【プレイバック】世界王者としてロンドン五輪に挑んだなでしこジャパン、決勝に進むもアメリカにリベンジを許す

グループリーグでは引き分け狙いで物議を醸す試合も

前年のワールドカップで優勝したサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は世界王者として2012年ロンドン五輪に挑んだ。随所に勝負強さを発揮し決勝まで駒を進めたが、ライバルのアメリカに敗北。金メダルには手が届かなかった。アメリカがオリンピック3連覇を果たし、カナダが銅メダルを手にした。

決勝でアメリカに敗れた直後は悔しさをあらわにした選手たちだったが、日本女子サッカー史上初のオリンピックのメダルを手にするとその達成感から笑顔を浮かべた
決勝でアメリカに敗れた直後は悔しさをあらわにした選手たちだったが、日本女子サッカー史上初のオリンピックのメダルを手にするとその達成感から笑顔を浮かべた決勝でアメリカに敗れた直後は悔しさをあらわにした選手たちだったが、日本女子サッカー史上初のオリンピックのメダルを手にするとその達成感から笑顔を浮かべた

「世界一」のメンバーで挑んだなでしこジャパン

2011年にドイツで行われたFIFA女子ワールドカップ(以下W杯)で、サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は見事、世界一に輝いた。

翌2012年、なでしこジャパンは女子W杯とオリンピックの連覇をめざしてロンドン五輪に挑んだ。メンバーリストに名を連ねたのは、絶対的エースの澤穂希や司令塔の宮間あや、運動量豊富な川澄奈穂美、ストライカーの丸山桂里奈、大野忍、大儀見(永里)優季、若手の岩渕真奈ら18名。23歳以下の選手を中心に構成される男子と違って女子には年齢制限がないため、女子W杯で優勝したチームとほぼ同じメンバーで金メダルをめざした。

グループリーグはカナダ、スウェーデン、南アフリカと対戦。最初のカナダ戦は立ち上がりこそ緊張から動きが硬かったとはいえ、前半に川澄と宮間が得点を奪い優位に立つ。後半に1点を返されたものの最後まで集中力を切らさず、2-1で勝利して幸先の良いスタートを切った。2戦目の強豪スウェーデン戦は一進一退の攻防が続いたが、両チームともにゴールは生まれず、0-0の引き分け。他チームの結果により、この時点でグループリーグ突破が決まった。

最終節の南アフリカ戦では澤や大野、大儀見らを温存。この試合に勝って1位通過となれば準々決勝で強豪フランスと対戦する可能性があったため、佐々木則夫監督は引き分け狙いの戦いを選択する。ロンドン五輪直前の強化試合ではフランスに0-2で敗れていた。57分に川澄を投入する際には「カットインからの素晴らしいシュートはやめてくれ」と指示するなど終盤はリスクの低いプレーに終始し、狙いどおりスコアレスドローで試合を終えた。グループFを2位突破。準々決勝でのフランス戦は回避したが、勝利を狙いにいかない戦いは物議を醸している。

キャプテンを務めた宮間あや。正確なキックと判断を生かし、ゲームメークとチャンスメークと大車輪の働きを見せた
キャプテンを務めた宮間あや。正確なキックと判断を生かし、ゲームメークとチャンスメークと大車輪の働きを見せたキャプテンを務めた宮間あや。正確なキックと判断を生かし、ゲームメークとチャンスメークと大車輪の働きを見せた

苦しみながら決勝に進み、初のメダル獲得

準々決勝はブラジルとの対戦となった。序盤は相手に押し込まれたが、27分に大儀見が先制点を奪うと、後半には大野が追加点を奪い、相手の反撃も封じて2-0で勝利。ボール支配率はなでしこジャパンの36パーセントに対してブラジルは64パーセントと相手に大きくリードされたものの、硬い守備で相手の攻撃を封じ、カウンターも効果を発揮した。

