【東京オリンピック出場枠争い】自転車競技・ロード&トラック:トラック種目は開催国枠なしも、ケイリンで日本にメダル可能性大

最大で男子130人、女子67人が出場する自転車競技のロードレース。個人タイムトライアルはロードレースで出場枠を獲得した国にのみ与えられる。トラック種目は国際自転車競技連合(UCI)が定めたオリンピックランキングをもとに、出場権が与えられる。

美しい自然の中を走るのが自転車ロードレースの魅力のひとつ
美しい自然の中を走るのが自転車ロードレースの魅力のひとつ美しい自然の中を走るのが自転車ロードレースの魅力のひとつ

【自転車競技:ロード】

東京五輪出場枠争いの概要 ロードレース(男子/女子)

東京オリンピックで自転車ロードレースに出走が許されるのは、最大で男子130人、女子67人。国際自転車競技連合(UCI)の定める2019年10月22日付の国別ワールドランキングに従って、個人ではなく国に対して出場枠が与えられる。

男子の場合はランキング1~6位の国に、最大5人の出場が認められる。7~50位にはそれぞれ順位に応じて、1~4人の枠が配分される。女子はランキング1~5位の国が4人、6~13位3人、14位~22位が2人。

上記条件で出場枠を得られず、しかし、個人ワールドランキングで男子200位以内、女子100位以内に選手を送り込んだ国には、それぞれ1枠ずつ与えられる。またアフリカ、アメリカ、アジアの3大陸に限り、国別・個人ランキングによる出場枠を得られなかった国の中から、2019年大陸選手権の個人成績に従って枠が与えられる。各大陸につき男子2カ国・女子1カ国で、それぞれ1枠ずつ。

東京五輪出場枠争いの概要 個人タイムトライアル(男子/女子)

ロードレースで出場枠を獲得した国にのみ、出場権が与えられる。各国の最大出場枠は2。男子は最大40人、女子は25人が出走する。

男子は2019年10月22日付の国別ワールドランキングの上位30カ国に、女子は上位15カ国に、1枠ずつ配分される。加えて2019年9月に開催される世界選手権・個人タイムトライアルの成績に従って、男女とも上位10カ国に最大1枠ずつ配分される。

だたし上記条件にて、1大陸あたりの出場国が男子2カ国・女子1カ国に満たない場合は、当該大陸の国別ランキング上位国に1枠ずつ与えられる。

2018年の世界選手権を制したバルベルデは有力候補のひとりだ
2018年の世界選手権を制したバルベルデは有力候補のひとりだ2018年の世界選手権を制したバルベルデは有力候補のひとりだ

現在のランキングや有力選手

2019年5月上旬現在、男子はベルギーが、UCI国別オリンピック選出ランキング首位につける。また、最大出場枠5に該当する2位~6位には、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、スペインが並ぶ。

中でも東京・武蔵野の森公園から富士スピードウェイまでの起伏の厳しいコースだけに、クライマー揃いのスペインとフランスがメダル争いのカギを握る。スペインでは特に2018年世界選手権王者アレハンドロ・バルベルデが、フランスは今春クラシック3勝のジュリアン・アラフィリップに注目だ。

また、5月以降、男子は特に、UCIポイントの配分が高いグランツールのシーズンを迎える。5月のジロ・デ・イタリア、7月のツール・ド・フランス、8月~9月のブエルタ・ア・エスパーニャの結果次第で、イギリスやオーストラリア、コロンビア等々が上位6カ国に食い込む可能性は大いにある。

女子は2009年以来1度も首位の座を譲ったことのないオランダが、現在もダントツの首位を走る。最大4枠がほぼ確実なのはもちろん、複数の優勝候補をも抱える。ロードレースでは前回オリンピック女王にして、現世界チャンピオンのアンナ・ファンデルブルッヘンが、個人タイムトライアルは同種目世界戦2連覇中のアネミック・ファンフルーテンが、東京オリンピックの金メダル大本命として名を挙げられる。

ロードレースでは日本に男女2人ずつの開催国枠が与えられている
ロードレースでは日本に男女2人ずつの開催国枠が与えられているロードレースでは日本に男女2人ずつの開催国枠が与えられている

日本の開催国枠・選考基準

開催国枠として、日本には男女2人ずつの出場権が保証された。国別ランキングで男子21位以上、女子13位以上に入った場合は、それぞれの順位に合わせた出場枠を得る(2019年5月上旬現在、男子33位、女子23位)。個人タイムトライアルに開催国枠は存在しない。

日本選手による2枠を巡る争いは、すでに2019年1月1日から始まっている。日本自転車競技連盟が発表した選手選考基準によると、選考対象期間は2019年1月1日から2020年5月31日まで。また、男子と女子の選考基準は異なる。

男子で重要視されるのはポイント数。レースの区分や成績に従って発生するUCIポイントは、日本連盟が今回のために独自に定めた係数を使い、選考用ポイントに再計算される。その選考用ポイントを、期間内に最も多く獲得した2選手に、東京オリンピックの出場権が与えられる。

係数は10~0.2まで。期間中に行われる全てのレースがAからHまでの8ランクに分けられ、「(A)ワールドツアー大会の指定レースの総合/山岳区間で獲得したUCIポイント」には最大係数の10が、「(H)アジア選手権での獲得ポイント」には最少の0.2が配点された。

一方の女子は、レースの着順が重視される。区分や地形に従い、各レースには1~9の優先順位がつけられた。優先順位1に指定された6レースも、細かくAからFまでの優先順位が割り振られている。求められる成績は、例えば優先順位1は15位以内。優先順位5の全日本選手権は優勝だけが考慮される。

つまり優先順位のより高いレースで、より上位に入った選手が、東京オリンピックの出場権を手にする。もし、複数選手が同優先順位・同順位で並んだ場合、2020年5月31日に最も近い大会での成績が優先される。

