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卓球王国の中国は女子団体でも実力屈指。実力者がそろう日本勢も十分にチャンスあり

過去3大会のオリンピックでは中国が金メダルを独占

卓球王国の中国から王座を奪う国は現れるのか。オリンピックが開催される度にこうした言葉が聞かれる。女子団体でも同じだが、各国が中国の牙城を崩そうと強化に励んでいるのも事実だ。ドイツ、シンガポール、ルーマニア、日本。2020年の東京五輪、卓球女子団体で注目の集まるチームにフォーカスを当てる。

左から伊藤美誠(みま)、石川佳純、平野美宇。3人は東京五輪代表の最右翼だ

団体戦でも卓球王国、中国の存在が目を引く

卓球競技では、2008年の北京五輪からこれまで行われていたダブルスに代わり、団体戦が新たに正式種目として採用された。男女ともに1チーム3名で構成。試合は第1、2、4、5試合はシングルス、第3試合はダブルスという組み合わせで行われ、3ゲームを先取したチームの勝利となる。

過去3大会を振り返ってみると、男女ともに金メダルは中国が独占している。世界最高峰の大会に位置づけられる世界選手権においても、中国女子は2012年のドルトムント大会から4大会連続で優勝するなど、文字どおり絶対王者として君臨している。

日本女子は2008年の北京五輪では4位と惜しくもメダルまであと一歩届かなかったものの、2012年ロンドン五輪で強豪シンガポールを3−0で下し銀メダルを獲得した。続く2016年のリオデジャネイロ五輪では、3位決定戦で再びシンガポールと対戦。日本のエース石川佳純がロンドン五輪女子シングルスの3位決定戦で破れたフェン・ティアンウェイを相手に3-0のストレートで破り、見事銅メダルを獲得。ロンドン、リオと2大会連続でメダルを手にしているとおり、日本勢は着実に力をつけている。女子団体でも中国を脅かす存在になっていると言っていい。

リオデジャネイロ五輪の女子団体では中国(中央)が金メダル、ドイツが銀メダル(左)、日本が銅メダルを手にした

中国からの帰化選手が多いシンガポールも脅威

とはいえ日本にとって中国が高い壁となっていることも事実だ。前述したとおり、オリンピックの女子団体に関して言えば、中国が3連覇を達成中。世界選手権においても1975年のカルカッタ大会以降、優勝を逃しのはわずか2度だけと、女子団体においても絶対王者であることは変わらない。

中国勢を追っているのは日本だけではない。近年、急激に力を伸ばしているのがシンガポールだ。元中国代表の周樹森が2009年に女子代表監督に就任して以降、シンガポール勢の躍進ぶりは目を見張るものがある。中国から帰化した世界ランキング最高2位のフェン・ティアンウェイやユ・モンユといった選手らの活躍により、北京五輪の女子団体で銀メダル、ロンドン五輪で銅メダルという好成績を残すなど、新興勢力として無視できない存在となっている。

ヨーロッパではドイツも強豪国に名を連ねる。サッカー同様にブンデスリーガという卓球のリーグがあるドイツでは、古くから卓球は人気競技であり、なじみ深いスポーツでもある。そのため国内から多くの一流選手が登場しており、レベルも高い。前回のリオデジャネイロ五輪の女子団体では準決勝で接戦の末に日本を破り、銀メダルを獲得している。

中国から帰化したフェン・ティアンウェイ(左)やユ・モンユ(右)を擁するシンガポール勢も力をつけてきている

世界ランキング上位を占める中国勢

団体戦といっても個人の技術と力が問われるのは間違いない。選手個々に関して中国勢が世界トップレベルにあるのに異論はないだろう。実際、2018年12月に発表された世界ランキングでも、上位5枠のうちの4枠を中国人選手が占めている。

3位には日本のエース石川佳純がランクインしているが、石川とランキング1位の朱雨玲(ジュ・ユリン)との対戦成績は2018年12月10日時点で1勝13敗と、大きな差がある。世界ランク2位につける丁寧(ディン・ニン)も、リオデジャネイロ五輪の女子シングルスで金メダルを獲得。2014年のワールドカップ、2017年の世界卓球選手権の女子シングルスでも優勝を果たしており、中国の女子団体でも中心選手になると見込まれる。

アジア勢以外でこの1年間にランキングが上昇しているのはルーマニアの選手だ。とりわけベルナデッテ・スッチは2017年12月時点では57位だったものの、2018年12月のランキングでは18位と大きく浮上している。2015年の国際卓球連盟ワールドツアー・カタールオープンの女子シングルを制しているエリザベタ・サマラも2018年12月のランキング20位につけるなど、ルーマニア選手の台頭が目覚ましい。女子団体の世界ランクでもルーマニアは強豪ドイツの一つ上の7位につけており、2020年の東京五輪で台風の目となる可能性は十分を秘めている。

丁寧(ディン・ニン/手前)や朱雨玲(ジュ・ユリン)といった世界トップクラスをそろえる中国は団体戦でも抜きん出ている

日本勢は世界卓球選手権団体戦で銀メダル

「中国一強」の構図を崩せる力を持つ国の一つが日本だ。すでに述べたとおり、女子団体ではロンドン、リオと2大会連続でメダルを獲得しており、自国開催となる東京五輪での活躍が期待される。

東京五輪のシングルス代表候補は、2020年1月発表の世界ランキングによって上位2名が日本卓球協会から日本オリンピック委員会に推薦され、その2人が団体戦にも出場する。団体戦の3人目は、ダブルスを見据え、シングルスの2人との相性などが考慮されて選出される。

確定までまだ時間があるが、これまでの実績や2018年12月の世界ランキングを見る限り、石川佳純、伊藤美誠、伊藤美誠の3選手が濃厚と考えられる。

伊藤は世界ランキング7位。2018年10月に行われたスウェーデンオープンでは中国のトップ3を退け、優勝を果たしている。世界ランキング3位の劉詩雯(リュウ・シウェン)、2位の丁寧、1位の朱雨玲を破り、世界中に存在感を見せつけた。2018年12月のワールドツアーグランドファイナルでは初戦敗退を喫したものの、その悔しさを発奮材料に変えて、さらに成長する可能性は決して低くない。

伊藤と同学年の平野美宇も東京五輪出場に期待が集まる。伊藤に先駆け、2017年アジア卓球選手権大会では丁寧、朱雨玲、陳夢といった中国主力3選手を破り、21年ぶりに日本人選手として優勝を果たすなど、高いポテンシャルを秘めている。2018年の4月から5月にスウェーデンで行われた世界卓球選手権団体戦に石川、伊藤とともに代表としてプレーし銀メダルを手にするなど、その存在感をあらためてアピールした。

石川、伊藤、平野以外の選手にも十分に可能性はある。スウェーデンでの世界卓球選手権団体戦で代表に選ばれた早田ひなや長﨑美柚(みゆう)、「日本屈指のカットマン」と称される佐藤瞳や、ITTFチャレンジ・ベルギーオープンでシングルスとダブルスを制し2冠を達成した芝田沙季、伊藤や平野とともに「黄金世代」と言われる若手の一人、加藤美優など、日本女子には実力者が多くそろう。誰が選ばれても東京五輪での女子団体では上位進出が期待できるほど、選手層が厚い。