宇野昌磨:「どうやったらいい演技ができるのか。それだけをイメージしてスケートをしています」

宇野は1997年12月17日生まれ。5歳でスケートを始めた
宇野は1997年12月17日生まれ。5歳でスケートを始めた宇野は1997年12月17日生まれ。5歳でスケートを始めた

宇野昌磨(しょうま)が現在のフィギュアスケート界をリードする選手であることに異論を唱える者はいないだろう。2018年の平昌冬季五輪や、2017年と2018年の世界選手権で銀メダルを獲得、全日本フィギュアスケート選手権大会を3連覇するなど、確実に結果を残し続けてきた。国際スケート連盟が発表する世界ランキングでも首位に立つ。ただし、史上初の4回転フリップを成功させた若き逸材は、現状に満足することはない。はるか上をめざしている。2018年12月、カナダのバンクーバーで開催されたグランプリファイナルの直後に宇野に話を聞いた。

「自分をうまく評価するのは難しいです。見ている皆さんが僕のことを評価してください」と話す
「自分をうまく評価するのは難しいです。見ている皆さんが僕のことを評価してください」と話す「自分をうまく評価するのは難しいです。見ている皆さんが僕のことを評価してください」と話す

「期待に応えられる選手になりたい」

2018年9月にイタリアで行われたロンバルディアトロフィーの男子シングルで優勝。2018/2019シーズンの宇野昌磨は、好スタートを切った。続くグランプリ(以下GP)シリーズでは、自身にとってのシリーズ初戦となった10月のスケートカナダ、そして11月のNHK杯国際フィギュアスケート競技大会を連続で制し、国際スケート連盟(以下ISU)GPファイナルへの出場資格を得た。

GPシリーズで獲得したスコアの合計は553.70で、これは羽生結弦の575.54に次いで2番目に高い数値だ。その羽生がGPファイナルを棄権したため、宇野には優勝の期待もかかったが、ショートプログラムで91.67、フリースケーティングで183.43といずれも2位に終わった。2017年に続いて2年連続で2位となった。

2018年12月、GPファイナルを終えたばかりの宇野に話を聞いた。

宇野はここまでの自身のパフォーマンスについて「シーズン前半は、あまり自分で納得のいく演技ができませんでした」と振り返った。GPファイナルでも、ショートプログラムでは冒頭の4回転フリップで手をつき、フリースケーティングでも最初の4回転サルコウが両足での着氷となり、終盤のコンビネーションジャンプでも着氷が乱れて手をついてしまった。

GPファイナルの2位という成績には決して満足していない。宇野はこう明かした。

「自分の演技に対しては不満があります。結果は自分の演技についてくるものだと思うので、結果に対して思うことは何もありません。ただ、皆さんの期待に応えられなかったことに対して申し訳ない気持ちでいます。自分の演技に納得がいかない状態がここ最近、続いているので、それはちょっと良くないな、と思っています」

日本のフィギュアスケート界は、世界トップレベルのスケーターが続々と登場するなどレベルが高く、人気も注目度も高い。宇野自身もその実情を認めている。重圧を力に変えたいと話す。

「それだけプレッシャーもあるし、多くの方の期待に応えなければならないという気持ちもあります。やはり期待されるのはうれしいことですし、期待していただいている立場であることをしっかり受け止めて、期待に応えられる選手になりたいと思っています」

羽生結弦(左)とともに出場した2018年の平昌冬季五輪では銀メダルを獲得している
羽生結弦(左)とともに出場した2018年の平昌冬季五輪では銀メダルを獲得している羽生結弦(左)とともに出場した2018年の平昌冬季五輪では銀メダルを獲得している

「試合で跳ぶジャンプの成功率を上げたい」

宇野はシーズン後半戦に向けた自身の改善点を明確に把握している。今後の課題を聞くと「ジャンプの成功率です」と即答した。

「練習でのジャンプではなく、試合で跳ぶジャンプの成功率を上げたい。苦手なジャンプはないですけれども、試合ではなかなかノーミスのショートプログラム、フリースケーティングができないことが今の悩みです」

宇野の本来の持ち味は、体幹の強さを生かしたパワフルでアグレッシブなスケーティングだ。2018年7月に現役に復帰した元世界王者の高橋大輔がこの「オリンピックチャンネル」のインタビューで宇野のことを「ブルドーザー」と表現し、その例えがあまりに適切だと話題を呼んだ。宇野自身はこの評価について白い歯をこぼす。

「それだけパワフルだという印象を残すことができたのはすごくうれしいですし、自分の憧れの人からそういった言葉をいただけて、すごくうれしいですね」

では、宇野本人は自身のことをどう見ているのだろうか。「自分を動物にたとえると?」という質問を投げかけてみると、このような答えが返ってきた。

「わからないですね。自分については、自分でもよくわからない部分が多いので、自分をうまく評価するのは難しいです。見ている皆さんが僕のことを評価してください」

自分でもよくわかからない部分が多いということは、まだまだ引き出せていないポテンシャルがある、ということにもつながる。今は「ブルドーザー」かもしれない。だが、今後の成長次第では、それとは全く異なる別の何かにたとえられる可能性もある。

2018年12月の全日本選手権の男子ショートプログラムでは102.60点を出し、首位に立った
2018年12月の全日本選手権の男子ショートプログラムでは102.60点を出し、首位に立った2018年12月の全日本選手権の男子ショートプログラムでは102.60点を出し、首位に立った

なぜバスケットボールを取り入れているのか

さらに宇野は、どのような準備をし、どんな精神状態で試合に臨んでいるのかも明かしてくれた。試合前のウォーミングアップとして、バスケットボールをする姿が捉えられたことがある。一風変わったウォーミングアップ方法について尋ねると、彼はこのように答えた。

「僕はバスケットボールが特に好きというわけではなく、ただボール遊び全般が好きという理由でバスケットボールをやっていました。試合の前だけじゃなく、日頃の練習でも、僕はウォーミングアップがあまり好きではないので、ああいう遊びをして体を動かすようにしています」

2018/2019シーズンの前半戦は、なかなかイメージどおりの演技ができなかった。12月21日から始まった全日本フィギュアスケート選手権大会が終わり、その後は2019年2月のISU 四大陸フィギュアスケート選手権大会、そして3月のISU 世界フィギュアスケート選手権大会へと続いていく。GPファイナルで2位となった悔しさを晴らすべく、宇野は後半戦へ向けて意気込む。

「シーズン後半は、自分が少しでも満足できるような、いい演技を成し遂げたいと思っています。どうやったらいい演技ができるのか。それだけをイメージしてスケートをしています」

インタビュー=Rachel GRIFFITHS

2012年、14歳の時の写真。インスブルックで行われれたユースオリンピックで銀メダルに輝いた
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