女子ハンドボール世界選手権レビュー:オランダが初優勝。日本は欧州勢相手に奮闘を見せ過去最高の10位に

日本は「ヨーロッパ勢に勝利」という目標を最終戦で達成
大会直前での主力選手の負傷離脱もあり、苦戦を強いられたおりひめJAPAN(写真は佐々木春乃)/時事
大会直前での主力選手の負傷離脱もあり、苦戦を強いられたおりひめJAPAN(写真は佐々木春乃)/時事大会直前での主力選手の負傷離脱もあり、苦戦を強いられたおりひめJAPAN(写真は佐々木春乃)/時事

2019女子ハンドボール世界選手権大会が11月30日から12月15日にかけて熊本県で開催された。劇的な試合展開でスペインとの決勝戦を制したオランダが初優勝し、東京五輪の出場権を獲得。日本は過去最高の10位でフィニッシュし、2020年の夏に向けて自信を深めた大会となった。

スペインとの激闘を制したオランダ/EPA=時事
スペインとの激闘を制したオランダ/EPA=時事スペインとの激闘を制したオランダ/EPA=時事

初優勝のオランダが東京五輪への切符を獲得

2年に一度開催される女子ハンドボールの世界一決定戦、世界選手権大会が22年ぶりに熊本県を舞台に開催された。開催国枠の日本を含め、24カ国によって全96試合の熱戦が繰り広げられた同大会は、オランダの初優勝で幕を閉じた。

スペインとの決勝戦は、まさに手に汗握る接戦となった。リードするオランダをスペインが追撃し、ラスト1分で29−29の同点に追いつく。勝負を決した1点が生まれたのは、残り6秒の場面。スペインの反則で得た7メートルスローでロイス・アビンがネットを揺らし、30−29と勝ち越し優勝をもぎ取った。アビンは71得点で今大会の得点女王に輝き、「とても幸せ」と高々とトロフィーを掲げた。この結果、オランダは東京五輪の出場権も獲得。4位に入った2016年のリオデジャネイロ五輪以来、2度目の出場を決めた。

スペインはあと一歩のところで栄冠を逃すこととなったが、前回大会の11位から大きな飛躍を遂げた。今大会は欧州選手権のプレーオフで出場権を手にした立場だったものの、1次リーグで前回6位のモンテネグロ、2次リーグで日本を下し、準決勝では優勝候補に挙げられていたノルウェーを撃破。開催国として臨む2年後の次回大会に向けて弾みをつけた。

また、3位決定戦ではロシアがノルウェーに33−28で勝利。5位、6位決定戦ではモンテネグロがセルビアを28−26のスコアで下している。

ルーマニア戦で貴重なゴールを決めた藤田明日香。ドイツのボルシア・ドルトムントでプレーする実力派だ
ルーマニア戦で貴重なゴールを決めた藤田明日香。ドイツのボルシア・ドルトムントでプレーする実力派だルーマニア戦で貴重なゴールを決めた藤田明日香。ドイツのボルシア・ドルトムントでプレーする実力派だ

ルーマニア戦で見せた「おりひめJAPAN」の意地

「おりひめJAPAN」こと女子日本代表は、過去最高の10位で今大会を終えた。日本は予選ラウンドでアルゼンチン、DRコンゴ、中国に勝利し、3勝2敗のC組3位でメインラウンドへ。メインラウンドに進出したチームは、世界ランキング13位の日本にとっていずれも格上の相手とあって、厳しい戦いが待っていた。

初戦のモンテネグロ戦は、常に先行を許す形で試合が進み、最大で5点のビハインドを負った。残り10分で同点に追いつく粘りを見せたものの、26−30で敗戦。今大会は予選ラウンドのポイントが持ち越されるため、他試合の結果も踏まえてこの時点で日本の準決勝進出はなくなった。

続くスペインとの一戦では、司令塔の大山真奈を中心に積極的な姿勢を見せた。前半を13−17で折り返すと、後半はさらに追い上げ、18分に角南唯(すなみ・ゆい)がスカイプレーを決めて25−24と逆転に成功する。しかし、その後はミスが続いて連続失点。6得点を挙げて同試合のMVPに選出された大山の奮闘も実らず、31−33で惜敗した。

「ヨーロッパ勢からの勝利」を目標に掲げた今大会で、やはり欧州強豪国の分厚い壁に阻まれた日本だったが、ルーマニアとの最終戦で意地を見せた。角南のロングシュートなどで立ち上がりから得点を重ねていった日本は、前半を18−8と大きくリードして折り返す。後半に入っても藤田明日香や勝連智恵(かつれん・ちえ)のサイドシュートなどで加点し、37−20の大勝で有終の美を飾った。

「おりひめJAPAN」を率いるウルリック・キルケリー監督は強豪デンマーク出身。同国女子ユースの監督や同国女子代表のコーチを務めた経歴を持つ
「おりひめJAPAN」を率いるウルリック・キルケリー監督は強豪デンマーク出身。同国女子ユースの監督や同国女子代表のコーチを務めた経歴を持つ「おりひめJAPAN」を率いるウルリック・キルケリー監督は強豪デンマーク出身。同国女子ユースの監督や同国女子代表のコーチを務めた経歴を持つ

日本代表は「ベストの力を発揮できれば世界と戦える」

1976年のモントリオール五輪以来、44年ぶりに五輪の舞台に挑む日本女子にとって、世界の強豪が集った今大会は、現在地を知る意味で重要な位置付けだった。

大会直前に主力選手が負傷離脱する不運もあったが、目標であったヨーロッパ勢からの勝利を達成。そのルーマニア戦では、体格で勝る相手に対し、スピードとテクニックで圧倒した。敗れはしたものの、準優勝したスペインに一時は逆転する底力も見せた。2016年6月から「おりひめJAPAN」を率いるウルリック・キルケリー監督は「試合を重ねるごとに調子を上げ、大きな成功をつかんだ」と手応えを口にした。

過去最高の10位という結果を残した背景には、7月から8月にかけて欧州各地のクラブチームと10試合の練習試合をこなした強化遠征や、9月、11月の親善試合で積み重ねてきた経験がある。

自信を深めた一方で、キルケリー監督は東京五輪を見据え、「ハングリーさを出し、最善の準備をしなければいけない」と気を引き締めた。指揮官いわく「ベストの力を発揮できれば世界と戦える」。今後はチームの基礎力を高め、一つの大会期間中にチームとしてのパフォーマンスを落とさず、常にベストな状態をキープすることが課題となる。

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