久保健英:スペインの名門バルセロナ出身の少年は、2020年東京五輪サッカーのエース候補

スペインメディアからは「現代のサッカー界のなかで最も将来を嘱望される選手の一人」と評される
スペインメディアからは「現代のサッカー界のなかで最も将来を嘱望される選手の一人」と評されるスペインメディアからは「現代のサッカー界のなかで最も将来を嘱望される選手の一人」と評される

世界的なビッグクラブ、バルセロナ出身の久保建英(たけふさ)。日本サッカー界の期待の星は、いったいどのようなプレーヤーなのだろうか? これまでの経歴、プレースタイル、そして彼が残した足跡などを追いながら、2020年東京五輪のエース候補の今を読み解いていく

推薦される形でバルセロナの下部組織に加入

2001年6月4日生まれ。2018年12月時点ではまだ17歳で、世代としては2020年東京五輪世代の一つ下にカテゴライズされる。それでも、スペインメディアから「現代のサッカー界のなかで最も将来を嘱望される選手の一人」と評される彼が、2020年のオリンピックで主役を演じる——多くのサッカーファンが、日本サッカー界の期待の星が世界の舞台で躍動する姿を夢見ている。

キャリアは出身地の神奈川県川崎市から始まった。小学1年生の時に地元のサッカーチーム、FCパーシモンに加入する。3年生の時には4年生を対象とする川崎フロンターレU−10でプレー。4年生となった2011年5月からはU-12(6年生)と一緒に練習していた。

2009年、横浜で開催されたバルセロナキャンプに参加。そこでMVPを獲得して脚光を浴びた久保少年は、バルセロナのスクール選抜チームの一員としてベルギーで開催された国際大会に出場する。その大会でもMVPに選出されると、バルセロナのクラブスタッフに推薦される形でバルサの入団テストを受けることになった。

2011年8月、バルサの育成組織に入団する。この世界的なビッグクラブには、13歳未満の選手と契約する際はスペインのカタルーニャ出身選手に限るという規定があったが、久保は特別扱いで入団。異例となった日本の少年の加入は大きな注目を集めた。

しかし、2015年3月、当時14歳の久保は日本への帰国を余儀なくされる。チームの中心選手として躍動をしていたものの、未成年の海外移籍を禁止する国際サッカー連盟(FIFA)の規約第19条に抵触するとして、バルサでの公式戦出場を禁じられたためだ。

その後、FC東京の育成組織を経て、FC東京のトップチームでプレー。2018年はシーズン途中に横浜F・マリノスに期限付き移籍を果たしている。

日本で成長を続けるなか、バルサは久保を呼び戻すことを視野にJリーグでのプレーを見続けているとも言われている。バルサの育成組織の責任者は「我々は常に彼の様子をチェックしている。法的に認められる年齢になった時、そのレベルが一定の水準にあればバルサに戻ることになるだろう」と話している。

年代別代表ではU−16日本代表でプレー。15歳の時にはU−19日本代表にも選出されている
年代別代表ではU−16日本代表でプレー。15歳の時にはU−19日本代表にも選出されている年代別代表ではU−16日本代表でプレー。15歳の時にはU−19日本代表にも選出されている

ゴールに向かう姿勢以外にも、豊富な引き出しを持つ

バルサ時代、久保はFWとして登録され、アタッカーとして教育されてきた。バルサ特有のパスサッカーのなか、機を見たドリブル突破で相手守備網を切り崩し、決定機を生み出すような役割だ。

プレースタイルの特長はさまざまな点が挙げられる。なかでも特筆すべきは、ゴールに向かう意識の高さだろう。

ゴールを狙う際に必要な数々の要素も彼の大きな武器と言える。最適なポジションとタイミングで味方からパスを引き出すオフ・ザ・ボールのクオリティー。細かなタッチと大胆な抜け出しを兼備したドリブル突破。利き足である左足のキックの精度。そして、動きながら状況を察知し、次のプレーを選択できる発想力と判断力。バルサが動向を追い続けるのもうなずける。

