【東京オリンピック出場枠争い】柔道:386人の選手が出場権を獲得。日本勢は開催国枠として男女7人ずつが出場可能

日本柔道界は直前の全日本選手権を選考対象から除外する見込み

柔道は日本のお家芸であり、オリンピックでは累計84個のメダルを獲得してきた。それだけに国内に強豪選手が多く、本番で表彰台に上がることよりも、代表選手に選出されることのハードルのほうが高いと言われている。改革を進める現在の日本柔道界においては、五輪代表選考も大きく変わりつつある。出場枠や選考の基本となるポイントを紹介する。

阿部詩(右)は2000年生まれの若手の星。2018年9月の世界柔道選手権大会では初出場初優勝を果たしてみせた
阿部詩(右)は2000年生まれの若手の星。2018年9月の世界柔道選手権大会では初出場初優勝を果たしてみせた阿部詩(右)は2000年生まれの若手の星。2018年9月の世界柔道選手権大会では初出場初優勝を果たしてみせた

各階級とも世界ランク18位以内に出場権

柔道は日本発祥のスポーツであり、1964年の東京五輪で初めて採用された。男子は60キロ、66キロ、73キロ、81キロ、90キロ、100キロ、100キロ超の7階級、女子は48キロ、52キロ、57キロ、63キロ、70キロ、78キロ、78キロ超の7階級に分類されている。

2020年、史上2度目となる東京五輪では、新種目として「混合団体」が追加される。男女それぞれ3人ずつ、合計6人がチームを組んで戦うもの。階級は男子73キロ、90キロ、90キロ超級、女子57キロ、70キロ、79キロ超級を実施し、同じ階級の選手同士が戦うことになる。

2016年度末に国際柔道連盟(IJF)が行ったルール改正も、2020年東京五輪の勝負のポイントとなるだろう。男子の競技時間が1分短縮され、試合時間は男女ともに4分となっただけでなく、技の判定が一本、そして技ありのみとなった。より攻撃的な姿勢が求められる。

東京行きの切符を手にするためには、主に以下のいずれかの条件を満たす必要がある。男女ともに193人の枠があり、合計386人の選手が出場権を獲得する。日本は開催国枠として14人が出場できる。

東京五輪の出場枠

  • 開催国枠計=計14人(各階級男女1人ずつ)
  • 2020年5月25日付の世界ランキングにおいて、男女それぞれ18位以内の選手×7階級=計252人
  • 大陸枠による選出100人(各大陸連盟が上記252人以外のランキング上位の選手を選出。各国1人ずつ)
  • 三者委員会招待国枠(ワイルドカード)による選出20人

なお、団体混合戦には、個人戦にエントリーした選手のなかで団体戦に該当する6階級に選手をそろえる国はすべて出場可能となる。

阿部一二三(右)は阿部詩の兄。2019年8月に開幕する世界柔道選手権で同大会の3連覇を狙う
阿部一二三(右)は阿部詩の兄。2019年8月に開幕する世界柔道選手権で同大会の3連覇を狙う阿部一二三(右)は阿部詩の兄。2019年8月に開幕する世界柔道選手権で同大会の3連覇を狙う

日本代表入りには世界柔道選手権での優勝が必須

前述のとおり、日本は開催国枠によって男女各7人ずつの出場権が確保されている。全日本柔道連盟の強化委員会は現在、従来は最重量級の最終選考会を兼ねていた伝統ある大会であり、2020年4月に体重無差別で争われる4月の全日本柔道選手権を選考対象から外すことを検討中だ。2019年6月にはこれが正式決定されると見られている。改革を進める日本柔道界は、また一つ大きな転換を迎えそうだ。

この決断の背景には、代表選手を早期に決定したいという現場の声がある。東京五輪における柔道競技は、開会式翌日の7月25日から実施されるため、選手やスタッフの準備期間をしっかりと確保したいという思いがあるという。

現在の強化委員会の案では、2019年8月25日から9月1日に実施される世界柔道選手権東京大会の優勝者が下記のいずれかを制した場合、日本代表として出場権を獲得する見込み。

日本の選手が出場枠を獲得する条件

  • グランドスラム大阪大会での優勝(2019年11月予定)
  • グランドスラム・パリでの優勝(2020年2月予定)
  • グランドスラム・モスクワでの優勝(2020年2月予定)

※世界柔道選手権東京大会での優勝は必須

ただし、世界柔道選手権で優勝し、上記の大会で金メダルを獲得しても、2番手となる選手との実力差が考慮されるという。複数の選手の実力が拮抗していた場合は、2020年4月の全日本選抜体重別選手権まで決定が持ち越される見込みだが、2019年11月末のグランドスラム大阪大会の結果によって代表が決定した場合は、これまでの代表決定と比べて4カ月も前倒しとなるため、東京五輪に向けた準備期間が十分にとれる。

男子では直近の大会でも安定した結果を残している阿部一二三、大野将平、藤原崇太郎、女子では阿部詩(うた)、大野陽子、朝比奈沙羅らが東京五輪の出場権獲得に近い存在と見られている。

リオ五輪でコソボ初の金メダルを獲得したマイリンダ・ケルメンディ(左)。阿部詩と同じ女子52キロ級の実力者だ
リオ五輪でコソボ初の金メダルを獲得したマイリンダ・ケルメンディ(左)。阿部詩と同じ女子52キロ級の実力者だリオ五輪でコソボ初の金メダルを獲得したマイリンダ・ケルメンディ(左)。阿部詩と同じ女子52キロ級の実力者だ

「大陸枠」として100人分の出場枠

近年では日本以外の国もその実力を発揮し始めている。ヨーロッパではフランス、ロシア、オランダ、イタリア、アジアでは韓国、中国、モンゴル、また、中南米ではキューバ、ブラジルなどの国々が台頭中だ。2020年の東京五輪では「大陸枠」として100人分の出場枠が設けられている。

大陸枠の内訳

  • アフリカ:男子12人、女子12人
  • ヨーロッパ:男子13人、女子12人
  • アジア:男子10人、女子10人
  • オセアニア:男子5人、女子5人
  • パン・アメリカ地域:男子10人、女子11人

2018年5月以降、東京五輪に向けた出場権争いは続いている。「IJFワールド柔道ツアー」と総称される、IJF主催の国際大会(世界柔道選手権、ワールドマスターズ、グランドスラム、グランプリ)での結果がポイントに換算され、獲得ポイントによる世界ランキングによってオリンピックの出場権が決まる。

2016年のリオデジャネイロ五輪で活躍した選手たちも東京行きの切符を手繰り寄せようと奮闘中だ。2019年5月9日に28歳の誕生日を迎えたコソボのマイリンダ・ケルメンディ(女子52キロ級)は、リオデジャネイロ五輪の準決勝で中村美里を下し、コソボ初の金メダルを獲得したスターだ。その後負傷に悩まされたものの、2019年のグランプリ・テルアビブで優勝、グランドスラム・デュッセルドルフではオール一本勝ちで頂点に立った。5月23日時点の世界ランクでは9位につけている。

男子ではフランスのテディ・リネール(100キロ超級)の存在が目を引く。世界柔道選手権では10大会連続優勝、ロンドン、リオデジャネイロ五輪を連覇とその実力は圧倒的。東京五輪へ照準を合わせるために、2018年、2019年の世界柔道選手権は欠場するなど、オリンピック3連覇にかける思いは計り知れない。

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