大坂なおみは新コーチのジャーメイン・ジェンキンスとともにさらなる飛躍をにらむ

2013年のプロ転向以降、さまざまなコーチの指導で成長

サーシャ・バインとの契約解除。2019年2月、大坂なおみはテニスプレーヤーとして自らを大きく成長させてくれたコーチとの別れを発表した。現在はアメリカ人のジャーメイン・ジェンキンスの指導のもと、さらなる飛躍をにらむ。現コーチのプロフィールを追うとともに、これまで大坂を指導してきたコーチ陣にもスポットを当てる(※)。

※編注:日本時間9月13日5時頃、大坂なおみは自身の公式Twitterアカウント上で、ジャーメイン・ジェンキンス氏とのコーチ関係解消を明らかにした。後任のコーチについては現時点で不明となっている。

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大坂なおみは2019年2月、アメリカ人のジャーメイン・ジェンキンス(左)を新コーチとして迎え入れた
大坂なおみは2019年2月、アメリカ人のジャーメイン・ジェンキンス(左)を新コーチとして迎え入れた大坂なおみは2019年2月、アメリカ人のジャーメイン・ジェンキンス(左)を新コーチとして迎え入れた

世界トップに立った直後の別れ

「これからはサーシャとは一緒に仕事をしません。彼には感謝しています。今後の成功を祈っています」

2019年2月11日、大坂なおみは自身のツイッターでドイツ人コーチ、サーシャ・バインとの契約解消を発表した。2018年に女子ツアーを統括するWTAの年間最優秀コーチ賞を受賞したバイン氏は、ツイッターでこのように反応した。

「ありがとう、なおみ。なんて素晴らしい旅路だったんだ」

大坂とバイン氏が契約を交わしたのは2017年12月。ここから大坂の快進撃が始まった。2018年3月のBNPパリバ・オープンで自身初のツアー優勝を果たすと、同年秋の全米オープンでメジャー制覇。2019年1月の全豪オープンも制し、4大トーナメント連覇を飾った。これらの結果に伴い、世界ランキングも急上昇。バイン氏がコーチに就任した2017年12月時点では68位だった順位は、全豪優勝後に1位へと上り詰めた。

サーシャ・バイン(左)の指導のもと、世界ランクで68位から1位へと上り詰めた。それだけに契約解除は世界中を驚かせた
サーシャ・バイン(左)の指導のもと、世界ランクで68位から1位へと上り詰めた。それだけに契約解除は世界中を驚かせたサーシャ・バイン(左)の指導のもと、世界ランクで68位から1位へと上り詰めた。それだけに契約解除は世界中を驚かせた

大坂はバイン氏との二人三脚で日本のみならず、名実ともに世界の女子テニス界をけん引する存在へと成長した。それだけに、世界のトップに立った直後の専属コーチとの別れは国際的にも衝撃を持って伝えられた。

その約2週間後の2019年2月28日、大坂は自身のインスタグラムを更新し、1枚の写真を公開した。現在は削除された写真に大坂とともに写っていたのは3人。これまでも「チームなおみ」を支えてきたフィジカルコーチのアブドゥル・シラーと理学療法士のクリスティ・スターだ。シラーはセリーナ・ウィリアムズやスローン・スティーブンス(ともにアメリカ)のフィジカルコーチも務めた実績を持ち、2018年3月から大坂を支えている。WTA公認の理学療法士であるスターも、S・ウィリアムズと仕事をした経験がある。

そしてもう一人、この写真に収まっていた人物が大きな話題を呼んだ。アメリカ出身のジャーメイン・ジェンキンスは、ほどなく大坂の新コーチであることが明らかとなった。

新コーチのジェンキンス。ヒッティング・パートナーとしてビーナス・ウィリアムズを復活に導いた手腕が高く評価されている
新コーチのジェンキンス。ヒッティング・パートナーとしてビーナス・ウィリアムズを復活に導いた手腕が高く評価されている新コーチのジェンキンス。ヒッティング・パートナーとしてビーナス・ウィリアムズを復活に導いた手腕が高く評価されている

大坂がコーチに求める要素とは?

