数奇なキャリアを経て代表に!ベテラン名木洋子は五輪キップをつかめるか

2020年東京五輪で新たに正式種目に採用され、注目が高まっている3人制バスケットボール「3x3(スリー・バイ・スリー)」。あまり知られていないが、日本の3x3のレベルは高く、2019年2月現在、FIBA(国際バスケットボール連盟)の世界ランキングで、男子代表は4位、女子代表は7位と、それぞれ東京五輪でメダル獲得の射程圏内ともいえる順位をキープしている。5人制バスケットボール元日本代表の名木洋子は、2020年東京五輪3x3女子代表候補のひとりだが、波乱に満ちたバスケットボール人生を歩んできた。

5人制の日本代表としても活躍した名木洋子(左)/ AFP=時事
5人制の日本代表としても活躍した名木洋子(左)/ AFP=時事5人制の日本代表としても活躍した名木洋子(左)/ AFP=時事

挫折を経て大学で才能が開花。日本を代表する選手に

名木洋子は1982年5月9日生まれ、静岡県静岡市出身。小学校時代から長身を買われて、ミニバスケットボールのチームに誘われていたものの、実際にプレーを始めたのは静岡市立大里中学に進学してからだ。その後、同じ静岡市内の私立常葉大学附属常葉高校に進学すると、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)に出場。高校時代に全国大会で十分な実績が残せなかったこともあってか、競技への情熱は冷めやらず、高校卒業後、日立戸塚レパードに入団するもわずか一年で日立戸塚が廃部に。そして強豪のシャンソン化粧品シャンソンVマジックに入団と、WJBL(Wリーグ)所属チームで1シーズンずつプレーした。

しかし、当時の名木にとって実業団の壁は厚く、出場機会に恵まれなかった。そのため、桜花学園大学への進学を決意。2003年に大学生となり、大学バスケで再スタートを切った。すると、出場機会に恵まれなかった実業団での2年間の経験が名木の実力を開花させる。2004年の国民体育大会(国体)で愛知県代表に選出されると見事に優勝。2005年にはトルコのイズミルで開催されたユニバーシアードに、日本代表として出場する。2006年の全日本学生選手権大会(インカレ)は、キャプテンとしてチームを準優勝に導き、個人で敢闘賞に輝いた。

2007-2008年シーズン、名木は富士通レッドウェーブに入団し、Wリーグへのカムバックを果たすと、同シーズンにチーム初となるリーグ優勝に貢献した。また、2011年の皇后杯全日本総合選手権(オールジャパン)では、チームの準優勝に貢献し、自身も得点王に輝くなど、2015年に引退するまで、富士通のフォワードとして活躍し続けた。

この間、名木は5人制の日本代表にも選出されている。2010年、中国の広州で開催されたアジア競技大会で銅メダルを獲得。チェコで開催された女子世界選手権(ワールドカップ)にも出場。翌2011年に長崎県大村市で行われた女子アジア選手権(現アジアカップ)で銅メダルを手にした。

3x3女子は若手も台頭してきている
3x3女子は若手も台頭してきている3x3女子は若手も台頭してきている

3x3本格始動は2018年。同年いきなりアジアカップに

名木が3人制バスケットボール「3x3」に本格的に取り組むようになったのは、2018年初旬のことだ。2004年アテネ五輪代表で富士通のチームメイト矢野良子が、2017年にWリーグの引退と3x3への転身を表明し、自らの手で女子3x3のトーナメントツアー「3W(トリプルダブル)」を主催することを発表。これがキッカケとなった。矢野に賛同した名木は、矢野率いるチームRexaktの一員として3Wに参加。2018年4月に中国の深センで行われたFIBA 3x3アジアカップ2018に日本代表として出場を果たす。

すでに前年から代表に選出されていた立川真紗美を除く3選手、名木、前田有香、石川麻衣は3x3でのキャリアが浅く、名木は「3x3のルールすらおぼつかなかった」と振り返っている。しかし、アジアカップ本番では強豪国相手に奮闘。予選リーグを勝ち抜き、決勝トーナメント初戦となる準々決勝でウズベキスタンを撃破し、4位という成績を収めた。

一方の国内では、Rexaktのメンバーとして2018年9月に3W開幕戦に出場、10月には韓国のプロリーグWKBLが主催する「WKBL CHALLENGE with KOREA3x3」で優勝に貢献した。また夏には日本バスケットボール協会(JBA)公認の3x3リーグ「3x3.EXE PREMIER」で、女子カテゴリーがスタート。名木は矢野、前田、石川らとともに神奈川県横浜市のプロチームBEEFMAN.EXEのメンバーとしてリーグに参戦している。

東京五輪に向けて台頭する若手らとしのぎを削る

2019年2月1日、JBAは3x3女子代表候補のメンバーを発表した。名木、前田、石川といったベテラン勢のほか、2018年アジア大会で銀メダルを取った高校生の2人、奥山理々嘉と今野紀花を選出。また、5人制バスケットボールでも高い注目を集めている白鴎大学の佐藤京香、2018年の全国高等学校選手権(ウインターカップ)で優勝校に輝いた岐阜女子高校の池田沙紀、安江沙碧梨などが名を連ねた。日本代表候補を集め、2月9日、10日には、都内にあるナショナルトレーニングセンターで強化合宿が実施されている。6月にオランダで開催されるFIBA3x3ワールドカップ2019に向けて、ディレクターコーチに就任したトーステン・ロイブル氏による初めて指揮のもとで実施された。もちろん、2020年東京五輪でのメダル獲得を見据えたものでもある。

選手としては異例のキャリアを積んだ名木。5人制での経験を生かし、3x3の国内トップ選手にまで上り詰めた。しかし、彼女が東京五輪の切符を手にするためには、FIBAランキングで自分よりも上位にいる前田や佐藤らとの競争に打ち勝つ必要がある。果たして名木は2020年東京五輪の日本代表の座を獲得することができるのか。いよいよ本格的な戦いが始まった。

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