東京マラソンを振り返る:大迫傑が日本新記録樹立で東京五輪代表に大きく前進!

レース前には全選手が検温。厳戒ムードのなかの実施
大迫傑が日本記録を更新する2時間5分29秒で日本人1位に。東京五輪代表に大きく近づいた
大迫傑が日本記録を更新する2時間5分29秒で日本人1位に。東京五輪代表に大きく近づいた大迫傑が日本記録を更新する2時間5分29秒で日本人1位に。東京五輪代表に大きく近づいた

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、約3万8000人の一般ランナーの参加が見送られた今回の東京マラソン。それでもエリートランナー200名による熱き戦いが繰り広げられ、東京五輪男子マラソン代表の最後の一枠には大迫傑(おおさこ・すぐる)が大きく近づいた。他の出場選手の成績とともに、注目のレース結果を振り返る。

従来は約3万8000人の市民ランナーも参加するが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、今回はエリートランナー200名だけが東京の街を駆け抜けた
従来は約3万8000人の市民ランナーも参加するが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、今回はエリートランナー200名だけが東京の街を駆け抜けた従来は約3万8000人の市民ランナーも参加するが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、今回はエリートランナー200名だけが東京の街を駆け抜けた

レゲセが2連覇。日本人トップは大傑迫に

3月1日、東京の街を世界屈指のエリートランナーが駆け抜ける東京マラソンが行われた。

従来は約3万8000人の市民ランナーも参加する日本最大級のマラソン大会として位置づけられてきたが、今年は新型コロナウイルス拡大防止のため、一般参加は取りやめになった。医師団が各選手の検温を実施し、スタートやフィニッシュ地点には消毒液を設置。大会関係者はマスクを着用するなど、感染予防に配慮をしたなかでの異例の開催となった。それでも昨年と比べると1割程度とはいえ、約7万2000人の観客が沿道から声援を送っていた。

今大会は「東京マラソン2020兼 マラソングランドチャンピオンシップ(以下MGC)ファイナルチャレンジ~東京2020オリンピック日本代表選手選考競技会~」と名付けられ、残り一枠となった東京五輪男子マラソン代表を争うための重要なレースとなっていた。特に大きな注目を集めていたのは3人。2018年にこの大会で当時の日本記録を更新した設楽悠太、2019年9月のMGCで惜しくも3位となった大迫傑(おおさこ・すぐる)、そして元日のニューイヤー駅伝で区間新記録を樹立した井上大仁(ひろと)だ。

最終的に大迫が日本記録を更新する2時間5分29秒で日本人1位、総合4位の結果を残した。設楽は16位、井上は26位に終わった。日本人2位でフィニッシュしたのは東洋大学出身で、現在ヤクルトに所属する高久龍(たかく・りゅう)で、2時間6分45秒と自己ベストを大きく更新する快走を見せた。

総合1位は、世界歴代3位の記録を持つビルハヌ・レゲセ。2時間4分15秒で連覇を達成し、東京五輪エチオピア代表入りに前進している。

エチオピア人のビルハヌ・レゲセ(中央)が大会を制覇。ベルギー人のバシル・アブディ(右端)が2位、エチオピア人のシサイ・レマ(左端)が3位に入った
エチオピア人のビルハヌ・レゲセ(中央)が大会を制覇。ベルギー人のバシル・アブディ(右端)が2位、エチオピア人のシサイ・レマ(左端)が3位に入ったエチオピア人のビルハヌ・レゲセ(中央)が大会を制覇。ベルギー人のバシル・アブディ(右端)が2位、エチオピア人のシサイ・レマ(左端)が3位に入った

注目の「3強」は、大迫が4位、設楽が16位、井上が26位

レースは序盤からハイペースで展開された。

大舞台で見事に日本記録を更新し、日本人1位となった大迫は、スタート時から先頭集団の後方について出方をうかがっていた。22キロ過ぎからは先頭を走っていた井上に離されたかのように見えたが、大迫いわく、あえて「離れた」のだという。メディアに対し「いかにリラックスして自分のペース、リズムを立て直すかということを考えていた」と振り返り、あらためてその冷静さで周囲を驚かせた。そして32キロすぎからは急速にペースを上げ、一気にトップに躍り出た。計算し尽くされた、落ち着いたレース運びが光った。

一方の井上は、目標としていた2時間4分30秒を大きく上回る勢いで進んでいたが、35キロあたりからの失速が響いた。終盤は次々と抜かれて最終的に2時間9分34秒で26位に沈んでいる。それでも「腹をくくっていったので悔いはない」「大迫選手は素晴らしい走りだった」と素直に称え、すがすがしい表情を見せていた。

両選手とともに「3強」として期待されていた設楽は、2時間7分45秒で16位。常に第2集団をキープしながらも、最後まで上位争いに食い込むことはできなかった。レース後は取材に応じずその場を立ち去ったが、自身のツイッターでは「応援ありがとうございました!少し休みます」と、感謝の言葉をつづっている。

「3強」の一人に数えられていた設楽悠太は2時間7分45秒で16位。最後まで上位争いに食い込むことはできなかった
「3強」の一人に数えられていた設楽悠太は2時間7分45秒で16位。最後まで上位争いに食い込むことはできなかった「3強」の一人に数えられていた設楽悠太は2時間7分45秒で16位。最後まで上位争いに食い込むことはできなかった

びわ湖毎日マラソンの結果次第で、大迫が東京五輪代表に

男子マラソンでは、昨年9月のMGCで優勝を果たした中村匠吾と、2位の服部勇馬がすでに五輪代表に内定している。

大迫は同レースで3位となっていたため、今大会に出場せずに他の選手の結果を待つ決断もできたが、「初めて勝利を得て新しい自分を見つけたい」と、マラソン初優勝をめざして出場することを決めた背景があった。そんななかでの大記録達成に涙を見せ、「自分自身を超える大きなチャレンジになった」と喜びを噛み締めた。

女子で日本人トップの成績を残した山口遥。2時間30分31秒で、総合10位だった
女子で日本人トップの成績を残した山口遥。2時間30分31秒で、総合10位だった女子で日本人トップの成績を残した山口遥。2時間30分31秒で、総合10位だった

また、総合4位となった大迫には賞金100万円、そして日本新記録ボーナスの500万円、さらに日本実業団陸上競技連合からは1億円の褒賞金が贈られたが、「スクールや大会など、これから育っていく選手のために使うことも考えている」と話している。

東京五輪代表の選考対象の最終レースとして、3月8日に行われるのがびわ湖毎日マラソン大会だ。このレースで大迫の記録を上回る選手が誕生しなければ、このまま大迫が「3人目の男子マラソン代表」に決定する。大迫は「あとは結果を待つだけ」「自分が速くなっていく。それを追究することだけを考え、信じて準備していきたい」とコメント。すでにその闘志はオリンピック本番に向け、熱く燃えている。

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