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強豪へと成長した日本のバドミントン。東京五輪でメダルラッシュなるか

女子ダブルスは群雄割拠。男子は桃田賢斗に期待

以前のバドミントン界はインドネシアや中国が強豪だったが、「オグシオ」ペアの登場で注目度が高まり、日本勢のレベルも上昇。リオデジャネイロ五輪では「タカマツ」ペアが金メダルを獲得した。2020年東京五輪では男子シングル世界ランキング1位の桃田賢斗らに金メダルの期待がかかる。

小椋久美子(右)&潮田玲子(左)による「オグシオ」ペア。北京五輪では5位入賞を果たした

「オグシオ」ペアから人気と知名度が急上昇

競技としてのバドミントンはメディアへの露出があまり多くはなく、「マイナースポーツ」の一つに数えられていた。

その風潮が変わったのは「オグシオ」こと小椋久美子&潮田玲子ペアの登場からだろう。2004年アテネ五輪への出場は逃したが、同年から全日本総合選手権で5連覇を果たし、日本の女子ダブルスを牽引する存在となる。実力もさることながらルックスもよく、メディアに露出するようになったことで、試合会場の観客動員も増えていった。2008年には世界ランキングで7位となり、北京五輪に出場。小椋のコンディションが万全でなかったこともあって準々決勝敗退となったが、5位入賞という成果を得た。

北京五輪には日本から女子ダブルスにもう1組参加していた。それが末綱聡子&前田美順(みゆき)ペアだ。当初は大きな注目を集めた「オグシオ」ペアの陰に隠れる存在だったが、準々決勝で2004年アテネ五輪金メダリストの楊錐(ヤン・ウェイ)&張潔雯(チャン・ジーウェン)という中国人ペアを破る大金星を挙げ、「オグシオ」になぞらえて「スエマエ」の愛称で一躍、注目を集める。残念ながら準決勝で敗れ、3位決定戦も落としてメダル獲得はならなかったが、日本の女子ダブルスが世界と伍するレベルにあることを証明し、この頃からペアを組む2人の名字の一部を合わせた「●●ペア」という呼び方が一般的になった。

藤井瑞希(右)&垣岩令佳(左)の「フジカキ」ペアはロンドン五輪で銀メダルを獲得。ペア解消後、再結成し東京五輪出場をめざす

「フジカキ」ペアと「タカマツ」ペアの登場

続く2012年ロンドン五輪には「スエマエ」ペアに加えて藤井瑞希&垣岩令佳の「フジカキ」ペアが出場。彼女たちは「スエマエ」ペアの北京五輪での活躍に感銘を受け、ロンドン五輪でのメダル獲得を目標に掲げてハードトレーニングに取り組み、見事に銀メダルを獲得した。日本バドミントン界にとって史上初のオリンピックメダル獲得だった。

そして2016年リオデジャネイロ五輪では、髙橋礼華(あやか)&松友美佐紀の「タカマツ」ペアが出場。高校時代からペアを組んで国内外のさまざまな大会で優勝し、2014年10月に世界ランキング1位になったこのペアは、リオデジャネイロ五輪で見事に金メダルを獲得。「オグシオ」が出現し、バドミントンへの注目度が高まったことによって好循環が生まれ、オリンピック金メダルという最高の成果を得るに至った。

2020年東京五輪では、「タカマツ」ペアの五輪連覇への期待がかかる。一度はペアを解消していた「フジカキ」ペアも、2017年に東京五輪出場をめざして再結成。2018年6月に世界ランク1位となった福島由紀&廣田彩花の「フクヒロ」ペアや2018年の世界選手権を制した永原和可那&松本麻佑の「ナガマツ」ペア、準決勝まで駒を進めた米元小春&田中志穂の「ヨネタナ」ペアも東京五輪出場を狙っている。

女子ではダブルスへの注目度が高いが、リオデジャネイロ五輪では奥原希望がシングルスで銅メダルを獲得した。また、同大会の準々決勝で奥原に敗れた山口茜は2018年4月に、日本人選手として初めて世界ランキング1位に浮上している。シングルスも日本人がメダルを獲得する可能性は高いと言える。

髙橋礼華(右)&松友美佐紀(左)の「タカマツ」ペアはリオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得

