ボルダリングが五輪種目に? 東京オリンピックより実施される「スポーツクライミング」とは

メダル有力の日本は野口啓代と楢崎智亜が東京オリンピック代表に内定済み

東京オリンピックで初めて実施されるスポーツクライミング。競技の誕生は20世紀後半で、登山方法の一種であるロッククライミングが起源となっている。近年の日本では、初心者向けの種目であるボルダリングが若者を中心に人気を集め、競技施設も急増している。

20世紀後半、ロッククライミングの中のフリークライミングが発展してスポーツクライミングが誕生した
20世紀後半、ロッククライミングの中のフリークライミングが発展してスポーツクライミングが誕生した20世紀後半、ロッククライミングの中のフリークライミングが発展してスポーツクライミングが誕生した

日本国内でボルダリング施設が急増

スポーツクライミングは2020年の東京オリンピックで追加種目として初めて採用されることが決まった。競技の歴史をたどると、ロッククライミングの中のフリークライミングが起源となっている。

登山方法の一つをスポーツに特化させたのがスポーツクライミングであり、20世紀後半に誕生した。ロッククライミングは、険しい山や岸壁などを登る際の登山方法で、1953年に世界最高峰のエベレストが初登頂されたころから、純粋に岩や岸壁を登る行為を楽しむ人々がヨーロッパを中心に多く出てきた。フリークライミングとは、屋外にある自然の岩を、道具に頼らず自分の技術と体力だけで登ることを指す。

競技としてのスポーツクライミングは、1940年代後半から1980年代にかけてソビエト連邦が自然の岩場でスピード種目を実施したことが始まりと言われれている。続いて1985年にイタリアの岩場でリードによる初の競技会が開催された。

野口啓代は東京オリンピック出場が内定。小学5年生の時から競技に向き合ってきた日本スポーツクライミングの第一人者だ
野口啓代は東京オリンピック出場が内定。小学5年生の時から競技に向き合ってきた日本スポーツクライミングの第一人者だ野口啓代は東京オリンピック出場が内定。小学5年生の時から競技に向き合ってきた日本スポーツクライミングの第一人者だ

スポーツクライミングと似たようなものとしてよく耳にするボルダリングとは、クライミングの一種で、ロープなどを使わずに低めの岩や人工の壁を登る種目のことを言う。スポーツクライミングは、1989年に初めてワールドカップが開催され、1991年には世界選手権が始まった。当初はスピード種目だけの実施だったが、現在ではスピード、ボルダリング、リードの3種目で競われるようになった。東京オリンピックでは3種目の複合で順位を決する。

東京オリンピックでスポーツクライミングが追加種目に採用された背景には、日本国内で近年、若者を中心に競技人口が爆発的に増えており、ボルダリングの施設も急増していることがある。スポーツクライミングを実施することで、オリンピック自体への若年層の関心を高めるきっかけになることが期待されている。

男女それぞれ3種目複合で競う東京オリンピック

東京オリンピックで実施されるスポーツクライミングは「スピード」「ボルダリング」「リード」の3種目複合で男女それぞれ競われる。3種目の合計点で順位が決まるが、どの選手も得手不得手があるため、2種目終了時点では最終順位の予測ができないのが見どころだ。

楢崎智亜は2019年、東京・八王子で行われた世界選手権の複合で金メダルを獲得。東京オリンピックでの活躍が期待される
楢崎智亜は2019年、東京・八王子で行われた世界選手権の複合で金メダルを獲得。東京オリンピックでの活躍が期待される楢崎智亜は2019年、東京・八王子で行われた世界選手権の複合で金メダルを獲得。東京オリンピックでの活躍が期待される

スピードは、同じ条件で設置された高さ15メートル、95度に前傾した壁を2人の選手が同時に登り、その速さを争う。優勝タイムは男子では5~6秒、女子で7~8秒と瞬発力が問われ、フライングは一発失格となる。

ボルダリングは、高さ4メートルほどのコースを4分の制限時間内にいくつ登れるかを競う。壁は複雑で、指先しかかからない小さなものから、両手でも抱えきれないホールドが設定されており、選手たちは事前に練習ができないなかでホールドに左右どちらの足をかけるか、どこのホールドをつかむかをその場で考えながら登る。壁は途中から手前に倒れ込むオーバーハングになっていることが多いため、頭だけでなく、体の柔軟性も必要とされる。最上部のホールドを両手で保持することができればそのコースは完登と見なされ、途中で落下しても再度トライできる。

リードは、6分の制限時間内に高さ15メートル以上の壁のどの地点まで登れるかを競う種目だ。選手は安全のためにクイックドローと呼ばれる器具をロープにかけながら登り、トップのクイックドローにロープを掛ければ完登となる。途中で落ちた場合はそこで終了となり、完登した選、手あるいは同じ高さまで登った選手が複数いる場合は、タイムの速い選手が上位となる。

野中生萌は2013年、16歳の時に初めて日本代表入り。10年近く世界の第一線で戦ってきた
野中生萌は2013年、16歳の時に初めて日本代表入り。10年近く世界の第一線で戦ってきた野中生萌は2013年、16歳の時に初めて日本代表入り。10年近く世界の第一線で戦ってきた

東京オリンピックはお台場の仮設会場で開催

2019年8月に東京・八王子で行われた世界選手権の結果により、「全体の7位以内で、日本人最上位」の選考基準を満たした野口啓代(のぐち・あきよ)と楢崎智亜(ならさき・ともあ)が東京オリンピックの日本代表に内定した。

日本の五輪代表枠は男女それぞれ2枠あり、残る1枠ずつは選考対象資格を取得している選手のうち、2020年5月に開催されるスポーツクライミング・複合ジャパンカップで最上位となった選手に与えられる。野口と楢崎のほかに、野中生萌(のなか・みほう)や原田海(はらだ・かい)など実力者がそろう日本は、東京オリンピックでもメダル候補の有力として期待を集めている。

東京オリンピックのスポーツクライミングは2020年8月4日に幕を開け、4日間で全日程が行われる予定となっている。2019年9月23日時点で発表されている競技開催日程は以下のとおり。

8月4日

男子複合予選:スピード、ボルダリング、リード

8月5日

女子複合予選:スピード、ボルダリング、リード

8月6日

男子複合決勝:スピード、ボルダリング、リード

8月7日

女子複合決勝:スピード、ボルダリング、リード

会場は東京都江東区の青海アーバンスポーツパークで、常設の競技場ではなく、大型レジャー施設やショッピングモールなどが数多く立ち並ぶお台場に東京オリンピックの期間中、仮設で整備される。

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