立川真紗美:5人制トップリーグ経験者が見せる、3x3への新たなチャレンジ

2020年東京オリンピックの正式種目になった「3x3(スリー・バイ・スリー)」。それを受けて盛り上がりをみせているのが、3人制バスケットボールのトップリーグ、3x3.EXE PREMIERだ。2018年シーズンは、現役Bリーガーや、かつてWリーグでプレーしていた選手たちが、続々と参戦を表明、トップリーグ経験者ならではのハイレベルなプレーが、ゲームのレベルを引き上げ、今後の競技普及に一役買ったことは間違いない。そんななか、この舞台で再びバスケの最前線に戻ってきたのが、2004年アテネ五輪に出場した経験を持つ立川真紗美、その人である。

一度は引退したが、3x3で現役復帰を果たした立川真紗美(左から2番目)
一度は引退したが、3x3で現役復帰を果たした立川真紗美(左から2番目)一度は引退したが、3x3で現役復帰を果たした立川真紗美(左から2番目)

スピードと運動量を生かしたディフェンスを武器に日本トップクラスの選手へ

1980年11月16日生まれ、神奈川県横須賀市出身の立川真紗美は、驚異的なスピードと跳躍力を武器に、日本屈指のGF(ガードフォワード)として活躍してきた。国内最強のJX-ENEOS(当時はジャパンエナジー、JOMO)に10年間在籍し、数々のタイトル獲得に貢献。その後、強豪の富士通レッドウェーブでも4シーズンに渡って活躍し、2013-2014年シーズンを最後にトップリーグの舞台から退いた。JOMOで何度もリーグ優勝を経験し、日本代表としても2002年の世界選手権、さらには2004年アテネ五輪に出場している。

立川がバスケットボールを始めたきっかけは、小学校5年生のときに、町内の回覧板を見て、ミニバスケットボールを始めたそうだ。中学は同級生部員が2人しかいないような学校だったが、個人では県代表チームに選抜され、進学した高校もバスケの強豪校ではなかったが、全国大会に出場し大活躍するなど、非凡な才能を発揮。当時のジャパンエナジーにスカウトされる。

入部を決めた立川は、巡ってきたチャンスをものにしてレギュラーメンバーに定着。リーグを制覇し、日本代表に選出されるなど、順調にキャリアを積み重ねていく。

Wリーグで培った高い得点能力と試合の流れを自チームに引き寄せるパスセンスは多くのファンの脳裏に焼き付いていることだろう。2014年、腰のけがが原因で、Wリーグの富士通レッドウェーブで現役生活を終えた立川は、以降、バスケットボールスクールのコーチを務めてきた。一線を退いていたにも関わらず、日本代表メンバーに選出された立川。3x3界が大きな期待をかけていることがわかる。

3x3でもう一度バスケをする喜びを

腰痛と膝の故障でドクターストップがかかり引退を決断した立川。3x3と出会ったのは、その数カ月後。男子の3人制ストリート大会に出場したことがきっかけだった。めまぐるしく攻守が入れ替わりながら、次々と得点が決まる3x3。「オフェンスタイムが短いので、プレーを早く決断しなければならない」「5対5よりフィジカルコンタクトが激しい」など、5人制を経験してきた選手たちは、口々に3x3の難しさと5人制とは違う醍醐味があることを語る。

アテネ五輪を経験した立川ほどの選手でも、3x3特有の難しさと新たな発見に魅了され、のめり込んでいくようだ。2018年7月、3x3.EXE PREMIERに世界で初めて女子カテゴリーが設立された。立川はSEKAIE.EXEでこれに参戦。チーム自体の成績は芳しくなかったが、彼女自身は得点ランキング2位と存在感を示した。5人制のオールコートに対し、3x3はハーフコート。スピードも展開も速く、より個人技が生かせる団体競技だ。3x3は5人制に比べ、フィジカルで競うプレーが多くなる。立川は自分から積極的に仕掛けるプレースタイルではなく、司令塔としてゲームを作る役割が中心だ。しかし、3x3のショットクロック(攻撃側がシュートを打つまでの制限時間)は、わずか12秒と時間が短いこともあり、果敢に攻める必要がある。

2004年アテネ五輪に出場した立川真紗美(1列目右から2番目)
2004年アテネ五輪に出場した立川真紗美(1列目右から2番目)2004年アテネ五輪に出場した立川真紗美(1列目右から2番目)

3x3のトップリーグに女子カテゴリーができる直前に、中国の深センで行われた3x3アジアカップ2018。立川は日本代表として出場した。日本代表は準決勝で中国に負け、3位決定戦でオーストラリアに5-17と大敗を喫し、残念ながら4位という成績に終わった。国際大会での経験不足、ロングレンジからの2ポイントシュートの精度、体格で劣るゴール下での勝負など、強敵相手に足りないものが浮き彫りになった。

立川は「大会直前の合宿のみで大会に向かうという強行軍ではありましたが、そんな中でもチームメイトやスタッフと密にコミュニケーションをとりながら、ケガもなく、1試合1試合ごとに成長を感じながら最後まで戦い抜けた点では、3x3女子日本代表チームにとって、非常に良い経験ができたと思います」とのコメントを日本バスケットボール協会(JBA)のプレスリリースのなかで残している。

レベルアップのために持てる力を惜しみなく注ぐ

3x3は本格的な強化がスタートしたばかりだ。東京五輪へ向けて、認知度を向上させ、ファンや選手を増やす必要がある。そのために日本代表が果たす役割は大きい。

立川も「日本が世界で戦っていくためには、これからもっともっと女子の3x3を日本国内で認知して、競技者を増やし、レベルアップを図っていかなければなりません。私たちもその一助となれるよう、3x3を盛り上げていきたいと思います」とコメントしている。

5人制実業団チームの現役選手、大学や高校の若手選手などを、3x3の日本代表候補として選出し、強化合宿を行うなど、協会はレベルアップに積極的だ。ただ、監督がベンチに入れない3x3では、選手自身が試合の流れを読み、自分たちで戦略を考える力が必要になる。そんなとき、アテネ五輪など国際大会に出場してきた立川の経験値、そして、ケガを乗り越え、苦しいときでも笑顔でチームメイトに勇気を与えられる明るさが、日本代表の武器になるに違いない。

2019年2月現在、FIBA国別ランキングで女子日本代表は7位と好位置につけている。東京五輪に出場できるのは男女それぞれ8チームだけだ。そのうちの半分である4チームは、FIBA国別ランキングで決まる。3x3ならではのスキルや身体の使い方など、まだまだ足りないものがたくさんある。アテネ五輪の経験があるだけに、五輪の厳しさ、日本代表に選ばれることの難しさ、その肩書きの重みを知る立川は、東京五輪出場に関して、慎重な姿勢を崩していない。しかし、5人制と3x3の両方で活躍した立川が出場すれば、大きな話題となり、広く関心を集めことだろう。再びバスケと向き合った立川真紗美の精一杯のチャレンジが東京五輪の3x3を大いに盛り上げる。

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