「レジェンド」澤穂希は過去4大会に出場。世代交代を図った「なでしこジャパン」は東京五輪で初の金メダルを狙う

岩渕真奈、猶本光らが日本女子サッカーの新時代を築く
澤穂希は日本が出場したオリンピックの4大会すべてでプレー。ロンドン五輪では銀メダル獲得に貢献している
澤穂希は日本が出場したオリンピックの4大会すべてでプレー。ロンドン五輪では銀メダル獲得に貢献している澤穂希は日本が出場したオリンピックの4大会すべてでプレー。ロンドン五輪では銀メダル獲得に貢献している

2011年のワールドカップ優勝を機に、日本中にフィーバーを巻き起こした「なでしこジャパン」。しかし、2016年のリオデジャネイロ五輪では、予選敗退という屈辱を味わった。悲願の金メダル獲得とともに、日本女子サッカー界の再起をかけ、2020年の東京五輪に挑む。

女子サッカーは1996年のアトランタ五輪からオリンピックの正式種目となった。男子とは違い年齢制限はない
女子サッカーは1996年のアトランタ五輪からオリンピックの正式種目となった。男子とは違い年齢制限はない女子サッカーは1996年のアトランタ五輪からオリンピックの正式種目となった。男子とは違い年齢制限はない

前回女王はドイツ、アメリカは最多優勝

女子サッカーは1996年のアトランタ五輪からオリンピックの正式種目となり、過去6大会で実施されている。男子サッカーと異なるのは、出場選手に年齢制限がなく、FIFA女子ワールドカップと同等の世界大会として注目を集める点だ。

2018年12月発表のFIFAランクで1位につけるアメリカは、オリンピックにおいて過去4度の金メダル獲得と最も成功を収めている。2004年のアテネ五輪から2012年のロンドン五輪にかけては、3連覇を達成。アテネ五輪と北京五輪は、決勝の相手が2大会連続でブラジルとなり、いずれも延長戦までもつれ込む激戦を制した。ロンドン五輪の決勝では、大会前年のW杯女王の日本と激突し、2-1で接戦をモノにしている。

2016年のリオデジャネイロ五輪は、いくつかの波乱が発生した大会となった。まず、優勝候補の一角と見られていた日本がアジア最終予選で敗退。4連覇の懸かっていたアメリカは、準々決勝でPK戦の末にスウェーデンに敗れて姿を消した。そんななか、過去3度の銅メダルにとどまっていたドイツが悲願を達成。決勝でスウェーデンを2-1で下し、初の金メダルを手にした。

リオデジャネイロ五輪ではドイツが決勝でスウェーデンを下し、初の金メダルを獲得している
リオデジャネイロ五輪ではドイツが決勝でスウェーデンを下し、初の金メダルを獲得しているリオデジャネイロ五輪ではドイツが決勝でスウェーデンを下し、初の金メダルを獲得している

ギネス記録保持者の澤穂希らが一時代を築く

「なでしこジャパン」ことサッカー女子日本代表は、過去6大会のオリンピックのうち、アジア予選で敗退したシドニー五輪とリオデジャネイロ五輪を除いて4大会に出場している。初出場となったアトランタ五輪こそ3戦全敗でグループリーグ敗退に終わったものの、アテネ五輪ではベスト8に進出。北京五輪では、初めて準決勝まで駒を進め、4位入賞と表彰台まであと一歩に迫った。

2011年のW杯女王として臨んだロンドン五輪は、過去最も金メダルへの期待が高まった大会と言える。決勝でアメリカに1-2で破れたものの、男女通じてオリンピックのサッカー競技で初の銀メダルを獲得。2015年のW杯でもファイナル進出を果たし、順調に世界の強豪への道のりを進んできた。

「なでしこジャパン」の歴史を振り返るにあたって、澤穂希の名前を欠かすことはできない。中学3年時に日本代表デビューを飾り、過去6度のW杯出場というギネス記録を保有する彼女が残した、日本代表での205試合出場83得点という記録は、2018年12月時点で歴代トップの数字だ。

澤はオリンピックでも、日本が出場した4大会すべてでプレーしている。なかでも北京五輪の準々決勝では、地元、中国との一戦で先制点を挙げ、2-0の勝利に貢献。プレッシャーのかかる大舞台でキャプテンシーを発揮し、精神面でも他の選手たちをけん引した。澤に刺激されるように、海外クラブに所属経験のある宮間あや、永里優季、安藤梢(こずえ)らも存在感を増し、日本女子サッカー界は劇的な成長を遂げた。

