女子ボクシング:中国・アジア勢が上位に食い込む女子ボクシング、日本勢もメダル獲りに挑む

女子のボクシングがオリンピックの正式種目になったのは2012年ロンドン大会。リオデジャネイロ大会と併せ、過去2大会しか実績はないが、メダルを獲得した選手たちは、後にプロ転向を果たし世界チャンピオンにも君臨する。オリンピックで活躍すれば、プロボクシングの世界が見えてくる。2大会連続で金メダルを獲得した選手も多いが、今回は新しいチャンピオンの誕生も期待される。

五輪採用は3大会目の女子ボクシングだが、男子顔負けの攻防をみせることも
五輪採用は3大会目の女子ボクシングだが、男子顔負けの攻防をみせることも五輪採用は3大会目の女子ボクシングだが、男子顔負けの攻防をみせることも

◆競技の概要

女子のボクシングは男子同様長い歴史があるが、長らく禁止にする傾向があった。しかし、1988年にスウェーデンで女子アマチュアボクシングが認定されると、2001年にはAIBA(当時は国際アマチュアボクシング協会)による世界女子ボクシング選手権大会が開催。オリンピックにおいては2012年ロンドン大会より採用される。

東京五輪での実施種目は、これまでのフライ級、ライト級、ミドル級から名称を変更の上、5階級で行われる。階級は以下の通り。

  • フライ級:51キロ級
  • フェザー級:57キロ級
  • ライト級:60キロ級
  • ウェルター級:69キロ級
  • ミドル級:75キロ級

◆女子ボクシング競技のみどころ、ルール

左右の拳のみで闘うボクシング。拳だけが武器だが、身体や脚、全身を使い、相手をKOするか、ポイントで勝負が決する。昨今は女子同士の試合でも男子顔負けの攻防が展開されることもある。

彼女たちが闘うリングのサイズは、6.1メートル×6.1メートル。ロープが四方に張られたリングの中だけが、闘いの場となる。

男子同様にオリンピックでは3分3ラウンド制のトーナメント形式となり、実力以上にその場の勢いも勝敗に影響を与えることも多い。

試合の勝敗は、ダウンして10秒以内に競技を続けられない時、またはレフリーがカウントを省略してのノックアウト(KO)勝ち。ノックアウトで決まらない場合は、ジャッジの判定に持ち越される。

判定は、5人の審判が、勝利したと思われる選手にポイントを与え、ポイントが多い選手が勝利者として判決される。

その他、ラウンド中、あるいは終了後にセコンドがタオルを投げ入れた場合、またはレフリーが競技者の安全を考慮して試合を止めた際に、レフリー・ストップコンテストが適用される。相手選手が負傷で競技続行不可能な時や、ルール違反で当該選手が失格と判定された時も、レフリーの判断で決めることができる。

選手にはランニングシャツやトランクス、ガムシールド、カッププロテクターの装着が義務付けられている。グローブについては、片手10オンスとし、AIBA(国際ボクシング協会)公認のメーカーのものを使用する。女子のみヘッドギアの着用も義務付けられている。

ニコラ・アダムズは五輪後に世界王者に。女子ボクシング界にとって五輪はプロへの登竜門になりつつある
ニコラ・アダムズは五輪後に世界王者に。女子ボクシング界にとって五輪はプロへの登竜門になりつつあるニコラ・アダムズは五輪後に世界王者に。女子ボクシング界にとって五輪はプロへの登竜門になりつつある

◆過去のメダル獲得成績、過去記録やレジェンド選手は?

  • アメリカ 金:2 銀:0 銅:1 計3
  • イギリス 金:2 銀:0 銅:0 計2
  • アイルランド 金:1 銀:0 銅:0 計1
  • フランス 金:1 銀:1 銅:0 計2

女子ボクシングは、これまで五輪の正式種目としてロンドンとリオデジャネイロ、2大会で開催されている。連続で金メダルを獲得した選手は2人。

まずは、フライ級のニコラ・アダムズ(イギリス)。リーズ出身で2008年にバンダム級、2010年はフライ級で世界選手権銀メダルを獲得。その後、ロンドン大会予選を兼ねた2012年世界選手権ではフライ級に出場し準優勝に終わる。しかし、ロンドン大会本戦で金メダルを獲得後、2016年5月の世界選手権にフライ級で出場し、見事に金メダルを得た。

そして、リオ大会でも2大会連続金メダルを獲得に成功。その後、プロに転向し、プロ5戦目でWBO(世界ボクシング機構)世界女子フライ級暫定王座決定戦で王座獲得に成功する。

もう1人は、ミドル級のクラレッサ・シールズ(アメリカ)。2012年世界選手権はベスト8に終わるも、五輪では決勝まで進み優勝を決めると、リオ大会でも見事に金メダルを獲得した。

その後はプロに転向。2017年8月には空位だったIBF(国際ボクシング連盟)女子世界スーパーミドル級王座決定戦をかけて、当時WBC(世界ボクシング評議会)女子世界スーパーミドル級王者ニッキ・アドラーと対戦。5回TKO勝利を飾るとともに、プロ4戦目で世界タイトルを奪取した。その後ミドル級でもWBA(世界ボクシング協会)、IBFのタイトルを獲得し、2階級制覇を達成している。

日本女子ボクシングの草分け・和田まどか。リオ大会予選落ちの悔しさから東京五輪出場を目指す
日本女子ボクシングの草分け・和田まどか。リオ大会予選落ちの悔しさから東京五輪出場を目指す日本女子ボクシングの草分け・和田まどか。リオ大会予選落ちの悔しさから東京五輪出場を目指す

◆東京五輪に向けた注目の日本人選手

過去の世界選手権2大会でメダルを獲得した和田まどかは、東京五輪代表候補として注目だ。2014年には、女子アマチュアボクシング界初の世界大会メダルを獲得するなど、日本女子ボクシングの草分け的な存在である。

しかし、前回のリオ大会は、本戦予選を兼ねた世界選手権で敗退し出場を逃していた。昨年の世界選手権ではライトフライ級で出場し、2大会ぶり銅メダルを獲得した。地元開催のオリンピック出場に向けて今度こそ出場を目指す。

同じく、昨年の世界選手権フライ級で銅メダルを獲得した並木月海も代表候補になるだろう。国際大会で金メダル獲得の実績がある並木は、女子ボクシングの強豪国インドの選手にも勝利した実績も持つ。

“倒し屋(KO屋)”として実績を持つ並木だが、前述の和田との対戦もあり、その時はポイント負けを喫した。残念ながら、昨年の全日本女子ボクシング選手権大会では3位に終わったが、海外選手に強い実績がある以上、覚えておきたい選手といえよう。

◆東京五輪・女子ボクシング日本代表のライバルとは

筆頭に挙げたいのは、2018年世界女子ボクシング選手権大会で4個の金メダルを含む5個のメダルを獲得した中国。世界選手権は10階級で行われたことから、5階級で行われるオリンピックでは、代表争いの時点から激しくなることが予想される。結果として、選りすぐりの精鋭たちが東京五輪に来襲するはずだ。

そして、和田や並木がメダルを獲得したフライ級をはじめとする軽量のクラスでは、インドやカザフスタン、北朝鮮も気になるところだ。そして同じく世界選手権で金メダル2個を獲得するチャイニーズタイペイも有力となってくる。

アメリカ、欧州勢も強いが昨今、中国系の選手が上位に食い込むことも多い
アメリカ、欧州勢も強いが昨今、中国系の選手が上位に食い込むことも多いアメリカ、欧州勢も強いが昨今、中国系の選手が上位に食い込むことも多い

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