柔道グランドスラム・デュッセルドルフ大会が2月21日に開幕。東京五輪出場権は誰の手に──27日には代表内定者を複数発表か

現在の東京五輪内定者は女子78キロ超級の素根輝のみ

2月21日から23日まで、今年2つ目の柔道グランドスラム大会がドイツのデュッセルドルフで行われる。この大会結果を受け、東京五輪出場内定選手が複数決まると見られるだけに、注目度も選手たちの意欲も高い。間近に迫った東京五輪を前に、日本の「お家芸」のメダル有力候補たちをチェックしておこう。

阿部詩は女子52キロ級で出場。「自分の柔道を100パーセントできるように」と語り、ドイツに向かった
阿部詩は女子52キロ級で出場。「自分の柔道を100パーセントできるように」と語り、ドイツに向かった阿部詩は女子52キロ級で出場。「自分の柔道を100パーセントできるように」と語り、ドイツに向かった

パリ大会に続き、今年2大会目のグランドスラム

柔道グランドスラム(GS)は2009年以来開催されており、2020年2月8日、9日のフランス・パリ大会に続き、このドイツ・デュッセルドルフ大会が今季2度目のグランドスラムとなる。3月にロシア・エカテリンブルグ大会、5月にはアゼルバイジャン・バクー大会と、今年だけで7大会の日程が組まれている。順位に応じて世界ランキングのポイントが与えられ、主催国からは各階級4名、それ以外の参加国からは2選手まで出場可能だ。

実はパリ大会とデュッセルドルフ大会は日本の選手たちにとって、ひときわ重要な意味を持っている。なぜなら、東京五輪代表を選ぶ全日本柔道連盟(全柔連)の強化委員会がデュッセルドルフ大会閉幕から4日後の2月27日に開かれる予定になっているからだ。

東京五輪の代表選考にあたっては、一斉発表だった4年前のリオデジャネイロ五輪時とは異なり、時期的に3段階に分けて決定する方法を導入。第1段階は、2019年夏の世界柔道選手権と11月のGS大阪大会をどちらも制した選手という条件だったが、これをクリアしたのは女子78キロ超級の素根輝(そね・あきら)しかいなかった。

2月27日は第2段階の発表であり、複数の選手が内定することが予想されている。東京五輪行きを決めるためにはこのGS2大会で好成績を収めることが必須。強化委員のうち3分の2以上が、2番手との差が大きいと判断した場合に、オリンピックの切符を手にできる。

グランドスラム・デュッセルドルフ大会の日本選手団

男子

  • 100キロ超級:原沢久喜 (百五銀行) *欠場
  • 100kg級:ウルフ アロン (了徳寺大学職) *欠場
  • 90kg級:向 翔一郎 (ALSOK)
  • 81キロ級:永瀬貴規 (旭化成)
  • 73キロ級:大野将平 (旭化成)
  • 66キロ級:丸山城志郎 (ミキハウス) *欠場
  • 66キロ級:阿部一二三 (日本体育大学4年)
  • 60キロ級:髙藤直寿 (パーク24)

女子

  • 78キロ超級:朝比奈沙羅 (パーク24)
  • 78キロ級:濵田尚里 (自衛隊体育学校)
  • 70キロ級:新井千鶴 (三井住友海上火災保険)
  • 63キロ級:田代未来 (コマツ)
  • 57キロ級:芳田 司 (コマツ) *欠場
  • 52キロ級:阿部 詩 (日本体育大学1年)
  • 48キロ級:渡名喜風南 (パーク24)
最激戦区の男子66キロ級で東京五輪出場を狙う阿部一二三(右)。ライバルの丸山城志郎は故障のため欠場する
最激戦区の男子66キロ級で東京五輪出場を狙う阿部一二三(右)。ライバルの丸山城志郎は故障のため欠場する最激戦区の男子66キロ級で東京五輪出場を狙う阿部一二三(右)。ライバルの丸山城志郎は故障のため欠場する

