体操ニッポン女子:1964年の東京五輪以来となるメダル獲得なるか

リオ五輪、体操女子団体総合に出場した選手たち
リオ五輪、体操女子団体総合に出場した選手たちリオ五輪、体操女子団体総合に出場した選手たち

体操男子と違い、これまで女子にとって、五輪のメダルは、「縁遠い」ものだった。しかし、最近はその関係に、少し変化が生まれているようだ。リオデジャネイロ五輪の成績は、1968年メキシコ五輪以来となる団体総合で4位と、メダルまであと一歩の所まで近づいた。しかも、3位中国との得点差は、わずか1.632点だった。また、新体操の「フェアリージャパン」やトランポリンも、世界大会で結果を残してきており、2020年東京五輪では、体操ニッポン女子に、1964年東京五輪以来となるメダル獲得のチャンスが巡ってくるかもしれない。

女子の体操競技は4種目&トランポリン&新体操

採点方式を変えたナディア・コマネチ

女子の体操競技は、団体総合、個人総合、ゆか・跳馬・平均台・段違い平行棒の4種目を正式種目としている。団体総合は、チームで演技を行い、合計得点で争う。個人総合は、すべての種目を1人の選手が演技して、合計得点を競う。種目別では、各種目の得点上位の選手が決勝で争う。技の難しさを得点化したDスコア(演技価値)と、演技の完成度を得点化したEスコア(演技の美しさやできばえ)の合計得点を争う採点方式となっている。

採点方法はかつて10点満点制だった。しかし、この採点方法を変えたのが、1976年モントリオール五輪に出場したルーマニア代表のナディア・コマネチだ。段違い平行棒や平均台でオリンピック史上初となる10点満点を記録、史上最年少の14歳(現在はルール変更により16歳以上でないとオリンピックに参加できない)で、個人総合優勝を果たした。以降、難易度の高い技が登場し、技術がさらに高度化して、10点満点を獲得する選手が増えるなど、選手間の得点差が明確につかなくなった。純白のユニフォームに身を包んだ彼女は、「白い妖精」と呼ばれ、長く語り継がれることになる。

ナディア・コマネチ氏
ナディア・コマネチ氏ナディア・コマネチ氏

このほか、男女共通の競技としてトランポリン、女子のみの競技として新体操がある。トランポリンは、予備ジャンプに続いて行う10本のジャンプを行い、技の完成度を見る演技点と、回転とひねりの数を見る難度点、滞空時間を計測する跳躍時間点、さらにどれだけトランポリンの中心で演技を行うかを評価する移動点を加算し、それらの合計得点を競う。新体操は手具を使いながら音楽に合わせてリズミカルな演技を行い、芸術性を競う採点競技だ。

段違い平行棒は男子の鉄棒に相当

体操競技の種目の詳細は以下のとおり。

ゆか:12メートル四方の演技面の上でアクロバティックな跳躍技を音楽に合わせて披露する。演技時間は最大90秒。時間超過や演技面のラインをはみ出すと減点となる。

跳馬:床面から125センチの高さに設定された台に手をついて飛び越す。このときにひねりや宙返りを披露する。

平均台:高さ125cm、長さ5m、幅10cmの台の上で演技し,その技、構成,美しさなどで得点を競いあう。演技時間は90秒。技は、体操系の技(ターン・波動・跳躍・歩・走・バランスなど)やアクロバット系の技(宙返りなど)で構成される。

平均台
平均台平均台

段違い平行棒:高さ170センチ250センチの高さの鉄棒を手放し技で移動しながら車輪やひねりなどの技を停止することなく繰り出す。男子の鉄棒に相当する種目。

トランポリン:宙返りの空中姿勢は、タック・パック(抱え型)、パイク(えび型)、レイアウトあるいはストレート(伸び型)の3種類。これにひねりを組み合わせて、異なる技を連続して行う。

新体操:ロープ、フープ、ボール、クラブ、リボンを使いながら音楽に合わせて、13メートル四方の演技面の上で芸術性の高い演技を披露する。個人演技時間は1分15秒から1分30秒以内、団体演技時間は2分15秒から2分30秒以内。個人競技は演技の美しさ、団体競技はシンクロナイズドスイミングのような一糸乱れぬ動きが魅力だ。

皆川夏穂選手
皆川夏穂選手皆川夏穂選手

レジェンドは「ローマの恋人」「特命大臣」

日本女子が過去にメダルを獲得したのは1964年東京五輪の団体総合の銅メダルのみだ。このとき出場したのは池田敬子・相原俊子・小野清子・中村多仁子・千葉吟子・辻宏子の6選手。池田は1954年のローマ・世界選手権の平均台で日本史上初の金メダルを獲得。「ローマの恋人」と称賛され、戦後復興期の日本国民を、大いに勇気づけたレジェンド的存在として知られる。小野は引退後に政界入りし、小泉内閣で内閣府特命担当大臣を務めるなど、スポーツ界・政界で功績を残している。

なお、新体操、トランポリンともに、まだ五輪ではメダルを獲得していない。1984年ロサンゼルス五輪で、個人総合8位となった山崎浩子は、新体操ブームの火付け役的存在として人気を博した。現在は、(公財)日本体操協会新体操強化本部長を務め「フェアリージャパン(日本代表選抜)」の指導にあたるなど、後進の育成に励んでいる。また、最近では、ロンドン、リオデジャネイロに出場した畠山愛理が、「美しすぎる新体操選手」として人気を集めており、リオ後に引退した彼女は、スポーツキャスターを務めるなど、タレントに転身している。

63年ぶりにレジェンドの再来なるか

2016年リオデジャネイロ五輪出場後、めざましい活躍を果たし、体操女子の中心的存在となった村上茉愛が、熱い注目を集めている。2017年10月にカナダのモントリオールで開催された世界体操競技選手権の種目別ゆかで、村上が獲得した金メダルは、上述の池田が1954年ローマ五輪で成し遂げた金メダル獲得から、実に63年ぶりの快挙となった。国内大会でも全日本個人総合とNHK杯で2017、2018年と2連覇を果たしている。この勢いに乗って、2020年東京五輪でも、1964年東京五輪以来のメダル獲得を成し遂げられるかどうか、彼女の活躍に高い期待が寄せられている。

2017年世界体操競技選手権の種目別ゆかで、村上茉愛選手が金メダルを獲得
2017年世界体操競技選手権の種目別ゆかで、村上茉愛選手が金メダルを獲得2017年世界体操競技選手権の種目別ゆかで、村上茉愛選手が金メダルを獲得

杉原愛子は元日本代表の田中理恵選手以来の逸材とも言われ、高い人気を誇っている。また、2016年リオデジャネイロ五輪女子団体決勝でも高得点をマーク、日本の4位入賞に大いに貢献した。

トランポリンは2018年ロシア・世界選手権で、非五輪種目ではあるものの、シンクロナイズド決勝で、森ひかる・宇山芽紅の両選手が、全種目を通じて日本女子初となる金メダルを獲得するなど、徐々に頭角を現しつつある。

新体操は2016年リオデジャネイロ五輪の個人総合に出場した皆川夏穂に注目が集まっている。2018年4月にはテレビのドキュメンタリー番組にも取り上げられ、ロシアで猛練習する姿が伝えられた。2017年世界選手権種目別フープで銅メダル、2018年3月には新体操リスボン国際トーナメント個人総合優勝と絶好調だ。2018年現在21歳の彼女の年齢を考えると、東京五輪が最後の挑戦になる可能性も高い。地元開催ということもあり、完成度の高い演技が期待される。

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