【プレイバック】チームのマンネリ化を止められず、サッカー女子日本代表はまさかのアジア予選敗退でリオ五輪出場を逃す

W杯6度出場の澤穂希が抜け、なでしこジャパンに大きな穴

他国が成長を遂げるなか、サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」はチームのマンネリ化を打開できなかった。2011年のワールドカップ優勝以後、日本列島は「なでしこフィーバー」に包まれた。当然、2016年のリオデジャネイロ五輪でも優勝が期待されていた。しかし、まさかの予選敗退という苦渋を味わうことになった。

アジア予選最終戦は北朝鮮に勝利したものの、リオ五輪行きのチケットは手にできず。宮間あや(左)と岩渕真奈(右)は悔しさを隠さなかった
アジア予選最終戦は北朝鮮に勝利したものの、リオ五輪行きのチケットは手にできず。宮間あや(左)と岩渕真奈(右)は悔しさを隠さなかったアジア予選最終戦は北朝鮮に勝利したものの、リオ五輪行きのチケットは手にできず。宮間あや(左)と岩渕真奈(右)は悔しさを隠さなかった

優勝候補がまさかの予選敗退

「なでしこジャパン」ことサッカー日本女子代表にとって、リオデジャネイロ五輪は屈辱的な大会となった。アジア最終予選を勝ち抜くことができず、本選の舞台に立つことすらなく姿を消したからだ。

2011年、ドイツ開催の女子ワールドカップ(以下W杯)で初優勝の栄冠を手にし、2012年のロンドン五輪と2015年のカナダW杯でもファイナリストに残ったなでしこジャパンは当然、リオデジャネイロ五輪でも優勝候補の一角に挙げられていた。予選当時の国際サッカー連盟(以下FIFA)のランキングは4位。オリンピック出場を逃したなかでは最上位で、敗退のニュースは、日本国内はもちろん、世界の女子サッカー界に衝撃を与えた。

アジア1次予選と2次予選を免除されていた日本は、6カ国による総当たりのリーグ戦形式で行われる最終予選から登場した。出場国は日本のほかに朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、オーストラリア、中国、韓国、ベトナム。2016年2月29日から3月9日にかけての短期決戦で、試合はすべて日本で開催されるという大きなアドバンテージがあった。

しかし、日本はオーストラリアとの第1戦を1-3で落とすと、続く韓国との第2戦は終盤に岩渕真奈の得点で先制しながら直後に追いつかれて1-1のドローに終わる。第3戦では中国に1-2で敗れ、早くも自力でのオリンピック出場権獲得の可能性が消滅してしまう。

第4戦のベトナム戦は6-1と攻撃陣が爆発し、最終戦は北朝鮮に1-0と終盤にかけて息を吹き返したものの、時すでに遅し。オーストラリアと中国に及ばず、2位までに与えられる出場権に届かなかった。2位の中国との勝ち点差は4。オリンピックでの予選敗退は2000年のシドニー五輪以来、4大会ぶりのことだった。

アジア最終予選では初戦のオーストラリアに1−3で敗戦。第3戦を終えて勝ち点1しか手にできなかった
アジア最終予選では初戦のオーストラリアに1−3で敗戦。第3戦を終えて勝ち点1しか手にできなかったアジア最終予選では初戦のオーストラリアに1−3で敗戦。第3戦を終えて勝ち点1しか手にできなかった

世代交代の失敗とマンネリ化

なでしこジャパンがリオデジャネイロ五輪出場を逃した要因にはさまざまな見解が挙げられている。なかでも大きな要因はチームの「マンネリ化」と「核の不在」だろう。

アジア最終予選を戦ったメンバー20人のうち、2011年のドイツW杯優勝経験メンバーは14人、2012年のロンドン五輪のメンバーは13人、カナダ杯のメンバーは16人。エース澤穂希の背番号10を受け継いだ大儀見優季(永里)をはじめ、宮間あや、福元美穂、近賀ゆかり、大野忍ら主力の多くは30歳を超え、ベテランの域に入っていた。さらに指揮官は2007年末からの長期政権となっていた佐々木則夫監督だった。ほぼ変わらぬ顔触れに同じ監督の指導、戦術では、チームはマンネリ化しやすい。

もちろん佐々木監督はリオ五輪予選までに新戦力の発掘に時間を割いた。当時22歳の横山久美などニューフェイスも数名は台頭してきたものの、結果的に世代交代はうまくいかなった。

男女通じて世界最多記録である6度のW杯出場を誇るなど、長らくなでしこジャパンのエースとして君臨してきた澤の跡を継ぐ選手の模索は、やはり簡単ではなかったのだ。澤は2015年12月年末に引退を発表していた。最終予選初戦のオーストラリア戦で黒星を喫したように、大事な局面でチームをけん引する、試合の流れを変える精神的なたくましさを備えた選手がなでしこジャパンには不在だった。2011年のW杯優勝以降、なでしこジャパンは他国に徹底的に研究される立場となっていたが、相手の対策を覆すほどの戦術的準備も足りていなかった。

2011年のドイツW杯優勝経験メンバーは14人。マンネリ化は否めず、若手の台頭による進化もほとんどなかった
2011年のドイツW杯優勝経験メンバーは14人。マンネリ化は否めず、若手の台頭による進化もほとんどなかった2011年のドイツW杯優勝経験メンバーは14人。マンネリ化は否めず、若手の台頭による進化もほとんどなかった

ドイツが悲願のオリンピック初制覇

リオ五輪の本大会は、開催国のブラジルを筆頭に12チームによって3つのグループリーグが行われた。ブラジル、オーストラリア、アメリカ、スウェーデン、カナダ、フランス、中国、ドイツの8カ国が決勝トーナメントに進出している。

際立ったのは、大会前時点でFIFAランク8位だったスウェーデンの快進撃だ。スウェーデンを率いたのは2008年から2012年にアメリカ女子代表の監督を務めていたピア・スンドハーゲ。スウェーデン女子サッカー界のレジェンド的存在のスンドハーゲの指揮のもと、スウェーデンは組織的な守備からカウンター攻撃への移行の速さを武器に、したたかな戦いぶりで勝利を重ねていった。準々決勝でオリンピック3連覇中だった女王アメリカをPK戦の末に破る波乱を巻き起こすと、準決勝でもブラジルをPK戦で撃破。ドイツとの決勝まで勝ち残った。

だが、決勝でより強さを見せたのはドイツだった。持ち味である屈強なフィジカルに加え、パワーとスピードに秀でたパス回しでゲームをコントロールした。攻守のバランスが取れたチームの戦いは盤石で、後半開始早々、一瞬の隙を見逃さずにスウェーデンの堅固が守備網をこじ開ける。さらに追加点を挙げ、結局は2-1で勝利。25歳以下の選手を多く擁し、若手育成の順調ぶりを発揮したドイツが悲願のオリンピック初優勝を遂げた。

3位決定戦ではブラジルとカナダが激突し、2-1で制したカナダが2大会連続の銅メダルに輝いた。ブラジルにとっては地元開催で表彰台を逃す無念の結果となった。

ドイツ女子代表がオリンピック初制覇。決勝トーナメントでは中国、カナダ、スウェーデンを下した
ドイツ女子代表がオリンピック初制覇。決勝トーナメントでは中国、カナダ、スウェーデンを下したドイツ女子代表がオリンピック初制覇。決勝トーナメントでは中国、カナダ、スウェーデンを下した

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