FC東京と横浜FMではMFとして登録されていたが、年代別の日本代表チームでは2トップの一角を担い、持ち味をより生かすために前線で起用されることも少なくない。彼がボールを持った時はチャンスが生まれる可能性が高まる。

一方、自らも課題の一つに挙げるように、今後の強化ポイントはフィジカルだろう。身長173センチ、体重67キロ。決して大柄ではないものの、ボディコンタクトで負けない身体的能力や運動量の向上はさらなる飛躍に向けて欠かせないものとなっている。

年代別の日本代表チームでは、攻撃面の持ち味をより生かすために前線で起用されることも多い
年代別の日本代表チームでは、攻撃面の持ち味をより生かすために前線で起用されることも多い年代別の日本代表チームでは、攻撃面の持ち味をより生かすために前線で起用されることも多い

Jリーグではさまざまな記録を残す

FC東京、横浜FMでキャリアを積み重ねる久保は、Jリーグの歴史にさまざまな足跡を残してきた。以下に記す年齢的な記録の数々が、彼の偉大さの一端を物語っている。データはすべて2018年12月1日時点のもの。

【出場記録】

◎明治安田生命J1リーグ初出場:16歳5カ月22日

※最年少出場記録の1位は森本貴幸の15歳10カ月6日。2位は宮吉拓実の16歳1カ月14日。久保は2人に続く3位にランクイン。

◎JリーグYBCルヴァンカップ初出場:15歳10カ月29日

※最年少出場記録の1位は森本貴幸の15歳10カ月20日。久保は森本に続く2位にランクイン。

◎明治安田生命J3リーグ初出場:15歳5カ月1日

※久保が最年少出場記録保持者。

【得点記録】

◎明治安田生命J1リーグ初得点:17歳2カ月22日

※最年少得点記録の1位は森本貴幸の15歳11カ月28日。久保は森本に続く2位にランクイン。

◎JリーグYBCルヴァンカップ:16歳9カ月10日

※久保が最年少得点記録保持者。

◎明治安田生命J3リーグ:15歳10カ月11日

※久保が最年少得点記録保持者。

「ブラジルに勝ち切れたことは大きい」

2018年12月中旬、久保はU−19日本代表の一員としてブラジル遠征に向かった。2019年5月に開催されるU−20ワールドカップに向けた強化プログラムの一環だ。

現地で3試合を行ったなか、12月21日に行われたU−19ブラジル代表との一戦で、サッカー王国を2−0で下した。久保はサガン鳥栖の田川亨介と2トップを組んで先発出場を果たしている。

相手に主導権を譲るシーンもあったが、日本は持ち前の組織力で徐々に押し返し、チャンスをつくり出していく。0−0で迎えた53分、久保に決定機が訪れる。ジュビロ磐田の伊藤洋輝からのパスを田川が浮き球でつなぎ、これに久保がいち早く反応。相手の背後に抜け出し、GKとの一対一を沈めて先制点をマークした。

ブラジル遠征で2戦連発となる久保のゴールで勢いに乗った日本。その後のブラジルの攻勢をしのぎ、最終的には2−0で勝利して2018年最後の遠征を2勝1分けで締めくくった。久保も自信を口にする。

「3試合戦って負けていないということはポジティブに捉えられます。ブラジルに勝ち切れたことは大きい」

2019年にポーランドで行われるU−20ワールドカップは自身2度目の出場となる。2017年の前回大会は、20歳以下の大会に15歳で出場し、初戦の南アフリカ戦ではアシストを記録して世界を驚かせている。あれから一回りも二回りも成長を遂げた。2019年5月から6月、U−20W杯で成熟度を増したプレーを存分に披露し、再び世界に衝撃を与えて東京五輪を迎える見込みは高い。

東京五輪時は19歳。古巣のバルセロナに戻り、さらに実力を磨いている可能性は十分にある
東京五輪時は19歳。古巣のバルセロナに戻り、さらに実力を磨いている可能性は十分にある東京五輪時は19歳。古巣のバルセロナに戻り、さらに実力を磨いている可能性は十分にある

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