東京マラソン2020プレビュー:東京五輪代表「最後の1枠」は誰の手に──2時間5分49秒の設定時間をクリアできるか

新型肺炎の影響で一般参加者の出場は取りやめに
左から井上大仁、大迫傑、設楽悠太。東京五輪代表「最後の1枠」を狙う実力者たちが東京の街を駆け抜ける
左から井上大仁、大迫傑、設楽悠太。東京五輪代表「最後の1枠」を狙う実力者たちが東京の街を駆け抜ける左から井上大仁、大迫傑、設楽悠太。東京五輪代表「最後の1枠」を狙う実力者たちが東京の街を駆け抜ける

すっかり春の風物詩となった東京マラソン。設楽悠太、大迫傑など一流ランナーが3月1日(日)、首都東京を駆け抜ける。例年は3万8000人のランナーが集結する日本最大級のマラソン大会だが、今年は新型コロナウイルスの影響により、市民ランナーの参加は急きょ取りやめとなった。大会概要やコースなどの基本情報、そして東京五輪をめざす今大会の出場選手たちをチェックしておこう。

例年は3万8000人のランナーが集結するが、今回はコロナウイルスの影響により市民ランナーの参加が急きょ取りやめになった
例年は3万8000人のランナーが集結するが、今回はコロナウイルスの影響により市民ランナーの参加が急きょ取りやめになった例年は3万8000人のランナーが集結するが、今回はコロナウイルスの影響により市民ランナーの参加が急きょ取りやめになった

今年はエリート枠の200選手のみが出場

今年の東京マラソンは一味違う。3月1日の9時10分にスタートする今大会の結果次第で、東京五輪・男子マラソンの最後の出場枠をつかむランナーが決まるからだ(女子は3月8日の名古屋ウィメンズマラソンが最終レースとなる)。

大会正式名称は「東京マラソン2020兼 マラソングランドチャンピオンシップ(以下MGC)ファイナルチャレンジ~東京2020オリンピック日本代表選手選考競技会~」。すでに東京五輪行きの切符を手にしているのは、2019年9月のMGC優勝を果たした中村匠吾と前田穂南(ほなみ)、2位の服部勇馬と鈴木亜由子の男女各2選手となっている。

3万8000人が東京の街を駆け抜ける日本最大のレースが初めて実施されたのは2007年、13年前だった。以降、毎年3月に開催され、2013年からは世界の主要なマラソン大会の証である「ワールドマラソンメジャーズ」に加入した。

日本記録を持つ大迫傑は参加を決めた理由として「新しい自分を見つけたい。東京マラソンはいいチャンスだと思った」とコメント
日本記録を持つ大迫傑は参加を決めた理由として「新しい自分を見つけたい。東京マラソンはいいチャンスだと思った」とコメント日本記録を持つ大迫傑は参加を決めた理由として「新しい自分を見つけたい。東京マラソンはいいチャンスだと思った」とコメント

ただし、今大会は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、市民ランナーの出場は急きょ取りやめの決定が下された。受付や誘導に携わるボランティアも縮小され、エリート枠としてエントリーしたランナーのみが大会に参加する。つまり、2019年度日本陸上競技連盟登録競技者で参加基準に達する者、そして日本陸上競技連盟が推薦する国内・海外の招待選手の約200名が走ることになる。なお、すでに出場が決まっていた一般参加者に対しては参加費1万6200円の返金はされない。その代わりに来年の出走権が与えられるが、その際はあらためて参加費が必要になるという。

設楽悠太は「優勝しても2時間5分台なら東京五輪を辞退する」と発言。4分台でなければ世界では戦えないと考えている
設楽悠太は「優勝しても2時間5分台なら東京五輪を辞退する」と発言。4分台でなければ世界では戦えないと考えている設楽悠太は「優勝しても2時間5分台なら東京五輪を辞退する」と発言。4分台でなければ世界では戦えないと考えている

