新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、1年の延期が決まったTokyo 2020(東京五輪)。コロナ禍で安全に大会を実施するためにどのような対策が行われるのか紹介する。
東京五輪の新型コロナウイルス感染対策
10月21日、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、五輪本番に向け、感染対策と速やかな手荷物検査を行うための入場検査実証実験を都内で実施した。
実験はさまざまな条件を組み合わせた44のパターンで行われ、本番で検査にあたる約1000人のスタッフが参加した。
■入場者の感染対策
新型コロナウイルス対策のため、入場する全ての観客に検温が行われる。実証実験では非接触型検温器、サーモグラフィーといった本番でも利用される予定の機材がテストされた。
なお、大会本番は蒸し暑い気候が想定されるため、入場待ちの観客が熱中症にならないよう速やかな入場検査が課題となる。そこで、体に貼ると色の変化で体温がわかるシールで待機中にも検温できるか試された。
上記の検温に加えて、待機列では観客同士が1.5mの間隔を保つよう、ソーシャルディスタンスの確保が義務付けられた。
■従来の安全確認もスムーズに
感染対策と同様に安全対策も速やかに行えるか、実証実験で確認された。
スムーズな手荷物チェックのために、空港で用いられるX線検査機を導入。関係者の入場では、事前に登録した顔情報とIDを照合するための顔認証システムも用いられた。
なお、過去の五輪では危険な液体が会場内に持ち込まれないよう、ペットボトルの持込が禁止されていたが、東京大会では暑さ対策のためにこれを許可。手荷物検査の際に観客に一口飲ませる方法で、中身が有害ではないことを確かめていた。
また、荷物がない観客は、持っている場合の半分の時間で入場できることが実証実験によってわかった。これを踏まえて、観客になるべく少ない荷物で会場を訪れるよう呼びかけを行うとしている。
五輪組織委員会は、実証実験の結果をもって、再度本番へ向けた対策を協議する。