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三上紗也可:小学4年生からコーチと二人三脚|大技「5154B」でオリンピックのメダルを狙う【アスリートの原点】

アトランタ五輪出場を目指していた安田千万樹コーチとの出会いで飛躍

文: オリンピックチャンネル編集部 ·

三上紗也可(みかみ・さやか)は2019年の世界選手権の女子3メートル板飛込で日本人選手として過去最高の5位入賞を果たし、Tokyo 2020(東京五輪)の日本代表に内定した。高校卒業後、一時は米子ダイビングクラブで競技一本の生活を送っていたが、2020年4月に日本体育大学に進学。二足のわらじを履きながらオリンピックでの成功を見据える。

得意とするのは大技の「5154B」。3メートルの高さから入水までに前宙返り2回半と2回のひねりを行う

飛込を始めたきっかけは体験教室のチラシ

2000年12月8日に産声を上げた三上紗也可は、鳥取県米子市で育った。

飛込競技を始めたのは小学2年生の時。学校で配布された体験教室のチラシがキッカケとなり、母親に勧められて教室に通うようになった。もともと水泳と体操を習っていた三上にとって、両方の特徴を取り入れた競技である飛込は、しっくりと来るものだった。

競技者として大きく飛躍するキッカケは小学4年の時、男子飛込でアトランタ五輪出場を目指していた安田千万樹(やすだ・ちまき)コーチとの出会いだった。安田コーチから見た三上の第一印象は粗削り。「自分の力をコントロールできていなかった」と振り返る。それでも同年代の子供よりも早く難易度の高い技を身につけていくなど、三上の脚力は目を見張るものだった。三上に大きな可能性を感じた安田コーチは、「2024年のオリンピックで金メダル獲得」という目標に掲げ、厳しい指導を始めた。

オリンピックでのメダル獲得。その目標達成の手段となるのが大技「5154B」だ。3メートルの高さから入水までに前宙返り2回半と2回のひねりを行うもので、筋肉量の少ない女子選手で取り組む選手は少ない。しかし三上は安田コーチの下で筋力トレーニングに励み、「5154B」の成功率を高めた。陸上での練習から始まり、ロープで体を吊り上げながら空中での姿勢を体に覚えさせ、高さに対する恐怖心も除いていく。

2020年9月には日本選手権で3連覇を達成。オリンピック延期にも動じず、2021年の成功に照準を定めている

後頭部を強打して記憶障害。コーチは辞任を申し出るも……

小学生時代から腰椎分離症など、ケガに悩まされることの多かった三上だが、安田コーチの丁寧な指導により、その素質は磨かれていった。しかし一度、その師弟関係に危機が訪れる。それは2017年7月、三上が大会で高難度の前逆宙返りをした際、飛び板に後頭部を強打して17針を縫う大ケガを負った時のことだ。

三上に意識はあったものの「健忘症」となり、5分ごとに記憶をなくしてしまう症状に見舞われた。強い責任を感じた安田コーチは指導の辞退を申し入れる。しかし三上は競技への意欲を失っていなかった。加えて三上の両親からも指導の継続を望まれ、現在に至っている。

三上は2018年8月のアジア競技大会で4位の成績を収めると、同年9月の日本選手権の3メートル板飛込で初優勝。一躍、東京五輪代表候補に名乗りを上げた。2016年に鳥取県が発足させた有望なアスリートを支援するプロジェクト(現東京オリ・パラターゲット競技事業)により遠征費や用具代などのサポートを受け、2019年の世界選手権では5位入賞。高校卒業から1年空けた2020年4月には日本体育大学に進学し、9月には日本選手権で3連覇を達成した。

世界で戦う準備はできている。日体大の飛込専用プールやトレーニングセンターを利用し、医療面など万全のサポートを受けながら競技に励む。もちろん視線の先には、東京オリンピックでの成功をとらえている。

選手プロフィール

  • 三上紗也可(みかみ・さやか)
  • 飛込選手
  • 生年月日:2000年12月8日
  • 出身地:鳥取県米子市
  • 身長/体重:155センチ/53キロ
  • 出身校:義方小(鳥取)→後藤ヶ丘中(鳥取)→米子南高(鳥取)
  • 所属:米子ダイビングクラブ
  • オリンピックの経験:なし
  • インスタグラム(Instagram):Sayaka Mikami(@ 2000_128_j)

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