吉田萌:アーティスティックスイミングの新星は、2019年に逃した金メダルを東京五輪で手に入れる【アスリートの原点】

大学1年次の日本選手権水泳競技大会ではメダルを取れず

吉田萌(よしだ・めぐむ)がアーティスティックスイミングを始めたのは4歳の時。スイミングをしていたところ、周りから勧められたのがきっかけだった。それから約20年、日本代表のエース乾友紀子のデュエットのパートナーに抜擢され、すらりと伸びる美しい手脚で心を揺さぶる水中演技を披露する。世界の頂点をめざす大学職員の「シンデレラストーリー」をたどる。

2018年、日本代表のキャプテンを務める乾友紀子(左)のパートナーに選ばれ、アジア競技大会で銀メダルを獲得した
2018年、日本代表のキャプテンを務める乾友紀子(左)のパートナーに選ばれ、アジア競技大会で銀メダルを獲得した2018年、日本代表のキャプテンを務める乾友紀子(左)のパートナーに選ばれ、アジア競技大会で銀メダルを獲得した

バレエとジャズダンスでしなやかな動きと高度なリズム感を養う

吉田萌(よしだ・めぐむ)は4歳の時、北京五輪代表の石黒由美子と松村亜矢子、2009年の世界水泳選手権代表の木村真野と木村紗野などと同じ名門ザ・クラブピア88でキャリアをスタートさせた。今では日本のアーティスティックスイミング界の将来を担うエースの一人に数えられている。

現在は母校の愛知学院大学の職員のかたわら、競技に打ち込む。168センチの長身と、すらりと伸びる美しい手脚で世界の頂点をめざすマーメイドは、1995年7月2日に愛知県で産声をあげた。

まだシンクロナイズドスイミングと呼ばれていた競技を4歳の時に始めると、並行して小学生時代はバレエ、中学生時代はジャズダンスにも取り組んだ。バレエ・ジャズダンスで養ったしなやかな動きと高度なリズム感は華麗な水中演技にも反映されている。

競技を始めて10年ほど、同世代では徐々に目立つ存在になっていく。

萩山中学校在籍時の2009年にはザ・クラブピア88の一員としてJOCジュニアオリンピックカップ夏季水泳競技大会に出場し、チーム部門で8位入賞に貢献した。翌2010年には全国の選手を対象としたユースエリート選抜選手とユースエリート・ジャンパー選抜選手として強化合宿に参加。2013年、名古屋大谷高等学校時代には東京で行われた国民体育大会に出場し、少年女子デュエットで4位の成績を残している。

2019年4月、アーティスティックスイミングワールドシリーズである日本選手権のデュエットでは銀メダルを獲得した(左端)
2019年4月、アーティスティックスイミングワールドシリーズである日本選手権のデュエットでは銀メダルを獲得した(左端)2019年4月、アーティスティックスイミングワールドシリーズである日本選手権のデュエットでは銀メダルを獲得した(左端)

大学卒業直後に、エースのパートナーに大抜擢

高校卒業後、2014年に地元の愛知学院大学に進学する。同年6月に行われた日本選手権水泳競技大会ジャパンシンクロチャンピオンシップオープンではソロ競技とデュエット競技で6位、コンビネーション競技で4位に食い込んだ。決して悪い成績ではないが、群を抜く存在というわけでもなかった。

風向きが大きく変わったのは愛知学院大を卒業した2018年だ。8月から9月にインドネシアのジャカルタで行われたアジア競技大会が転機となった。オリンピックに2度出場し、日本代表のキャプテンを務める乾友紀子のデュエットのパートナーに抜擢された。デュエットでは国内大会でもメダルに届いていなかった吉田は、頼れるベテランとともに国際大会で銀メダルを獲得した。

乾とともにデュエットの演技を始めたのは大会のわずか1カ月前だったが、それでもメダルを獲得したことで、日本代表の井村雅代ヘッドコーチは確信を強めた。乾と吉田の「新生ペア」は2019年4月、アーティスティックスイミングワールドシリーズであるジャパンオープン兼日本選手権で銀メダルに輝き、3カ月後の世界水泳選手権で4位入賞を果たした。すんでのところで逃した金メダルは東京五輪で手に入れる。

選手プロフィール

  • 吉田 萌(よしだ・めぐむ)
  • アーティスティックスイミング
  • 生年月日:1995年7月2日
  • 出身地:愛知県名古屋市
  • 身長/体重:169センチ/54キロ
  • 出身校:萩山中(愛知)→名古屋大谷高(愛知)→愛知学院大(愛知)
  • 所属:ザ・クラブピア88/愛知学院大職員
  • オリンピックの経験:なし

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