世界ランキング1位の桃田賢斗にメダルの期待

男子シングルスでは、世界ランキング1位の桃田賢斗が金メダルの最有力候補となっている。パワーで押すタイプではなく、多彩なショットとインサイドワークを駆使して攻めるプレーが持ち味の選手だ。

桃田は2018年に入ってからインドネシアオープンや世界選手権といった国際大会で次々に優勝。9月に日本人男子で史上初めてシングルスでの世界ランキング1位となると、12月の全日本総合選手権も制覇した。不測の事態が起こらない限り、東京五輪への出場は揺るがないだろう。また、全日本総合選手権の決勝で桃田に惜敗した西本拳太も現在、世界ランキング9位につけており、トップレベルの実力を備えている。

ダブルスでは世界ランキング3位で、今年の世界選手権で準優勝した園田啓悟&嘉村健士のペア、そして世界ランキング8位の遠藤大由&渡辺勇大ペアが五輪出場の有力候補だ。男子は過去の五輪で一度もメダルを獲得したことがなく、東京五輪では初のメダルをめざす。ちなみに、男子ダブルスのペアには女子のような愛称はつけられていない。東京五輪で活躍し、露出が増えればそういった動きも出てくるかもしれない。

桃田賢斗は男子シングルスの世界ランキング1位。東京五輪での金メダル獲得に期待がかかる

ビクター・アクセルセンが桃田のライバルに

バドミントンはインドネシアや中国、チャイニーズ・タイペイ(台湾)、韓国が強国となっている。男子シングルスで桃田のライバルになりそうな選手としては、ビクター・アクセルセン(デンマーク)や石宇奇(シー・ユーチー/中国)が挙げられる。いずれも20代前半で桃田と年齢が近く、東京五輪に向けてさらにレベルアップしていく可能性が高い。

女子シングルスでは戴資穎(タイ・ツー・イン/チャイニーズ・タイペイ)の実力が抜けており、リオデジャネイロ五輪金メダリストのカロリーナ・マリン(スペイン)や2018年3月に20歳になったばかりの陳雨菲(チェン・ユーフェイ/中国)も侮れない存在だ。

男子ダブルスではマルクス・F・ギデオンとケビン・S・スカムルヨというインドネシアのペアが世界ランキング1位に君臨し続け、東京五輪でも金メダルの最有力候補となっている。2人とも体格には恵まれていないが、スピードとテクニックには定評があり、トリッキーなプレーで会場を沸かせる。

女子ダブルスで日本勢の対抗馬となりそうなのは、インドネシアのグレシア・ポリーとアプリヤニ・ラハユのペアだ。1987年生まれのポリーと1998年生まれのラハユという年齢の離れた2人のペアだが、コンビネーションは上々で欠点も少なく、世界ランキングでも4位につけている。

女子シングルスではチャイニーズ・タイペイの戴資穎(タイ・ツー・イン/)が金メダル候補の筆頭だ

女子ダブルスの選考は混戦必死

バドミントンは3ゲームマッチで行われ、2ゲーム先取で勝利となる。1ゲームは21点先取のラリーポイント制で、20対20になった場合は2点差がつくまで延長される。ただし上限は30点で、最大で30対29というスコアになる。

オリンピックでのバドミントンは1972年ミュンヘン五輪と1988年ソウル五輪で公開競技として行われ、1992年バルセロナ五輪から正式に採用された。実施される競技は男女のシングルスとダブルス、そして男女がペアを組む混合ダブルス。過去の五輪では中国が最多のメダル獲得数を誇っており、インドネシアと韓国がこれに続く。

東京五輪では調布市にある武蔵野の森総合スポーツプラザが競技会場となっている。東京スタジアム(味の素スタジアム)に隣接して2017年11月に完成した新しい施設だ。バドミントンのシャトルは空調の風でも影響を受けるほど軽いものだが、この会場の空調はコートを直撃しない構造になっている。日本人選手にはおおむね好評で、風の影響を受けないことが「追い風」になるかもしれない。

過去のオリンピックでは世界ランキングに応じて出場枠が与えられており、各種目とも最大で2枠が与えられている。女子ダブルスは有力なペアがひしめいている状況だが、出場枠が限られているだけに、熾烈な争いが繰り広げられることになりそうだ。

日本代表ペアがバドミントンで金メダル獲得

2016年リオ五輪バドミントン女子ダブルスで、松友美佐紀と高橋礼華の日本代表ペアが金メダルを獲得した。