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男子テニス国別対抗戦・デビスカップで無観客試合 新型コロナウィルスの拡大によって今後のプロテニスツアーはどうなる?

文: 神仁司 ·
新型コロナウイルスの影響で無観客により開催されたデビスカップ・日本vsエクアドル

新型肺炎の影響で3月のデビスカップは無観客で実施

新型コロナウィルスの感染拡大による影響は、テニスの試合にも及んでいる。

3月6~7日に兵庫で開催された男子テニス国別対抗戦・デビスカップの予選ラウンド「日本 vs. エクアドル」は、新型コロナウィルスの感染拡大を防止するために無観客で行われた。

無観客試合にすると決定したのは2月26日。この試合が昨年右ひじの手術をした錦織圭の復帰戦になる可能性があったため、会場である兵庫県・ブルボンビーンズの約2500席の前売り券は2日間共に完売していた。見込まれていたチケット代金約1800万円の払い戻しはプレイガイドを通して行われた。

無観客試合とはいえ、ホームの地で何とか開催にこぎつけたことに、デビスカップ日本代表の岩渕聡監督は、厳しいスケジュールの中、毎週移動が伴う選手たちのことを考え、ホッと胸を撫で下ろした。

「選手のことを考えると、やっていただいて助かりました。この後(移動制限の)リスクを考えると、ここ(日本)に集まるのが大変だったと思う。ここでデビスカップを戦っておけるのはよかった。これからスケジュールがずれたり中止になったり、あるいは(開催場所がアウェーの)エクアドルに変更になったりすると、より選手にとって負担になる。こういう状況(無観客試合)でやること自体も簡単ではなかったでしょうけど、とにかくITF(国際テニス連盟)とJTA(日本テニス協会)によって開催へこぎつけてもらったことを有り難く思っています」

また、ITF理事の川廷尚弘氏によれば、延期の選択肢はなかったという。

「ツアーカレンダーのことを踏まえて、延期は全然考えていなかったです。お客様に応援してもらいたかったですけども、やっぱり選手がプレーしやすい環境を作ってあげたかった。

無観客試合を発表した時は、本当か、という反応が多かったが、ベストな決断だったと思っています。日本を含めて、35のタイ(対戦)があって、他の国にも影響があるので、慎重になる部分はあった、(今後に向けて、無観客試合は一つの)良いサンプルになるのでは。日本で開催されなかったら、他でも開催されなかったかもしれません」

デビスカップの会場へ入場する時に、大会運営スタッフやメディア関係者には、検温が行われ、マスク着用が必須とされた。また、試合中には、ボールパーソンが手袋を着用して、タオルは直接手渡ししないで、かごを使用した。

デビスカップが終了した翌週(3月9日の週)には、テニス大会への影響がより色濃くなり始めた。

4月17日〜18日に大阪で開催される予定だった女子テニス国別対抗戦・フェドカップのプレーオフ「日本 vs. ウクライナ」は延期。同時に、日本戦だけでなくプレーオフの全対戦および、フェドカップ・ファイナルズ(4月14~19日、ハンガリー・ブダペスト)も延期となった。

パリバオープン(インディアンウェルズ・マスターズ)は新型コロナウイルスの影響で中止となった

ATP・WTAツアーでも大会中止が相次ぐ

さらに、新型コロナウィルスは、ワールドプロテニスツアー(男子ATP、女子WTA)にも暗い影を落とした。

カリフォルニア州の緊急事態宣言を受けて、3月9日にはインディアンウエルズ大会(アメリカ、3月11日~3月22日)が中止となった。

インディアンウエルズ大会は、テニスの4大メジャーであるグランドスラムに次ぐグレードの男女共催大会。ロサンゼルスから車で2時間ほど内陸に入った砂漠地帯のオアシスにあるリゾート地で開催されているが、出場を予定していた大坂なおみがプレーをできなくなってしまった。

さらに3月12日に、世界保健機関(WHO)が、新型コロナウィルスのパンデミック(世界的大流行)を宣言したため、新型コロナウィルス感染拡大による、今後のプロテニスツアーへ与える影響が甚大なものになっていく。

3月13日には、インディアンウエルズ大会と同じグレードのマイアミ大会(アメリカ、3月24日~4月4日)の中止が決定。さらに同日に、ATPは、今後6週間(3月16日の週から4月20日の週)のツアーを中断することを決めた。ツアーより一つ下のグレードのチャレンジャー大会も含まれる。

一方、WTAは、3月13日の時点で、インディアンウエルズとマイアミに加えて、4月6日の週に開催予定だったチャールストン大会(アメリカ)とボゴタ大会(コロンビア)を中止とした。加えてITFも、男女ツアー下部大会などを4月20日の週まで行わないことを発表している。

ATPは1月第1週から11月中旬まで、64大会が30の国や地域で開催される男子プロテニスツアー。WTAは、1月第1週から10月最終週まで、55大会が29の国や地域で開催される女子プロテニスツアー、男女共にワールドプロテニスツアーとして確立されている。年間スケジュールにビッシリと大会が埋め込まれ、毎週のようにどこかの国のどこかの都市で、大会が行われている状況だ。

世界中を移動するプロテニスプレーヤーにとっては、今後各国が実施する可能性のある入国制限や入国拒否は、死活問題にもつながりかねないが、相手が目に見えないウィルスで、まだワクチンが無く、有効な治療手段がない未知の部分を含む新型コロナウィルスが相手だけに事態ははなはだ難しい。健康第一の選手自身がウィルスのリスクにさらされるだけでなく、ウィルスの運び屋になってしまったら目も当てられない。

4月からワールドプロテニスツアーの舞台は、ヨーロッパでのクレー大会が中心になるが、さらにヨーロッパ各地で開催されるプロテニス大会の中止や延期が増える可能性もあり、まだまだ予断を許さない状況が続いていきそうだ。