個人タイムトライアルに関しては、ロードレースで出場権を得た者の中から、出走者が選出される。男子は選考期間中に同種目で獲得したUCIポイント合算が最も多い選手が、女子は2019年世界選手権、または2019年全日本選手権の同種目の最上位選手が、それぞれ選ばれる予定だ。

トラック種目では開催国枠は与えられていない
トラック種目では開催国枠は与えられていないトラック種目では開催国枠は与えられていない

【自転車トラック種目】

東京五輪出場枠争いの概要

全6種目が争われる東京オリンピックのトラックレースは、種目ごとに出場条件や出場人数が異なる。基本となるのは、2020年用にUCIが特別に制定したオリンピックランキング(国別)。

2018年7月6日から2020年3月1日までに開催される大陸選手権(各大陸2回)、ワールドカップ(2シリーズ)、世界選手権(2回)の、当該種目の成績がポイント化され、ランキングに反映される。

そして2020年3月の世界選手権終了後に、個人ではなく、国に対して出場枠が配分される。最終的にトラック種目の出場権を得るのは、トータルで男子98人、女子91人。

また、自転車競技で唯一、トラック種目では日本に開催国枠が与えられない。日本国内の選手選考方法は、2019年5月上旬現在、未公開。

チームスプリント(男子/女子)

・出場枠8。1枠=男子3人、女子2人。

・オリンピックランキング・チームスプリント部門上位8カ国に、1枠ずつ。

2018-2019シーズン終了後のオリンピックランキングでは、男子は世界選手権2連覇中のオランダがダントツの首位に付ける。以下は「短距離」強豪国のフランス、オーストラリア、イギリス、ドイツ、ニュージーランドが順当に上位を占める。日本男子は10位。8位ポーランドまではかなりの僅差だ。

女子はロシアが首位につけ、僅差でオーストラリア、ドイツと続く。前回オリンピックを制した中国女子は、世界選手権ではここ3年メダルから遠ざかるものの、オリンピックランキングは4位。日本は選考イベント未出場のためランキング外。

スプリント、ケイリン(男子/女子)

・最大出場枠30。1枠=1人。

・チームスプリントで枠を獲得した8カ国に、スプリントとケイリンにそれぞれ2枠ずつ。

・チームスプリントで枠を確保できなかった国の中から、オリンピックランキングのスプリント部門とケイリン部門の上位7カ国に該当種目1枠ずつ。

・スプリント枠ありケイリン枠なし/ケイリン枠ありスプリント枠なしの場合、同じ選手に限り、両種目に出場することができる。

・チームスプリント、スプリント、ケイリンに1つも出場枠を確保できない大陸があった場合、オリンピックランキング・スプリント部門の当該大陸最上位国にスプリント1枠。

競輪の発祥地である日本は、オリンピックランキング・ケイリン部門で男子1位、女子5位につける。出場枠確保はほぼ間違いない。むしろ焦点は誰が出場するのか。そして何色のメダルが取れるのか。

特に男子は2019年世界選手権銀メダル新田祐大、2018年同大会銀メダル河端朋之、2018-2019ワールドカップ・フランス大会優勝の脇本雄太と、ワールドクラスの強豪による熾烈な競争が見ものだ。

ケイリン世界王者にして日本にとっては手強いライバル、マティエス・ブフリの祖国オランダは、男子はケイリン部門2位・スプリント部門1位。日本はスプリントでは男子10位、女子17位につける。


世界選手権で銀メダルを獲得した新田祐大は有力候補だ
世界選手権で銀メダルを獲得した新田祐大は有力候補だ世界選手権で銀メダルを獲得した新田祐大は有力候補だ

チームパシュート(男子/女子)

・出場枠8。1枠=4人。

・オリンピックランキング・チームパシュート部門の上位8カ国に1枠ずつ。

男女ともに世界選手権で、1・2フィニッシュを決めたオーストラリアとイギリスが、オリンピックランキングでも、3位以下を大きく突き放し上位2位を独占。近年成長著しい日本は男子14位、女子11位。一昨季のワールドカップでは、男女共に史上初の同種目メダル獲得を成し遂げており、来季の成績次第では8位入りも不可能ではない。

マディソン(男子/女子)

・最大出場枠16。1枠=2人。

・チームパシュートで枠を獲得した8カ国に、1枠ずつ。

・チームパシュートで枠を確保できなかった国の中から、オリンピックランキングのマディソン部門上位8カ国に1枠ずつ。

男子はデンマークを筆頭に、ドイツ、オーストラリア、イギリス、ベルギーと続く。女子もやはりデンマークがオリンピックランキング首位につけ、オーストラリア、オランダ、イギリスが接戦状態だ。日本はアジア選手権連覇中の女子が、オリンピックランキング10位。出場枠はほぼ約束されている。男子は28位。

オムニアム(男子/女子)

・最大出場枠男子20、女子21。1枠=1人。

・マディソンにオリンピックランキングのマディソン部門で枠を獲得した8カ国に1枠ずつ。

・マディソンに、オリンピックランキングのマディソン部門で枠を獲得していない国の中から、オリンピックランキングのオムニアム部門の上位12カ国(女子13カ国)に、1枠ずつ。

・チームパシュート、マディソン、オムニアムに1つも出場枠を確保できない大陸があった場合、オリンピックランキング・オムニアム部門の当該大陸最上位国に1枠。

ケイリンと並び、日本のメダル獲得の可能性が高い。特に女子の梶原悠未は、2017-2018ワールドカップで日本女子として史上初めての金メダルを獲得し、2019年世界選では4位ながら、ポイント的には3位同点という見事な成績を残した。現在、男子はオリンピックランキング7位、女子は6位。

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