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射撃ライフル:集中力維持が勝敗のカギ。台頭する韓国、中国に日本も続けるか

自分自身との戦いがカギを握る。

射撃は、近代オリンピックが始まった1896年の第1回アテネ五輪から実施されている、歴史ある競技だ。また、近代五輪の父であるクーベルタン男爵が考案、創設した近代五種のひとつにも、射撃は含まれている。2020年東京五輪では、ライフル、ピストル、クレー射撃、男女合わせて15種目が実施される。その中のライフル射撃について紹介しよう。

発射までの緊張感と標的を射抜く爽快感、スリリングな展開に引き込まれる

ライフル射撃は、10mあるいは50m先にある固定された標的を狙い撃つ競技である。競技者は手元にあるモニターで、電子標的の中心を正確に射抜けたかを確認する。競技者は狙いを定め、指先で引き金を引く。パワーやスピードではなく、どれだけ集中力を高め、それを維持できるのか、精神力の強さが勝敗の決め手となる。1984年ロサンゼルス大会の25mラピッドファイアピストルで、蒲池猛夫が射撃競技における日本人初の金メダルに輝いているが、このとき蒲池は48歳。孫がいるメダリストとして話題となった。

観戦の醍醐味は、発射されるまでの緊張感、標的を正確に射抜いたときの爽快感、そして、的の中心から僅かにそれるだけで順位が劇的に変わるスリリングな展開だろう。また“ライフルのマラソン”と呼ばれる「50mライフル3姿勢」の競技時間は、インターバルを含めて3時間を超える。メンタル面の強さが重視される射撃だが、半屋内の会場で行われるため、競技の最中に、厳しい暑さや湿気なども予想され、十分な体力がなければ、集中力を維持することも困難だ。目の前のライバルと得点を競うが、各選手が自分自身と戦う競技でもある。

ロンドン五輪のライフル競技会場

標的を正確に射抜けるか!?ライフル射撃の競技概要

ライフル射撃は、5.6mm口径のライフルを使用する「50mライフル三姿勢」と、4.5mm口径の空気銃を使用する「10mエアライフル」のふたつに分類できる。

・男子:50mライフル三姿勢

・女子:50mライフル三姿勢

・男子:10mエアライフル

・女子:10mエアライフル

・混合:10mエアライフル

50mライフル三姿勢は、50m先の電子標的(直径15.44cm、中心は地上面から75cmの高さ)を、立射(S/スタンディング)・膝射(K/キーピング)・伏射(P/プローン)という3つの姿勢で狙い撃つ。各姿勢で40発、合計120発1200点満点で競う。上位8名によるファイナルは、200秒以内に膝射5発を3シリーズ、150秒以内に伏射5発を3シリーズ、250秒以内に立射5発を2シリーズ撃つ。計40発目で8位と7位が脱落。以降は、制限時間50秒で1発ずつ負け抜け方式(41発目で6位確定、42発目で5位確定……)で、順位が決まる。なお、ファイナルでは1発の満点が10.9点となる。その分、得点差が大きくなり、逆転のチャンスが生まれやすくなる仕組みになっている。

10mエアライフルは立射10発6シリーズ、合計60発654満点で競う。10メートル先の電子標的は直径4.55センチ、中心は地上面から140センチの高さで、競技時間は1時間15分。上位8名によるファイナルは、150秒以内に3発2シリーズを撃つ。その後、制限時間30秒で1発ずつ射撃を行い、2発ごとに負け抜け方式で順位を確定させる。10mエアライフルは全て立射で行われるが、立射は膝射や伏射に比べると極めて不安定な姿勢のため、銃をコントロールすることが困難となっている。なお、10mエアライフルの混合(ミックスチーム)は2018年から導入された新種目で、男女によるペアで得点を競う。

日本は台頭するアジア勢に続けるか。

欧州や米国の独壇場から、中国や韓国が強豪国に台頭…日本の現状は?

射撃は、1984年ロサンゼルス大会で蒲池猛夫が25mラピッドファイアピストルで金メダルを獲得、2017年にインドで開催されたワールドカップで、松田知幸(神奈川県警)が10mエアピストルで世界新記録を打ち立てるなど、世界レベルの選手を輩出している競技だ。ライフル射撃でも、1992年のバルセロナ大会50mライフル3姿勢で木場良平が銅メダルを獲得している。ただし近年、ライフル射撃では、あまり良い成績が残せていない。リオデジャネイロ五輪では、全員が予選敗退を喫した。

日本ライフル射撃協会は、東京五輪に向けて若手の育成に力を入れているものの、若さよりも経験が重視される競技のため、トップレベルの選手まで育てあげるには時間が掛かりそうだ。それでも、2018年にジャカルタで行われたアジア競技大会では、34歳(大会当時)の松本崇志(自衛隊体育学校)が50mライフル三姿勢で銅メダルを獲得するなど、健闘を見せた。そのほかでは、北京五輪、リオデジャネイロ五輪の2大会に出場している山下敏和(自衛隊体育学校)、リオデジャネイロ五輪出場の岡田直也(ALSOK)が、東京五輪の有力候補になるだろう。また、女子では、アジア競技大会に出場した清水綾乃(自衛隊体育学校)、砥石真衣(株式会社グリム)、古野本真希(株式会社日立システムズ)が注目だ。

射撃の強豪国は、ドイツやイタリアなどのヨーロッパ勢やアメリカだ。リオデジャネイロ五輪では、ニッコロ・カンプリアーニ(イタリア)が10mエアライフルと50mライフル3姿勢で2冠を達成して話題をさらった。また、近年は中国や韓国の台頭が著しい。前回大会では、金宗玄(キム・ジョンヒョン/韓国)が、男子50mライフル伏射個人(東京五輪では実施せず)で銀メダルを獲得。女子50mライフル3姿勢では、中国の張彬彬が2位、杜麗が3位で表彰台に上った。日本と同じ東アジアの国がメダルを獲得したことに、日本の選手たちも刺激を受けたはずだ。地元開催という地の利を生かし、日本がどこまで世界の競合に食い下がれるかを注目したい。

ライフル射撃とピストル射撃を知ろう

ライフル射撃とピストル射撃の違いをご存知?