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【東京オリンピック出場枠争い】実力伯仲のウエイトリフティング、東京で日の丸を背負うのは誰か?

文: 飛鳥一咲 ·

両手でバーベルを握り、一気に頭上まで持ち上げて立ち上がるなどの動作を繰り返し、持ち上げた重量の合計を競うウエイトリフティング(重量挙げ)。東京五輪から各階級規定体重も変更され、選手によっては大幅な体重増、減量の必要もあり、これまで以上に困難な戦いに挑んでいる。

リオ五輪4位、2017年の世界選手権2位、糸数陽一は61kg級でメダル候補と目される(写真は2018年アジア大会)

日本は男女3階級で開催国枠を確保

ウエイトリフティング界では、近年、国際大会でのドーピング違反が相次いでおり、オリンピック競技から除外される可能性もあった。このため2020年東京五輪では、2016年リオデジャネイロ五輪までの階級を一新。各階級の規定体重を上げ、選手にとって無理が出難い階級区分けに変更された。

男子は61kg級、67kg級、73kg級、81kg級、96kg級、109kg級、109kg超級、女子は最軽量が49kg級、55kg級、59kg級、64kg級、76kg級、87kg級、87kg超級と、いずれも7階級となった。

各国・地域の選手たちは、東京五輪出場権を得るため、今年11月から2020年4月末までの予選期間に、国際重量挙げ連盟(IWF)指定の大会に6大会以上出場する必要がある。その結果で加算されるIWFポイント(世界ポイント)のランキングに基づいて、各国・地域は男女それぞれ各階級で1人、最大4枠、計8枠まで獲得できる。その枠に入らなかった場合、IWFポイント最高点を獲得した選手に、大陸ごとに最大1名の出場枠(計5枠)が与えられる。

日本は開催国枠として男女各3階級で1枠ずつ、計6枠を確保している。

東京五輪出場権のかかった主要大会

東京五輪出場のために、2020年4月までに出場するべき国際大会として、IWFが指定したのは以下の大会だ。

  • ゴールドレベル: IWF 世界選手権大会、大陸選手権大会
  • シルバーレベル: 現存する IWF イベント: 複合競技大会、選手権大会
  • ブロンズレベル: 国際競技会、選手権大会、カップなど

最低でもゴールドレベルの大会に1回の出場、ゴールドレベル、またはシルバーレベルの大会に、1回の出場が必要となる(ゴールド2回か、ゴールド1回&シルバー1回)。最も重要なのが、2019年9月にタイで開かれる世界選手権だろう。

安藤美希子はリオ五輪で5位、アジア大会で銅メダル獲得と着実にレベルアップを遂げている(写真は2018年アジア大会)

代表選考の最初の山場は9月の世界選手権

日本ウエイトリフティング協会によると、日本代表には、2019年9月にタイで開かれる世界選手権で、3位以内に入った選手が内定する。4~8位の場合、日本の選手の中で最上位となった選手に、ほかの選手との実力差などを踏まえて、内定を与える可能性がある。このほかの選手は、指定された大会で得たポイントの順位や日本の協会が独自につくるランキングなどで選考されることになるという。

日本ウエイトリフティング協会は、東京五輪の目標として、メダル獲得と出場者全員の入賞を掲げている。そのため、今後の国際大会で成績を残し、開催国として男女3人ずつ確保されている出場枠を、最大の4枠に増やすことを目指している。

ドーピング違反発覚で出場自粛の国も

IWFは、東京五輪開催に向けて業界内のドーピング根絶を明確にするためにも、2018年12月に違反に関するペネルティを発表した。

ドーピング違反に対する制裁として、2008~2020年までの違反件数が、20以上の国・地域は、出場枠が男女各1枠、計2枠まで制限される。該当するのはロシア、カザフスタン、アゼルバイジャン、アルメニア、ベラルーシの5カ国だ。

違反が10~19件の場合は、男女各2枠までとなり、これらはブルガリア、イラン、インドなど9つの国・地域が対象。このほか、予選期間中に3件以上の違反が発覚した場合、その国・地域の出場資格は剥奪される。

現時点で、ドーピング問題を理由に、タイが東京五輪への出場を自粛することを発表している。ロシアやイランは、これまでのオリンピックでメダルを量産してきた、また、上述した国々の多くは強豪国だっただけに、今回の出場制限は、これまで大きな結果を出せなかった国などのメダル獲得数に大きく影響すると見られている。

アンチ・ドーピングを理由にした規定体重変更も、選手によっては必然的に平均記録が上がる上の階級に挑んだり、あるいは有力選手の階級移行により平均記録が上昇するなど、変更の影響は小さくない。

ジョージア代表としてリオ五輪105kg超級で金メダルを獲得したラシャ・タラハゼ(中央)は、欧州選手権を4連覇。東京大会では五輪連覇を狙う

日本男子はリオ4位の糸数陽一、女子は5位の安藤美希子がメダル候補か

2019年5月時点で、国内の階級ごとの東京五輪参加資格大会の参加者(各階級日本ランキング順)は決まっており、その中から、7月の日韓中フレンドシップ大会、9月の世界選手権の出場選手も決まっている。

  1. *日韓中フレンドシップ大会(7月開催)出場選手
    *
    男子 / 67kg級:糸数陽一 / 73kg級:近内三孝、宮本昌典 / 81kg級:笠井武広、原勇輝 / 96kg級:山本俊樹 / 109kg級:白石宏明、田中太郎 / 109kg超級:村上英士朗
    女子 / 49kg級:三宅宏実、高橋いぶき / 55kg級:八木かなえ、佐渡山彩奈 / 59kg級:安藤美希子 / 64kg級:松本潮霞、吉田朱音 / 71kg級:石井未来 / 76kg級:神谷歩 / 87kg級:嶋本麻美
     
  2. *世界選手権(9月開催)出場選手
    *
    男子 / 61kg級:糸数陽一、平井隼人 / 67kg級:近内三孝、高尾宏明 / 73kg級:宮本昌典 、五百蔵正和 / 89kg級:山本俊樹 / 109kg級 持田龍之輔、白石宏明 / 109kg超級:村上英士朗
    女子 / 49kg級:三宅宏実、高橋いぶき / 55kg級:八木かなえ、佐渡山彩奈 / 59kg級:安藤美希子 / 64kg級:松本潮霞、吉田朱音 / 76kg級:神谷歩 / 87kg級:嶋本麻美、森下伊万里

男子では、2016年リオ五輪4位の糸数陽一にメダルの期待がかかる。また、73kg級の宮本昌典や109kg超級の村上英士朗ら、各階級でトップの選手は、国内ランキングで、頭ひとつ抜き出ており、活躍する姿を見せてくれそうだ。

女子は五輪2大会連続でメダルを獲得している三宅宏実や、リオ五輪5位の安藤美希子らに注目が集まっている。日本代表は東京五輪でメダル争いができるポジションにいる。開催枠国で得たチャンスを最大限に生かせるかだ。