南アフリカが3度目のW杯王者に。日本は空前のラグビーブームを継続できるか

日本がベスト8進出を果たした一戦は53.9%の最高視聴率

日本初開催となったラグビーワールドカップは、南アフリカの優勝で幕を閉じた。日本はホスト国のプレッシャーを跳ね除け、目標であったベスト8進出を達成。また、観客動員、TV視聴率、SNSなどにおいて記録ずくめの大会となり、空前のラグビーブームを巻き起こした。

南アフリカが3度目のW杯制覇を果たした。同国初の黒人主将であるシヤ・コリシがウェブ・エリス・カップを高々と掲げた
南アフリカが3度目のW杯制覇を果たした。同国初の黒人主将であるシヤ・コリシがウェブ・エリス・カップを高々と掲げた南アフリカが3度目のW杯制覇を果たした。同国初の黒人主将であるシヤ・コリシがウェブ・エリス・カップを高々と掲げた

日本の司令塔、田村優が大会得点ランク4位に

44日間にわたって行われたラグビーワールドカップ(以下W杯)が11月2日の決勝戦をもって閉幕した。激しさと、スポーツマンシップの美しさを表した男たちの激闘は、日本中に一大ブームを巻き起こした。

熱狂の渦の源は、何と言っても日本代表の快進撃だ。日本は3年前、ヘッドコーチ(以下HC)にジェイミー・ジョセフを招へいし、今大会での「ベスト8進出」を目標に掲げ、強化に取り組んできた。ジョセフHC自身が「この3年間、本当に信じられないほどのハードワークを続けてきた」と話したとおり、長い時間をかけた強化策が実り、見事に予選プール4戦全勝を達成。過去8大会で一度も予選プールを突破した経験のなかった日本が、ホスト国のプレッシャーを力に変え、1位通過を果たした。

予選プール突破を引き寄せた最大のハイライトは、第2戦で優勝候補のアイルランドから金星を挙げたことだろう。

日本は前半、アイルランドに2つのトライを許す。リードされる展開となったものの、田村優のペナルティキックでじわじわと追い上げると、後半に入って福岡堅樹のトライで逆転に成功。19−12でアイルランドを下した。この劇的勝利は「静岡の衝撃」と称され、世界から注目を集めた。初めて臨んだ準々決勝では、南アフリカに3−26と力負けを喫したが、格上相手にも怯まず立ち向かっていく日本代表の姿は、世界中のラグビーファンの心をつかんだ。

選手個人の成績を振り返ると、司令塔として見事にプレーメイクし、また正確なキックで51得点を記録した田村が大会得点ランク4位にランクイン。トライ数では、5トライを記録した松島幸太朗が3位に入っている。

「この期間中の毎日がベストだった。全部最高だった」という田村の言葉が物語るように、出場選手だけでなく、控えに回った選手やスタッフも含め、日本代表にとってはまさに「ONE TEAM」=チーム一丸となって戦い抜いた大会となった。

日本は予選プールで強豪スコットランドも撃破。この試合は瞬間最高視聴率53.9%という数字をたたき出した
日本は予選プールで強豪スコットランドも撃破。この試合は瞬間最高視聴率53.9%という数字をたたき出した日本は予選プールで強豪スコットランドも撃破。この試合は瞬間最高視聴率53.9%という数字をたたき出した

南アフリカ初の黒人主将が優勝杯を掲げる

今大会で頂点に立ったのは、アフリカの雄、南アフリカだ。予選プールB組を2位通過すると、準々決勝で日本、準決勝でウェールズに19−16で勝利し、3度目の決勝へと駒を進めた。

決勝では、ラグビーの母国イングランドと対戦した。下馬評では、準決勝で前回王者ニュージーランドを19−7で撃破し勢いに乗るイングランドが優勢と見られていたが、試合開始から南アフリカが強みのフィジカルを生かし、攻守にわたってイングランドを圧倒。一度も先行を許さない盤石の試合運びで、32−12と勝利を収めた。

南アフリカはこれでニュージーランドに並ぶ歴代最多タイ、3度目の世界王者となった。同国初の黒人主将であるシヤ・コリシがウェブ・エリス・カップを高々と掲げた瞬間は、アパルトヘイト(人種隔離)政策の影響が残る同国にとって大きな意味をもたらした。コリシは「我々にはさまざまなバックグラウンドがあり、人種がいる。そして一緒にゴールにたどり着いた」と同国民にメッセージを送った。

得点王には南アフリカの名キッカー、ハンドレ・ポラードが輝いた。25歳にして代表48キャップ、通算457得点とベテラン並みの数字を誇る彼は、今大会で計16本のペナルティーゴールを決め、69得点を記録した。

優勝候補の筆頭とされていた「オールブラックス」ことニュージーランド(奥)は準決勝でイングランド(手前)に7−19で敗れ去った
優勝候補の筆頭とされていた「オールブラックス」ことニュージーランド(奥)は準決勝でイングランド(手前)に7−19で敗れ去った優勝候補の筆頭とされていた「オールブラックス」ことニュージーランド(奥)は準決勝でイングランド(手前)に7−19で敗れ去った

チケット販売率は99.3%と、空前のラグビーブームに

日本、そしてアジア初開催となった今回のラグビーW杯は、記録ずくめの大会だった。

チケット販売率は台風の影響で中止となった3試合も含め99.3%、約184万枚を販売し、全期間の観客動員は170万4443人を記録した。開催各都市が全国16カ所に開設したファンゾーンには、約113万7000人が来場。日本の予選プール最終戦、スコットランドとの一戦は瞬間最高視聴率53.9%と驚異的な数字をたたき出した。

決勝のイングランドvs南アフリカ戦は、横浜総合国際競技場に歴代最多の7万103人を動員した。これは2002年のサッカーW杯決勝戦を上回る記録だ。そのほか、4370億円の経済効果がもたらされたことや、ソーシャルメディアのビュー数が17億回を記録し、前回大会の4倍以上に達したことが報告されている。

次なる戦いは2023年のフランス大会。日本としては、この空前のラグビーブームを一過性のものとせず、継続させることができるか。そして4年後、今大会以上の成績を収められるか。日本ラグビー文化の未来を左右するうえで、これからの4年間が重要な意味を持つ。

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