい戦いを制したメキシコを称えるべきだろう。なお、2019年シーズンにJリーグの川崎フロンターレに加入したレアンドロ・ダミアンは、このロンドン五輪で計6ゴールを挙げ、得点王に輝いている。

韓国のベスト4進出も世界にとってはサプライズの一つだった。日本と同様に大会を通して堅守が光り、自国初のオリンピックメダル獲得で大会をあとにした。

大会得点王に輝いたのはブラジルのレアンドロ・ダミアン。2019年春にJリーグの川崎フロンターレに加入している
大会得点王に輝いたのはブラジルのレアンドロ・ダミアン。2019年春にJリーグの川崎フロンターレに加入している大会得点王に輝いたのはブラジルのレアンドロ・ダミアン。2019年春にJリーグの川崎フロンターレに加入している

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