池田向希:“みちょぱ”の「はとこ」のイケメン競歩選手は、マネージャー兼務で東洋大学に進んだ苦労人【アスリートの原点】

世界大会での金メダルを契機にマネージャーを卒業

男子20キロ競歩の日本代表に内定した池田向希(こうき)は高校時代、なかなか目立った成績を残すことができず、静岡県内では「雲の上の存在」である川野将虎(まさとら)の陰に隠れていた。ところが自ら志願して競歩の強豪、東洋大学の門を叩くと、秘めていた才能が開花。2020年3月の全日本競歩能美大会を制し、東京五輪行きの切符を手にした。

高校時代はほぼ無名だったものの、大学2年次に出場した世界競歩チーム選手権の20KMで優勝し、世界王者となった
高校時代はほぼ無名だったものの、大学2年次に出場した世界競歩チーム選手権の20KMで優勝し、世界王者となった高校時代はほぼ無名だったものの、大学2年次に出場した世界競歩チーム選手権の20KMで優勝し、世界王者となった

自ら懇願し、マネージャー兼務で東洋大学へ

池田向希(こうき)は、モデルの“みちょぱ”こと池田美優の「はとこ」としても一躍脚光を浴びた。

イケメン競歩選手としても話題を集めているが、幼少期は、高校と大学でテニスの全国大会出場経験がある父の茂さんの影響を受け、コートでラケットを握っていた。「ミスなくラリーを続ける子だった」と父が明かしたように、当時から真面目でコツコツと努力を重ねる性格が競技にも表れていた。

地元の浜松市立積志中学校に入ると同時に陸上競技を始めたものの、長距離種目ではなかなか芽が伸びず。静岡県内の強豪・浜松日体高等学校に進学したものの、力のある選手たちのなかに埋もれるようになってしまった。

そこで顧問からの勧めもあり、高校2年の4月に初めて競歩のレースに出場。当初は「競歩の動きが長距離にも生かせる」と考えていたが、東海地区大会で9位に入賞することができ、競技自体の魅力も感じた。このころ、同じ静岡県内には全国大会で名を馳せる川野将虎(御殿場南高等学校)がいた。池田は川野のことを「雲の上の存在」と見ていたが、その存在が池田を大きく飛躍させることとなる。

浜松日体高で目立った実績がなかった池田は、川野の勧誘のために東洋大学の酒井俊幸監督が訪れた静岡県内の記録会で入部への熱意を伝える。大学側の競歩の入部枠がすでに埋まっていたため、マネージャー兼務での入部が許可された。

2018年に20キロ競歩で世界制覇を果たし、「ここからがスタート」と本格的にオリンピックを意識するようになった
2018年に20キロ競歩で世界制覇を果たし、「ここからがスタート」と本格的にオリンピックを意識するようになった2018年に20キロ競歩で世界制覇を果たし、「ここからがスタート」と本格的にオリンピックを意識するようになった

ライバルの川野将虎とは寮も同部屋で切磋琢磨

高校時代は独学だったが、東洋大で酒井瑞穂コーチに出会い、地道な練習を繰り返してフォームを修正。競歩専用のウェイトトレーニングも加えた。

高校では周りに競歩を専門とする仲間が少なかったが、東洋大では川野をはじめ国内トップレベルの選手たちが身近にいることも刺激をもたらした。なかでも川野とは寮も同部屋で、お互いのフォームを指摘し合うなど切磋琢磨している。同じレースに出場する前日の夜は一緒に食事こそとるものの、お互いのレースプランを明かすことはない。

寮の電話番や給水ボトルの洗浄、ゴミ捨て、タイムキーパーなど多岐にわたるマネージャー業務をこなしながらも着々と力をつけていった池田は、1年次から関東インカレとして知られる関東学生陸上競技対校選手権や日本インカレと呼ばれる日本学生陸上競技個人選手権大会で表彰台に立った。世界大会初挑戦となった2018年5月の世界競歩チーム選手権で金メダルを獲得したことを契機に、晴れてマネージャーを卒業。「ここからがスタート」と本格的にオリンピックを意識するようになり、2020年2月の日本選手権では20キロ競歩で1時間19分7秒で2位に入った。

全日本競歩能美大会を制覇して挑む東京五輪では、50キロ競歩の日本代表に内定している川野とともに、東洋大を代表して世界と戦う。めざすはライバルであり、同志である川野と2人そろってのメダル獲得だ。

選手プロフィール

  • 池田向希(いけだ・こうき)
  • 競歩選手
  • 生年月日:1998年5月3日
  • 出身地:静岡県浜松市
  • 身長/体重:168センチ/53キロ
  • 出身校:積志中(静岡)→浜松日体高(静岡)
  • 所属:東洋大学
  • オリンピックの経験:なし
  • インスタグラム:東洋大学陸上競技部(長距離部門)

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