岩渕真奈(中央)は16歳の時に代表デビューを果たし、18歳の時にW杯優勝を経験している
岩渕真奈(中央)は16歳の時に代表デビューを果たし、18歳の時にW杯優勝を経験している岩渕真奈(中央)は16歳の時に代表デビューを果たし、18歳の時にW杯優勝を経験している

エースとしての活躍が期待される岩渕真奈

華々しい成績で国内に女子サッカーフィーバーを起こしたなでしこジャパンだったが、リオデジャネイロ五輪のアジア最終予選敗退という屈辱を味わったことで、大きな転換期を迎えた。再起を図り、2016年4月に元なでしこジャパンMFの高倉麻子監督が就任。2020年の東京五輪を見据え、一挙に世代交代を推し進めた。

注目の一人は、18歳の時にW杯優勝を経験しているFW岩渕真奈だ。16歳で代表デビューし、長らくなでしこジャパンの一員として数々の国際舞台を経験してきた彼女には、「切り札」としての起用が多かった佐々木則夫前監督の体制下とは異なり、チームの軸としての活躍が期待される。2018年4月のアジアカップでは日本の連覇に貢献し、大会MVPに選出された。27歳で迎える東京五輪でも、日本を勝利に導くプレーが求められる。

実力と愛嬌のあるルックスで人気の高いMF猶本光(なおもと・ひかる)は、向上心が強く、2018年7月に浦和レッズレディースからドイツのフライブルクへ移籍した。レベルの高いブンデスリーガで心身ともにたくましさを増せば、なでしこジャパンにとっても大きな存在となることは間違いない。また、年代別代表のころから高倉監督の指導を受けているDF清水梨紗やMF長谷川唯も、今後チームの中心選手に育っていくことが期待される。

2018年11月の国際親善試合では、2018年のU-20女子W杯で世界一に輝いた「ヤングなでしこ」のメンバーからもMF長野風花らを招集した。そのほか、現在もアメリカやヨーロッパのクラブに所属しているベテランのMF川澄奈穂美やDF熊谷紗希、DF宇津木瑠美らも健在で、2019年のフランスW杯、そして2020年の東京五輪に向け、選手たちの競争意識を高めていく指揮官の意図が見て取れる。

ドイツのクラブでプレーする猶本光。福岡県に生まれ、小学生のころにキャリアをスタートさせた
ドイツのクラブでプレーする猶本光。福岡県に生まれ、小学生のころにキャリアをスタートさせたドイツのクラブでプレーする猶本光。福岡県に生まれ、小学生のころにキャリアをスタートさせた

出場確定のブラジルも強敵の一つ

東京五輪での金メダル獲得をめざす日本のライバルに挙げられるのは、5度目のオリンピック制覇がかかるアメリカ、連覇を狙うドイツが筆頭だ。また、2018年12月発表のFIFAランクで8位の日本よりも上位につけるフランス、イングランド、オランダといったヨーロッパ勢に加え、2018年のFIFA女子最優秀選手賞を受賞したMFマルタを擁するブラジルも過去に銀メダルを2度獲得した実績があり、強敵と言える。

東京五輪は、開催国の日本を含む12カ国で争われ、ブラジルとニュージーランドはすでに出場権を確保している。その他の出場国は、2019年から2020年にかけて行われる大陸予選や、W杯の結果によって決まる。

東京五輪の本選は、2020年7月24日(金)の開会式に先駆け、7月22日(水)にグループリーグがスタートする。28日(火)までに各国が3試合を消化し、31日(金)には一発勝負のトーナメントに突入する。決勝はオリンピックスタジアム(新国立競技場)にて、8月7日(金)の11時にキックオフ予定となっている。会場はオリンピックスタジアム以外に、札幌ドームや宮城スタジアム、東京スタジアム、埼玉スタジアム2002、茨城カシマスタジアム、横浜国際総合競技場が使用される予定だ。

アメリカは過去4度のオリンピック制覇を経験。現チームでは、アレックス・モーガン(左)やカーリー・ロイド(右)らが攻撃の中心を担う
アメリカは過去4度のオリンピック制覇を経験。現チームでは、アレックス・モーガン(左)やカーリー・ロイド(右)らが攻撃の中心を担うアメリカは過去4度のオリンピック制覇を経験。現チームでは、アレックス・モーガン(左)やカーリー・ロイド(右)らが攻撃の中心を担う

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