メダルのかかった準決勝はフランスと激突する。32分に宮間のFKを相手GKがファンブルし、詰めていた大儀見が押し込んで先制すると、後半開始早々には再び宮間のFKから阪口夢穂がヘディングシュートを流し込み、追加点を奪う。その後はフランスの猛攻にさらされ、76分に1点を返されると直後にPKを献上してしまったが、相手のキックミスに助けられ同点は回避。36本ものシュートを浴びながら耐え続け、2-1で決勝進出を果たすとともに、日本女子サッカーとして初の銀メダル以上を確定させた。

決勝の相手は前年の女子W杯決勝と同じアメリカ。準々決勝ブラジル戦、準決勝フランス戦と同じ先発メンバーで臨んだが、開始直後から相手に攻め込まれると、8分に先制点を奪われてしまう。後半の立ち上がりにも1点を許し、大儀見が1点を返したもののあと1点が遠く、1-2でタイムアップを迎えた。女子W杯に続いての優勝はならなかったが、日本女子サッカー史上初の銀メダル獲得で大会を締めくくっている。

自身初のオリンピック出場となった川澄奈穂美。全6試合でプレーし、銀メダル獲得に大きく貢献している
自身初のオリンピック出場となった川澄奈穂美。全6試合でプレーし、銀メダル獲得に大きく貢献している自身初のオリンピック出場となった川澄奈穂美。全6試合でプレーし、銀メダル獲得に大きく貢献している

アメリカは3連覇達成。カナダのシンクレアが得点王に

優勝したアメリカは全勝でオリンピック3連覇を達成した。グループリーグ第1節でフランスを4-2で下し、その後コロンビアに3-0、北朝鮮には1-0と3連勝で首位通過を果たした。

準々決勝でアメリカはニュージーランドを2-0で下し、3試合連続の完封勝利を飾っている。準決勝のカナダ戦は激しい点の取り合いになり、3-3で延長戦に突入。スコアは動かずPK戦になると思われた延長後半アディショナルタイム、アレックス・モーガンが右からのクロスに頭で合わせ、劇的な決勝弾を奪った。

アメリカが決勝を含む6試合で奪ったゴールは参加チーム中最多の16。アビー・ワンバックが5ゴール、日本との決勝で2得点を奪ったカーリー・ロイドが4ゴール、アレックス・モーガンとミーガン・ラピノーが3ゴールと、アタッカー陣の活躍が光った。

3位決定戦はカナダとフランスの決戦となり、後半アディショナルタイムに決勝ゴールを奪ったカナダが1-0で勝利を収め、銅メダルに輝いた。日本とのグループリーグ初戦では3人の交代枠を使い切った後に負傷者を出し、最後の時間を10人で戦うという不運に見舞われ1-2で黒星を喫したカナダだが、南アフリカには3-0で快勝、スウェーデンには2-2と引き分け、グループリーグ3位で準々決勝へ。開催国イギリスと対峙した準々決勝は2-0で勝利したものの、準決勝ではアメリカと死闘を演じ、最後に力尽きた。それでも、アメリカ戦でハットトリックを達成したクリスティン・シンクレアが通算6ゴールで得点王に輝き、メリッサン・タクレディも4ゴールを記録するなど、カナダの健闘が光った。

前年の女子W杯ファイナルの再戦となった決勝でアメリカが日本にリベンジを達成し、カナダやフランスは持ち味を発揮して上位に躍進。開催国イギリスはイングランド、スコットランドの連合チームが出場してグループリーグでブラジルを破るなど、ロンドン五輪の女子サッカーは見どころが多い大会だった。

オリンピック3連覇を果たしたアメリカは得点力が高かった。大会を通してカーリー・ロイド(右)は4得点、アレックス・モーガン(左)は3得点を挙げている
オリンピック3連覇を果たしたアメリカは得点力が高かった。大会を通してカーリー・ロイド(右)は4得点、アレックス・モーガン(左)は3得点を挙げているオリンピック3連覇を果たしたアメリカは得点力が高かった。大会を通してカーリー・ロイド(右)は4得点、アレックス・モーガン(左)は3得点を挙げている

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