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矢澤亜季:長野県で生まれ育ったカヌースラロームの期待の星|リオ五輪の雪辱を期す【アスリートの原点】

中学3年次に世界ジュニア選手権に出場

文: オリンピックチャンネル編集部 ·

カヌースラロームは、川の一定区間に置かれた約30のゲートを順番に通過して下る時間を競うスポーツだ。日本人女性としてこの競技で群を抜く存在感を発揮するのが矢澤亜季で、中学生の時にオリンピックを意識するようになったという。

リオ五輪では21人中20位で予選敗退。東京五輪に寄せる思いは強い

中学卒業後は東京に拠点を移す

矢澤亜季は1991年11月5日に産声をあげた。出身地の長野県飯田市は天竜川を含め複数の川が流れており、川下りやラフティングが楽しめる。矢澤がカヌーを始めたのも、そうした環境と無関係ではない。

3歳のころから日本舞踊を続け、名取として西川那美波の芸名を持つ。茶道も習うなど伝統文化に親しむ一方、兄の一輝が取り組み始めたスポーツに興味を持つようになった。父がカヌー選手だったこともあり、兄も小学1年生の時にカヌーを始めていたことから、妹は父と兄の姿を見て、「自分もカヌーをやってみたいな」と思った。

丸山小学校3年生の時に、自身もカヌーに乗り、スラローム競技を行うようになった。水の上を好きなように進める感覚が好きで、カヌーにどんどん魅了されていく。週末だけでなく、平日にも練習するようになった。父が発電機を使ってライトで川を照らし、ゲートも設置してくれた。

小学校を卒業後は飯田西中学校に進学。中学2年次には日本ジュニア選手権で優勝を果たした。3年次には世界ジュニア選手権に出場する。国際舞台を経験したことでオリンピックを意識するようになったという。

中学卒業後は兄の住む東京都青梅市に拠点を移した。東野高等学校に通いながら、多摩川や御岳渓谷でトレーニングに励んだ。充実した練習が実を結び、高校3年次には全日本選手権を制覇している。

東京五輪出場を内定させた仲間たちと。左から足立和也、矢澤本人、佐藤彩乃、羽根田卓也

リオデジャネイロ五輪では21人中20位

2010年、駿河台大学に進学する。同大学がカヌー部の活動に力を入れていることもあったし、兄が先に入学している影響もあった。大学2年次の2011年には国民体育大会の成年女子スラロームカヤックシングルと、カヌースラロームジャパンカップ最終戦の女子カヤックシングルで優勝。2012年のロンドン五輪出場も視野に入れていたが、この時、北京五輪に続きオリンピックに出場したのは兄の一輝さんだけだった。

もっとも、妹の亜季も着実に成長を続けていく。大学4年次の2013年にはNHK杯全日本カヌースラローム競技大会で3連覇を達成。同年のジャパンカップカヌースラローム最終戦も制してみせた。2014年にはアジア競技大会で銅メダルを獲得し、リオデジャネイロ五輪出場に向けて弾みをつけた。

そして2016年のリオ五輪は兄とそろっての出場を果たす。ただし、兄は準決勝で破れ、自身は予選敗退を喫した。しかも、21人中20人という悔しさだけが残る結果だった。

雪辱を期すべく、リオ五輪以降はカヌーの本場スロベニアに拠点を移した。学生時代から国際舞台を経験する中、天候によって水の速さや量が変わる自然の川ではなく、一定の条件が保たれる人工のコースで練習を重ねたいという思いがあった。同じくスロベニアで活動する世界トップレベルの選手にも刺激を受けて腕を磨くと、2018年のアジア競技大会では金メダルを獲得することができた。日本女子カヤック界では初の快挙だった。

2019年10月には東京五輪女子カヤックシングル代表に内定。コロナ禍になってからは国内中心に練習を重ねながら、2020年10月のワールドカップでは7位の成績を収めるなど視界は良好だ。リオ五輪での屈辱は東京五輪で晴らすしかない。残念ながら東京五輪の選に漏れた兄の思いも背負い、メダル獲得を狙う。

選手プロフィール

  • 矢澤亜季(やざわ・あき)
  • カヌースラローム選手
  • 生年月日:1991年11月5日
  • 出身地:長野県飯田市
  • 身長/体重:156センチ/54キロ
  • 出身校:丸山小(長野)→飯田西中(長野)→東野高(高校)→駿河台大(埼玉)
  • 所属:昭和飛行機工業
  • オリンピックの経験:リオデジャネイロ五輪 予選敗退
  • ツイッター(Twitter):矢澤亜季 (@namihaa)
  • インスタグラム(Instagram):矢澤亜季/Aki Yazawa

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