ロシアはなぜOARとして五輪に参加?|理由や背景、ロシア選手の反応について

OARとしてメダルを獲得したザギトワ(中央)とメドベージェワ(右)
OARとしてメダルを獲得したザギトワ(中央)とメドベージェワ(右)OARとしてメダルを獲得したザギトワ(中央)とメドベージェワ(右)

2018年平昌五輪からロシアの選手は「OAR」として大会に参加するようになった。ではなぜ、ロシアは「OAR」として五輪に参加しなければいけないのか? その理由や背景を解説する。

「OAR」とは何の略でどういう意味なのか?

「OAR」とはOlympic Athlete from Russia(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)の略。「ロシアからの五輪選手」という意味で、国家資格ではなく個人資格で五輪に出場するロシアの選手のことを表す。

ロシア選手団がOARになった理由

2014年ソチ五輪で組織的なドーピング違反があったとして、2016年リオデジャネイロ五輪では陸上競技を中心に参加が認められず、2017年12月には国際オリンピック委員会(IOC)がロシアオリンピック委員会を資格停止とし、ロシア選手団の2018年平昌五輪参加を禁止した。2018年2月にはスポーツ仲裁裁判所がロシア選手らの参加申し立てを棄却している。

禁止されていたロシア国歌を歌ったアイスホッケー男子チーム
禁止されていたロシア国歌を歌ったアイスホッケー男子チーム禁止されていたロシア国歌を歌ったアイスホッケー男子チーム

OARにはどのような制限があるのか?

厳しい基準を満たしてドーピング疑惑の潔白を証明できたロシアの選手だけが、国家を代表しない個人資格の「OAR」として大会への参加が認められる。ただし、開会式や閉会式でロシア国旗を掲げて行進することはできない。2018年平昌五輪の開会式に臨んだ「OAR」の選手たちは、グレーのコートに白のマフラーと帽子を身に付けた姿で現れ、ロシア国旗の代わりに掲げられた五輪旗の後ろに続いて行進した。表彰時でも国旗の代わりに五輪旗が使われ、国歌の代わりに五輪賛歌が流された。最終日に行われたアイスホッケー男子決勝で「OAR」がドイツを下して金メダルを獲得して、その後の表彰式では会場に五輪讃歌が流れると、観客だけでなく「OAR」の選手たちもロシア国歌を斉唱した。

いつからOARとして参加している?

ロシア選手団は2018年平昌五輪から国家を代表しない個人資格の「OAR」として大会に参加している。同大会ではフィギュアスケート女子シングルのアリーナ・ザギトワとアイスホッケー男子チームが「OAR」として金メダルを獲得した。フィギュアスケート女子シングルのエフゲニア・メドベージェワやスケルトン男子のニキータ・トレグボフのほか、クロスカントリースキーの男子4×10kmリレー、男子団体スプリント、男子50kmクラシカルでも銀メダルを手にしている。最終的に「OAR」は金メダル2、銀メダル6、銅メダル9を獲得、計17個のメダル総数は国別で13位だった。なお、2014年ソチ五輪では開催国として国別トップのメダル総数33個を獲得したが、ドーピングが発覚して後に11個のメダルを剥奪されていた。

ロシア国旗の代わりに掲げられた五輪旗
ロシア国旗の代わりに掲げられた五輪旗ロシア国旗の代わりに掲げられた五輪旗

再びロシアとして参加できるようになるには?

世界反ドーピング機関(WADA)は2019年12月、ロシア選手団を2020年東京五輪など主要国際大会から4年間排除する処分を下した。WADA執行委員会はローザンヌで会合を開き、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)がWADAの基準に準拠していないとする勧告を支持することに全会一致で合意した。この勧告は、2018年12月と2019年1月に行われた推定陽性試験に「多くの削除および改ざん」が認められるなど、RUSADAのモスクワ研究所から取得したデータに矛盾が見つかった後にまとめられていた。排除処分が下された結果、2022年の北京冬季五輪やFIFAワールドカップカタール大会にもロシア代表チームとして参加することはできない。ただし、2018年平昌五輪の時と同じように、厳しい基準を満たして潔白を証明できた選手は個人資格での参加が認められる。再びロシア代表チームとして五輪や主要国際大会に参加できるのは最短でも4年後になる。

ロシア選手の反応

テニス男子シングルス世界ランキング5位(2020年2月11日現在)のダニール・メドベージェフはメディアに対して、「何も関係ないロシア人プレーヤーの私が国旗を付けずにプレーしなければならないなんて残念です。私は少し奇妙に感じているんです。これが正しい決定だったかどうかは分かりません」と話している。女子バレーボールの選手や、アーティスティック・スイミングの監督、ロシアボクシング連盟の書記長も、ロシアとして東京五輪に出場できないことに対し疑問の声を挙げている。

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