柔道グランドスラム・パリ大会で日本勢3選手が金メダルを獲得 影浦心は絶対王者から大金星!

影浦心がテディ・リネールに国際大会で約10年ぶりの土をつける

柔道の東京五輪代表選考会に設定されているグランドスラムのパリ大会が2月8日、9日に開催された。日本勢は永山竜樹(りゅうじゅ)、橋本壮市、大野陽子が金メダルを獲得と好結果。また、影浦心は絶対王者テディ・リネールから金星を挙げ、逆転での五輪代表入りへ望みをつないだ。

100キロ超級の影浦心はロンドン、リオデジャネイロ五輪で金メダルを手にしたテディ・リネールを下し、銀メダルを獲得している
100キロ超級の影浦心はロンドン、リオデジャネイロ五輪で金メダルを手にしたテディ・リネールを下し、銀メダルを獲得している100キロ超級の影浦心はロンドン、リオデジャネイロ五輪で金メダルを手にしたテディ・リネールを下し、銀メダルを獲得している

絶対王者の10年ぶり敗戦で柔道界に激震

柔道の東京五輪代表争いは、いよいよ佳境を迎えている。

選考大会の一つであるグランドスラム(以下GS)パリ大会には、日本から男子10名、女子9名が出場した。いずれもオリンピックの代表争いで2番手以下に位置する選手たちで、選考生き残りをかけたアピールに臨んだ。

男子は60キロ級で永山竜樹(りゅうじゅ)、73キロ級で橋本壮市が優勝を果たした。2019年夏の世界選手権で銅メダルを獲得している永山は、4試合すべてで技によるポイントを奪って決勝に進んだ。決勝では、開始早々に寝技で抑え込まれて肝を冷やしたものの、その後、得意の背負い投げと裏投げで技ありを奪い、合わせ技一本勝ちを収めた。

73キロ級は2019年夏の世界選手権を制した大野将平が代表争いを大きくリードしている状況だが、橋本が今大会の優勝で望みをつないだ。同階級に出場したロンドン、リオデジャネイロ五輪銅メダリストの海老沼匡(まさし)は5位に終わった。

また、81キロ級の藤原崇太郎は3位、90キロ級の長澤憲大(けんた)は2位で表彰台に上った。一方、100キロ級で優勝候補に挙げられていたリオデジャネイロ五輪銅メダリストの羽賀龍之介は3回戦敗退となった。

100キロ超級では、2018年にこの大会を制している影浦心(かげうら・こころ)が世界を驚かせる大金星を挙げた。3回戦でフランスの絶対王者テディ・リネールと対戦。リネールはロンドン、リオデジャネイロ五輪の金メダリストで、世界選手権ではこれまで10個の金メダルを獲得している。

影浦とリネールともにポイントも指導もないまま迎えた延長40秒、影浦は内股すかしで2メートルを超えるリネールの巨体を畳に転がした。これで国際大会におけるリネールの連勝記録は「154」でストップ。2010年9月の世界選手権東京大会決勝で上川大樹に判定負けして以来、リネールにとっては約10年ぶりの黒星となった。影浦は勢いのままに決勝まで勝ち進んだものの、惜しくも銀メダルに終わった。

60キロ級を制覇した永山竜樹。4試合すべてで技によるポイントを奪って決勝に進み、合わせ技一本勝ちで金メダルを手繰り寄せた
60キロ級を制覇した永山竜樹。4試合すべてで技によるポイントを奪って決勝に進み、合わせ技一本勝ちで金メダルを手繰り寄せた60キロ級を制覇した永山竜樹。4試合すべてで技によるポイントを奪って決勝に進み、合わせ技一本勝ちで金メダルを手繰り寄せた

大野陽子が逆転での代表入りへ猛アピール

女子の優勝は70キロ級の大野陽子のみだったが、出場した9名中8名がメダルを獲得する快挙を成し遂げた。

70キロ級は2017年、2018年の世界選手権で連覇を果たしている新井千鶴の代表入りが有力視されている状況で、今大会には大野と新添左季(にいぞえ・さき)が出場した。ともに順調に勝ち上がり、決勝では日本勢対決が実現。すると、大野が見事な一本背負い投げを決め、優勝を飾った。大野は2019年のGS大阪に続く連勝で、逆転による東京オリンピックの切符獲得へ好アピールに成功した。

48キロ級では、高校3年生の古賀若菜が5試合連続一本勝ちで決勝まで進んだ。しかし、待ち受けていたのは世界選手権2連覇中の女王ダリア・ビロディド(ウクライナ)。172センチの長身を武器とするビロディドはモデルとしても活躍する美人柔道家として知られ、インスタグラムで約24万5千人のフォロワーを持つ人気ぶりだ。古賀は払い巻き込み投げで技ありを奪われ、女王に屈した。

また57キロ級では、長野県出身で2017年に国籍を父と同じカナダに変えた出口クリスタが大会3連覇を果たした。決勝では、リオデジャネイロ五輪銀メダリストのドルジスレン(モンゴル)に巴投げで技ありを奪い、優勢勝ちした。出口は2018年の世界選手権も制しており、東京五輪でも日本勢の前に立ちはだかることが予想される。

女子70キロ級の大野陽子(左から2人目)は新添左季との決勝戦に勝利し、GS大阪に続く優勝を果たしている
女子70キロ級の大野陽子(左から2人目)は新添左季との決勝戦に勝利し、GS大阪に続く優勝を果たしている女子70キロ級の大野陽子(左から2人目)は新添左季との決勝戦に勝利し、GS大阪に続く優勝を果たしている

永山竜樹か高藤直寿か、男子60キロ級の代表争いが白熱

東京五輪の日本代表は、2019年11月のGS大阪終了時点で女子78キロ超級の素根輝(そね・あきら)のみが内定している。

次の選考基準としては、昨年12月のワールドマスターズ、今回のGSパリ、そして2月下旬に開催されるGSデュッセルドルフの3大会を終えた時点で、強化委員会の3分の2以上の賛成を得られれば代表が決まる。

男子60キロ級の永山竜樹は世界ランキング1位ながら、オリンピックの選考では2017年、2018年の世界選手権王者、高藤直寿(たかとう・なおひさ)を追う立場にある。ワールドマスターズに続く今大会の優勝により、1枠をめぐる代表争いはますます混戦模様となった。

また、影浦が銀メダルを獲得した男子100キロ超級は、リオデジャネイロ五輪銀メダリストの原沢久喜(はらさわ・ひさよし)が最有力候補となっている。

約10年ぶりの黒星を喫したリネールは原沢がリオデジャネイロ五輪の決勝で敗れた相手。そのリネールを倒したことは影浦にとって選考における重要な判断材料となると見込まれる。しかし、優勝にあと一歩届かず、影浦にとっては悔いの残る大会となった。

2月下旬にドイツで行われるGSデュッセルドルフでは、代表争いの最激戦区と目される男子66キロ級の丸山城志郎や阿部一二三らの出場も予想される。柔道は東京五輪でのメダル複数獲得が期待される競技だけに、代表争いも最後まで目が離せない。

  • テディ・リネールらの驚異的な連勝記録

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