丸山城志郎は欠場。最激戦区の男子66キロ級で阿部一二三はアピールなるか

第2段階での内定が有力視されているのは、男子73キロ級の大野将平だ。リオ五輪では金メダリストとなり、2019年夏の世界選手権でも変わらぬ実力を見せつけて頂点に立った。ただし、左手人差し指の負傷により、2019年秋のグランドスラム大阪大会と12月のマスターズ大会を欠場。それでも年明けからは回復して強化合宿に挑んでおり、順当に東京五輪代表内定を勝ち取ると見る向きが多い。

また、男子66キロ級は最激戦区として注目されている。世界選手権優勝を果たした丸山城志郎が一歩リードしているものの、今大会は左ひざの故障により欠場が決定。一方、“阿部兄弟”として妹の詩とともに注目される阿部一二三(あべ・ひふみ)にも可能性が残されている。最大のライバル丸山との直接対決では、2018年のGS大阪、2019年の全日本選抜体重別選手権、世界選手権と、3連敗。スランプに陥っているという声もあった。しかし2019年11月末のGS大阪では、阿部が約7分半にわたる激闘の末に勝利。オリンピック出場に望みをつないでいる。

女子52キロ級で戦う妹の詩は、さらに東京五輪に近い位置にいる。勝てば代表内定が有力と見られていた2019年11月のGS大阪大会では、世界ランク1位のアマンディーヌ・ブシャール(フランス)と5度目の対戦にして初黒星を喫し、試合後に涙を流した。それでも世界選手権では連覇するなど、この階級では他をリード。「やっと近づいた。やるしかない」と、気合も十分だ。兄よりも一足先に内定を勝ち取る可能性が高い。

73キロ級の大野将平はリオ五輪では金メダルを獲得した。デュッセルドルフ大会後に東京五輪行きを内定させる可能性は十分
73キロ級の大野将平はリオ五輪では金メダルを獲得した。デュッセルドルフ大会後に東京五輪行きを内定させる可能性は十分73キロ級の大野将平はリオ五輪では金メダルを獲得した。デュッセルドルフ大会後に東京五輪行きを内定させる可能性は十分

パリ大会で存在感を発揮した男子100キロ超級の影浦心

代表レースを占う上で、2月8日と9日に行われたパリ大会で、実力を存分にアピールした選手の存在も忘れてはならない。

男子100キロ超級の影浦心(かげうら・こころ)は、決勝で敗れて銀メダルに終わったものの、3回戦でオリンピック2連覇中のテディ・リネールを破る大金星を挙げた。リネールの国際大会での敗戦は約10年ぶり。影浦の与えた敗戦により、リネールの連勝は「154」でストップした。

同階級で影浦のライバルとなるのはリオデジャネイロ五輪銀メダリストの原沢久喜(はらさわ・ひさよし)だが、今大会は丸山同様、故障による欠場を発表。代表選考においては2019年12月のワールドマスターズ中国大会を制しているため、確かに影浦は大きくリードを許している状態となっているが、リネールに土をつけたインパクトは相当大きいだろう。選考は4月までもつれこみそうだ。

女子では70キロ級の新井千鶴の代表入りが近い。リオ五輪では最後の最後に代表争いで敗れ補欠にとどまっただけに、思いは人一倍強いはずだ。悔しさをバネに2017年、2018年と世界選手権を連覇したが、2019年のGS大阪大会では銅メダル。「自分が出るという思いを持ち続けて、ひたすら頑張るしかない」。今大会で納得のいくパフォーマンスを見せ、念願の東京五輪行きの切符を狙う。

なお、GSデュッセルドルフ大会直後の27日の発表でも決まらなかった場合、東京五輪の代表選手の内定は第3段階として、最終選考会となる4月の全日本選抜体重別選手権後に持ち越されることになる。

  • 山下が負傷しながら柔道で金メダル

    山下が負傷しながら柔道で金メダル

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