「チームなおみ」に新たに加わったジェンキンスは、クレムソン大学時代には全米代表として活躍。プロ転向後は目立った成績を残すことができなかったものの、2015年7月から2018年まで、前述のセリーナの姉であるビーナス・ウィリアムズ(アメリカ)のヒッティング・パートナーを務めた。4大トーナメントでは2009年のウィンブルドンで決勝に駒を進めて以来、しばらく苦戦の続いていたV・ウィリアムズを2017年の全豪とウィンブルドンで準優勝に導き、いま一度世界の頂点を争える選手へと再生させたことでその名をとどろかせた。

ジェンキンスの手腕を高く評価したのがアメリカテニス協会だった。2019年1月、ジェンキンスは全米協会に迎え入れられ、女子ナショナルチームのコーチに就任。若手選手の育成を始めたばかりだったが、大坂からのオファーを受け、彼女を指導する道を選んだのだった。

ジェンキンスが専属コーチに就く直前、WTA公式サイトには新コーチに求める要素について大坂のコメントが掲載されていた。

「ポジティブな気持ちを持っていること。ファミリーボックスから否定的な発言をする人は望みません」「直接ものを言ってくれる人がいいですね。面と向かって話をすることができる人。陰でものを言うのではなく、直接自分に言ってほしい」

ジェンキンスはこれらの条件をクリアしているのだろう。コーチ就任から間もなくのトレーニング後、大坂は満足そうに「とてもいい人だし、打ち合いもやりやすい」と話している。

2016年3月のマイアミ・オープン時の写真。直後にポルトガル人のアントニオ・バン・グリチェンがコーチに就任した
2016年3月のマイアミ・オープン時の写真。直後にポルトガル人のアントニオ・バン・グリチェンがコーチに就任した2016年3月のマイアミ・オープン時の写真。直後にポルトガル人のアントニオ・バン・グリチェンがコーチに就任した

大坂の指導にあたった歴代のコーチたち

大坂のコーチと言えば、前述のバイン、そして現コーチのジェンキンスがよく知られたところだが、これまでにも複数の人物が彼女の成長に携わっている。

大坂がプロに転向したのは2013年の9月。前年から約1年間、専属のコーチを務めたのがフランス人のパトリック・トーマだ。ビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹やマリア・シャラポワ(ロシア)といった名手たちを指導した経験も持つ。

続いてアメリカ出身のハロルド・ソロモンがコーチに就いた。元男子シングルス世界ランキング5位の実績があり、彼女を指導していた2014年当時から大坂に大きな期待を寄せる一人だった。ソロモンはメディアに対してこう話したことがある。

「女子テニス界もパワーの時代。身長180センチを超えるなおみは相手に大きな脅威を与えることができる。未完成ではあるが、女王になれる資質は十分に備えている」

2016年9月から約1年3カ月にわたり大坂を指導したデビッド・テイラー。アナ・イバノビッチやマルチナ・ヒンギスのコーチを務めた経歴を持つ
2016年9月から約1年3カ月にわたり大坂を指導したデビッド・テイラー。アナ・イバノビッチやマルチナ・ヒンギスのコーチを務めた経歴を持つ2016年9月から約1年3カ月にわたり大坂を指導したデビッド・テイラー。アナ・イバノビッチやマルチナ・ヒンギスのコーチを務めた経歴を持つ

2016年4月からコーチを務めたのが、ポルトガル人のアントニオ・バン・グリチェンだ。2005年からビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を指導して、世界のトッププレーヤーの一人へと育て上げた名コーチである。

2016年9月からは、アリシア・モリク(オーストラリア)、アナ・イバノビッチ(セルビア)、マルチナ・ヒンギス(スイス)らの成長を促したデビッド・テイラーがコーチを務めている。日本テニス協会が招聘したオーストラリア人コーチで、約1年3カ月にわたり大坂を指導した。

これまで指導にあたったコーチの努力、そして各指導者とともに着実に成長を遂げた大坂の奮闘が、バインの時代に開花して世界のトップへとたどり着いた。2019年2月に始まったジェンキンスとの新しい時代がどのようなストーリーを描いていくのか、期待が高まる(※)。

  • 古き良き時代かから大きな変化を遂げたテニス

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