七種競技:2日間の戦いを制した選手は「クイーン・オブ・アスリート」に。競技終了後に健闘を称え合う場面も見どころの一つ

ヘンプヒル恵、山﨑有紀が日本勢の有力アスリート

100メートルハードル、走高跳、砲丸投、200メートル走、走幅跳、やり投、800メートル走。各国の女性たちが、2日間にわたって己の体力を限界まで絞り出すのが7種競技だ。ともに走り、ともに跳び、ともに投げる……そんな濃厚な時間を過ごした選手たちの間には、競技後、美しい一体感が生まれる。

リオデジャネイロ五輪の七種競技終了時のワンシーン。選手たちが健闘を称え合うように手をつなぎ、観客に笑顔を向けた
リオデジャネイロ五輪の七種競技終了時のワンシーン。選手たちが健闘を称え合うように手をつなぎ、観客に笑顔を向けたリオデジャネイロ五輪の七種競技終了時のワンシーン。選手たちが健闘を称え合うように手をつなぎ、観客に笑顔を向けた

短距離走、中距離走、跳躍、投てきの能力が求められる

七種競技は女性アスリートによって行われる。古代オリンピックで実施されていた競技が発展した形だ。古代オリンピックでは、紀元前708年から走幅跳、円盤投、約200メートルを走るスタディオン走、やり投、レスリングを行う「ペンタスロン」という五種競技が展開されていた。

現在のオリンピックにおける七種競技は、男子の十種競技と同じく2日間にわたって実施される。1日目は100メートルハードル、走高跳、砲丸投、200メートルが行われ、2日目は走幅跳、やり投、800メートル走となる。各選手が七種の競技に挑み、各種目別の得点を採点表により総合して最終順位が決まる。

短距離走、中距離走、跳躍、投てきと陸上競技のあらゆる要素が入っており、オールラウンドな能力が求められる。七種をこなす過酷な2日間をともに過ごすなかで、選手たちの間にはライバル心以上に一体感が生まれてくる。

最後の競技となる800メートルのレース後、選手たちの多くは疲労がピークに達し、トラックに倒れ込んでしまう。同時に熾烈な競技を終えた選手たちは達成感を分かち合い、お互いの健闘を称え合うように笑顔で肩を組んだり、ウイニングランを披露したりする。勝敗を越えたスポーツの醍醐味を感じさせる美しい場面で競技は幕を閉じる。

日本勢の注目株はヘンプヒル恵(左)と山﨑有紀(右)。ともに日本陸上で優勝を果たした経験を持つ
日本勢の注目株はヘンプヒル恵(左)と山﨑有紀(右)。ともに日本陸上で優勝を果たした経験を持つ日本勢の注目株はヘンプヒル恵(左)と山﨑有紀(右)。ともに日本陸上で優勝を果たした経験を持つ

ヘンプヒル恵や山﨑有紀らの挑戦に注目

濃厚な2日間を勝ち抜いた優勝者には、金メダルとともに「クイーン・オブ・アスリート」の称号が与えられる。「女王」にふさわしい実力と存在感を発揮した証しだ。オリンピックの七種競技は1984年のロサンゼルス五輪から採用されているが、日本人のメダリストはまだ一人も誕生していない。

東京五輪に向けて脚光を浴びているのが、ヘンプヒル恵(めぐ)と山﨑有紀(やまさき・ゆき)だ。ともに現在の日本陸上界において、七種競技をリードする存在となっている。

ヘンプヒルは1996年5月23日生まれ。アメリカ人の父を持ち、中学時代に四種競技、高校時代に七種競技を始めた。七種競技では日本陸上競技選手権の3連覇を含む、16連勝を果たした実力者だ。2017年7月にはインドで行われたアジア陸上競技選手権大会で銀メダルを獲得している。

山﨑は1995年6月6日生まれ。ヘンプヒルより一つ年上だが、注目を集めたのはここ最近だ。七種競技を始めて6年目、2018年6月の日本陸上でヘンプヒルを抑えて優勝を果たしてみせた。自身初の国際大会となった同年8月のアジア競技大会では銅メダルを獲得し、東京五輪出場への確度を高めている。

短距離走、中距離走、跳躍、投てきと、幅広い力が求められる七種競技では、身体能力で劣る日本勢と世界との差が小さくないのが現状だ。それでも、高みをめざして挑戦を続けるヘンプヒルや山﨑らの懸命な姿はアスリートの美しさを感じさせる。

楽しめましたか?お友達にシェアしよう!