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【東京オリンピック出場枠争い】水泳:アーティスティックスイミング、飛込、水球で開催国枠確保ながら、メダル獲得に向け危機的状況の種目も

日本のお家芸・アーティスティックスイミングはメダル獲得に黄色信号か

文: オリンピックチャンネル編集部 ·

水泳に属する飛込、水球、アーティスティックスイミングの3競技は、Tokyo 2020(東京五輪)で開催国枠が与えられることが決定しており、日本代表選手の活躍に注目が集まる。世界水泳選手権(世界水泳2019)で代表が内定した種目や、出場枠を確保した種目、あるいは保留していた開催国枠使用が決まった種目も明らかになった。各競技とも代表メンバー入りをかけた争いは熾烈を極め、日本水泳連盟も長い年月をかけた選手強化に取り組んでいる。

世界水泳2019でウクライナの壁に阻まれたマーメイドジャパン。僅かな差ながら五輪本番までに軌道修正できるのか

アーティスティックスイミングの日本代表争いは激化

東京五輪のアーティスティックスイミング(旧シンクロナイズドスイミング)でも、日本にはチーム、デュエットともに1枠ずつの開催国枠が与えられることが決まっている。開催国枠を含め、チームが10カ国、デュエットが22組出場する。選考対象となるのは、2019年の世界水泳選手権大会や世界最終予選などだ。

シドニー五輪以降、多種多様なリフトやジャンプなど、空中での大胆な演技が加わるようになった影響でロシアやスペイン、フランス、ウクライナといったヨーロッパ諸国が体格の良さを生かし、好成績を収めている。きめ細かな演技を強みとする日本や中国をはじめとしたアジア勢の活躍もめざましい。

オリンピックのアーティスティックスイミングはチームが8人、デュエットが2人で演技を行い、審査員の採点で競う。

2017年9月、日本水泳連盟は東京五輪に向けた新たな強化策および選手選考基準を発表した。東京五輪の目標は、デュエット、チームともに銀メダル以上の獲得。約3年に及ぶ長い期間をかけて日本代表候補選手の強化を推し進め、そのなかから東京五輪に臨むメンバーを選出する。

世界水泳2019でウクライナに連敗、瀬戸際のマーメイドジャパン

「マーメイドジャパン」の愛称を持つチームは、2019年4月に行われたワールドシリーズ第4戦ジャパンオープンではテクニカルとフリーの部門で優勝。テクニカルには、乾、吉田、木島萌香、京極翁、塚本真由、福村寿華、安永真白、柳澤明希の8名が出場し、丸茂圭衣と小俣夏乃がサブに回った。東京五輪でのメンバー入りをめざす選手たちのサバイバルはさらに激しさを増していくと予測されるなか、世界水泳を迎えた。デュエットは、最有力候補である乾友紀子と吉田萌のペアで挑んだ。

ところが、五輪種目ではない種目ではメダルを獲得したものの(ソロ・テクニカル/フリーで乾友紀子が銅、ミックスデュエット・テクニカル/フリーで足立・安部ペアが銅)、本種目といえるチーム、デュエットはすべてウクライナ勢に3位を奪われ、4位に終わった。

昨今の採点トレンドとして「パワフルな演技」が重視され、東京五輪でも同様になることが想定されている。体格で劣る日本にとってシビアな流れにあり、井村雅代ヘッドコーチの指導のもと、引き続き代表選びを含め、演技の方向性など立て直しを図っていくことになる。

東京オリンピック代表内定

  • デュエット:乾友紀子、吉田萌
  • チーム:乾友紀子、吉田萌、福村寿華、安永真白、塚本真由、京極おきな、木島萌香、柳澤明希
高飛込の金戸凜は2019年夏に開催される世界水泳選手権に出場。2003年生まれの十代で、東京五輪での活躍が期待される

シンクロ飛込は男女とも開催国枠確保、女子で個人枠を勝ち取る

東京五輪の飛込競技は、開催国枠によって日本は「シンクロ高飛込」と「シンクロ飛板飛込」で男女それぞれ1枠ずつの出場枠を確保している。

同種目では、日本代表として東京五輪に出場するには、2019年7月に韓国の光州にて開催された世界水泳選手権(世界水泳2019)において決勝まで勝ち残る必要があった。

男子3メートルシンクロ飛板飛込で、寺内健・坂井丞ペアが決勝7位で内定を勝ち取り、東京五輪すべての競技においての日本代表1号となった。女子では、10メートル高飛込の荒井祭里(9位)、3メートル飛板飛込(5位)の三上紗也可が代表に内定している。

