全豪オープン3回戦敗退の大坂なおみ 新コーチとの化学反応はいつ起こるのか

オーストラリアンオープンテニスでタイトルを守ることができなかった大坂なおみは、ロッカールームで着替えずにテニスウェアのまま会見室に現れ、メルボルンでタイトルを守れなかったことを、チームメンバーや応援に来ていた両親に、申し訳ない気持ちでいっぱいだと力なく語った――。

女王として挑んだ2020年全豪オープンは、3回戦敗退に終わった
女王として挑んだ2020年全豪オープンは、3回戦敗退に終わった女王として挑んだ2020年全豪オープンは、3回戦敗退に終わった

15歳にあっけなく敗戦 メンタル面での課題が浮き彫りに

ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ第3シードの大坂(WTAランキング4位、1月20日づけ、以下同)は、3回戦でコリ・ガウフ(67位、アメリカ)に、3-6、4-6で敗れて大会2連覇は夢と消えた。

昨年のUSオープン3回戦で、2人が初対戦した時に大坂が勝利していたこともあり、下馬評では大坂優位と見られていたが、いざ試合が始まるとガウフが15歳らしからぬ落ち着いた表情でベストプレーを披露してみせた。

「本当にサーブが良かったと思います。ファーストサーブの確率がとても高かったです」とガウフが振り返ったように、ファーストサーブの確率が75%と安定し、しかもコンスタントに時速170~180km台を記録した。

大坂の3回戦での出だしは決して悪くはなかった。ただ、ガウフが、試合開始からフルスロットルでかなり飛ばしたプレーをしていたのにもかかわらず、そのテニスレベルが最後まで落ちなかったのは、大坂にとって誤算だっただろう。逆に、バックハンドストロークのミスが目立つようになり、大坂は反撃の狼煙をあげることができずに敗れた。

まず、ガウフの出来の良さをほめるべき試合であったのは間違いないが、正直に言えば、22歳の大坂の方がランキングも経験も上であり、どうして打開策を見つけられなかったのか、そう問われて当然の負け方であった。

大坂は「自分は、本当にまだチャンピオンのメンタルを持ち合わせていない」と語る。たとえ100%のプレーができなかった場合でも、勝利への道を見出すことができるのが本当の女王であり、いつもそうありたいと大坂は考えている。一方で、そこへ至る道のりはまだまだ長いとも捉えている。

ガウフに対するあっけない負け方を見ると、大坂にはメンタル面で改善すべき点がある。再びグランドスラムチャンピオンになりたいという気持ちがどれだけあるのか、2020年シーズンから大坂に帯同し始めたウィム・フィセッテコーチと話し合い、立て直しを図っていくべきだ。

カギになるのはセカンドサーブの改善

大坂のファーストサーブは、時速180kmをコンスタントに超え、女子テニスツアーの中では技術面でトップクラスであるのは間違いない。それが大坂の大きな武器であるのは周知の事実だ。

だが、大坂のセカンドサーブには、まだまだ改善の余地がある。今回のオーストラリアンオープンで、大坂のセカンドサーブでのポイント獲得率は、1回戦で53%、2回戦で50%、3回戦で33%だった。特に、ガウフとの3回戦では、セカンドサーブをリターンから強打され、劣勢に立たされたことが敗因につながった。

また、大坂のセカンドサーブでの平均スピードは、1回戦で時速136km、2回戦で時速128km、3回戦で時速132kmだったが、他の女子選手と比べて平均スピードはそれほど変わらないため、ファーストサーブのような大きなアドバンテージが、セカンドサーブでは失われてしまっている。

もちろんセカンドサーブは、スピード勝負ではない。スライスやスピンなどの球種の打ち分け。対戦相手のリターンミスを誘うために、センター、ボディ、ワイドのコースの打ち分け。そして、ポイントごとの配球アレンジが重要になってくる。このセカンドサーブでの工夫が大坂にはもっと必要で、自分と同等レベルのトップ10選手や、ガウフのような才能ある若手選手と対峙する時は、特にそれが重みを増す。

ウィム・フィセッテはコーチとして4度のグランドスラム制覇を達成している
ウィム・フィセッテはコーチとして4度のグランドスラム制覇を達成している"優勝請負人"ウィム・フィセッテはコーチとして4度のグランドスラム制覇を達成している"優勝請負人"

フィセッテコーチは再び大坂をグランドスラム優勝へ導けるか

ツアーのレベルは毎年少しずつ上がっていくと言われている。もし大坂が進化の歩みを止めてしまったら、大坂対策を講じるライバル選手たちに遅れをとってしまうだろう。

昨年、大坂がオーストラリアンオープンで優勝して得た2000点のランキングポイントのうち、今回は130点しか守ることができなかった。大会後にWTAランキングは4位から10位前後に落ちる見込みだ。

これからも続く大坂の長いテニスキャリアを考えれば、今回の敗戦をいいレッスンだと捉えながら前へ進むべきだろう。当たり前のことだが、ツアー生活はいつも良いことばかりではない。

彼女が再びグランドスラムの頂点を目指せるように導けるかどうか、フィセッテコーチの腕の見せどころでもある。

「私がウィムとまず目指すべきメインゴールは、トーナメントで優勝することであり、グランドスラムで優勝することです。彼も同じことを感じていると確信しています。私たち2人は、すごく似たようなビジョンをもっています」

世界の頂点に向けてリスタートする大坂が、グランドスラムで再び優勝して、コーチやチームスタッフ、そして両親を笑顔にできるのか。まずは大坂と、優勝請負人といわれるフィセッテコーチとの化学反応を待ちたい。

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