「過去から現在、そして未来の東京を象徴するコース」として組まれている道のりは、比較的アップダウンが少なく、好記録が出やすいことでも知られている。新宿の都庁前を出発し、スカイツリーを見ながら浅草を通過し、両国や門前仲町といった下町を通り、銀座、丸の内、皇居を抜けて、東京駅付近のゴールをめざす。

この大会の最速記録は、2017年大会のケニア代表ウィルソン・キプサング・キプロティチが打ち立てた2時間03分58秒となっている。2018年には設楽悠太が2時間06分11秒で16年ぶりに日本記録を更新した。

東京マラソンのコースマップ(公式サイトへ)

2018年にアジア大会のマラソンで金メダルを獲得した井上大仁は、元日のニューイヤー駅伝で区間新記録を樹立している
2018年にアジア大会のマラソンで金メダルを獲得した井上大仁は、元日のニューイヤー駅伝で区間新記録を樹立している2018年にアジア大会のマラソンで金メダルを獲得した井上大仁は、元日のニューイヤー駅伝で区間新記録を樹立している

現役日本トップ3の大迫、設楽、井上が一堂に会する

見どころはもちろん、東京五輪に向けた最後のサバイバルレースだろう。現役日本トップ3の記録を持つ大迫傑、設楽、井上大仁(ひろと)の3選手が直接対決を繰り広げる。「残り1枠」をかけた戦いだけに、ハイスピードのレース展開が予想される。各大会でナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」使用者による記録更新が続いており、東京マラソンでも記録更新の瞬間の目撃者となれる可能性も十分にありそうだ。

男女各3枠目の選考用となる設定記録は、男子が2時間05分49秒、女子は2時間22分22秒となっている。男子は福岡国際マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソン、女子はさいたま国際マラソン、大阪国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソンを対象に同記録を突破した最速選手が出場権を得ることになるが、男子で該当者がいない場合はMGCで3位に入った大迫がそのまま選出される。大迫は東京マラソンに出場せずとも今大会の結果を待つこともできたわけだが、自ら出場して勝負に挑む道を選んだ。

海外選手ではエチオピア勢に注目。ビルハヌ・レゲセ(左端)やシサイ・レマ(右端)をはじめとする世界屈指のランナーが参加する
海外選手ではエチオピア勢に注目。ビルハヌ・レゲセ(左端)やシサイ・レマ(右端)をはじめとする世界屈指のランナーが参加する海外選手ではエチオピア勢に注目。ビルハヌ・レゲセ(左端)やシサイ・レマ(右端)をはじめとする世界屈指のランナーが参加する

MGCで3位に入りながらも勝負を選んだ大迫、注目の相澤は回避へ

2時間05分50秒の日本記録を持つ大迫は、出場を決めた理由について「新しい自分を見つけたい。東京マラソンはいいチャンスだと思った」と発言。「ライバルどうこうでなく、自分と戦っていくことが大事」「これまで走ったマラソンはすべて3位だったからこそ優勝したい」と、結果にこだわることを強調した。

2時間06分11秒の記録を持つ設楽も、「たとえ優勝しても2時間5分台なら東京五輪を辞退する」とのコメントで注目を集めている。設楽の強みは、マイペースでありつつも強気な姿勢だ。「2時間5分49秒は一つの目標タイムとして考えているが、その先に4分台がある。4分台を出せば、応援している皆さんの期待に応えられる」「自分から揺さぶりをかけて、みんなが嫌なレース展開をしたい」と気合十分だ。

その他にもジャカルタ・アジア大会で優勝し、元日のニューイヤー駅伝で区間新記録を樹立し復調している井上大仁(ひろと)など、注目選手は多数存在する。一方、日本学生連合による推薦でエントリーしていた東洋大学のエース、相澤晃は今大会の出場を回避し、東京五輪は1万メートルでの出場をめざすことが明らかになった。

もちろん忘れてはいけないのは海外招待選手の存在だ。2019年の東京マラソン王者であるビルハヌ・レゲセや2019年のドバイマラソン優勝のゲタネ・モラ(ともにエチオピア)といった名ランナーの貫録ある走りも見逃せないポイントとなる。

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