同大会で日本代表が決まらなかった種目は、2020年4月に東京で行われるワールドカップなどが選考の対象となる。

東京オリンピック代表内定・出場枠確保種目

【男子】

  • 3メートルシンクロ飛板飛込:寺内健、坂井丞
  • 3メートル飛板飛込:寺内健

【女子】

  • 10メートル高飛込:荒井祭里
  • 3メートル飛板飛込:三上紗也可

2019年4月に行われた日本室内選手権飛込競技大会 翼ジャパンダイビングカップの「男子高飛込」において、12歳7カ月10日で日本飛込史上最年少の優勝を果たした玉井陸斗は、年齢制限により世界選手権には出場できない。ただし、14歳になる2020年の東京五輪への出場は可能であるため、今後の選考対象大会でのパフォーマンスに注目が集まる。

女子では、高飛込で金戸凜、3メートルシンクロ飛板飛込では宮本葉月、榎本遼香の代表入りが予想されている。

飛込は1980年代以降、中国勢の台頭が目立ち、北京五輪の男子競技では全8種目中7種目を中国勢が制した。だが、近年はイタリア、イギリス、オーストラリアなどが力をつけてきており、勢力図に変化が見られる。混戦が予想される東京五輪では、演技の難易率に加え、入水の美しさがメダル獲得へのポイントとなるだろう。

東京五輪が初のオリンピックとなる水球女子代表で中軸を担うと予測される鈴木琴莉。2015年5月から代表でプレーする

男女ともに開催国枠出場が正式決定、今後は選手強化に本格移行

東京五輪の水球は、男子が12カ国、女子が10カ国でそれぞれ優勝を争う。日本代表“ポセイドンジャパン”には開催国枠が与えられており、男子は32年ぶりの出場を果たしたリオデジャネイロ五輪で未勝利に終わったリベンジに臨む。女子は東京五輪が初出場。残る出場枠は各大陸予選のほか、国際水泳連盟による水球ワールドリーグスーパーファイナルや世界水泳選手権大会、世界最終予選の結果によって決定する。

日本水連は、水球に関して開催国枠の使用について明言せず、男女ともにワールドリーグへの出場などを通してチームの強化を図っていた。2019年3月に行われたワールドリーグインターコンチネンタルカップでは、男子が日本初の決勝進出を果たし、6月にセルビアで開催されるスーパーファイナルへの出場権を手にした。女子は5位決定戦でカザフスタンを圧倒して16−7で勝利するなど、着々と強化の成果が表れ始めている。個人では、男子の大川慶悟と稲場悠介、女子の鈴木琴莉が大会ベスト7に選出された。稲場は計21得点を挙げ、大会得点ランキング1位にも輝いている。

同7月の世界水泳選手権では、男子は11位、女子は13位に終わった。この結果を受け、開催国枠使用を正式に決定。今後、男子は東京五輪でのベスト8入りを目指し、代表メンバー選びに入るという。アジアでは通用しても、世界との差が浮き彫りになった女子は、選手強化に集中する。

東京オリンピックの水球におけるメダル有力国

男子水球は、競技発祥の地であるヨーロッパ勢がメダル候補の有力で、国内にプロリーグを有するハンガリーは過去9個の金メダルを獲得している。女子は、アメリカが直近のオリンピックで2連覇を達成しており、東京五輪でも優勝候補の筆頭だ。ポセイドンジャパンがメダルを勝ち取るには、これらの国に勝たなくてはならない。なお、前回大会のメダル獲得国は以下のとおりとなっている。

リオデジャネイロ五輪のメダル獲得国

【男子】

  • 金メダル:セルビア
  • 銀メダル:クロアチア
  • 銅メダル:イタリア

【女子】

  • 金メダル:アメリカ
  • 銀メダル:イタリア
  • 銅メダル:ロシア

東京オリンピック出場確定国(9月17日時点)

男子

  • 日本(開催国)
  • セルビア
  • イタリア
  • スペイン
  • アメリカ
  • オーストラリア

女子

  • 日本(開催国)
  • アメリカ
  • カナダ
  • オーストラリア
「ナチュラルボーンサムライ」の異名を持つ水球の大川慶悟。リオデジャネイロ五輪でオリンピックの舞台はすでに経験済みだ
アーティスティックスイミングの乾友紀子は、デュエットとチームの両方で東京五輪に出場できるだけの実力を持つ